2008.2.28.
★ハボのこまかいの★
赤ちゃん大とか、幼児大とか、はたまた掌サイズとか、うちにはいろいろな大きさのハボぬいがいることは常連さんならご存知のことかと思います。もうこれ以上は増やさない...、とちょっと前に誓ったものだったんですが、ちょーっち予定が狂ってまた増えることになっちゃいました。でも、今度のハボたちは身長僅か8cmの超ミニサイズ。実はこのコたち、マグネット・ドールなんです。背中に磁石が縫いこんであるらしく、磁石のつくところならドコでもくっつく、くっつきハボ。写真では小物入れのフタ部分の金属にくっついているので、宙に浮いてる感じに写ってるんですね。
本当は1セット9種類になってまして、デザインはハボ・ファミリーのキャラ9種類があります。そのうち全員写真に撮ってお見せしたいと思ってますが、これはもう現在では販売されていないものなので、例によってオークションでゲットしました。
しかしゲットするまでには長いストーリーが...。そもそもこのコたちは、昨年クリスマス仕様のハボ2体を落札した頃(確か11月)に初めてオークションに登場して来たんです。9体セットの未開封新品で開始価格1800円から。ちなみにこのコたちの正規価格はセットで5800円。本当は収納用ポーチが付属してるはずなんですが、出品されていたものにはそれは付いていませんでした。でも、欲しいのはポーチよかお人形の方なんで、未開封新品1800円は断然安い。買おうかな?
とは思ったんですけど、しかし送料が加わると2500円くらいになっちゃうよなーと思い、一時静観。昔は何でもわりと欲しいと思ったら即落札しちゃうことが多かったんですが、最近は「値下がりを待つ」ということを覚えたのでね(♪)。
ラッキーなことに1800円での落札者はなく、そのまま何回かそのお値段で繰り返し出品された後、とうとう1000円に!
送料分とは言わないまでもせめて300円くらいまからんか?
と思っていたので、これは買わなくちゃ!!
と思う反面、いや、待てよ、もしかしてもうひと声、と考えて更に待つこと数週間。やはり1000円でも落札者はなく、そのまましばらく再出品が繰り返されたのでありました(う〜ん、やはり付いてるはずのポーチなしが原因だったのだろうか?)。
そうこうするうちに新年を迎え、もっと安くならないっかな〜♪と思いつつ待っていたら、おお!!
とうとう500円にまでお値下げされたではありませんかっっっ。まさかココまで下がるとは思っていませんでしたがっ、これはもう、さすがに買わなくっちゃ損!!
よしっ、落札っと思ってよく見たら、出品者さんは何セットかストックを持ってらしたみたいで複数出品されてたんです。それに終了時刻寸前で気づいたもんですから、1セットで十分なんだけどな、でももう1セットくらい予備あってもいいかな???
と刻々と終了時刻が近づいているのに悩んでしまった。でもとにかく落札はしたかったんで、とりあえずでは2セットで落札だっ!!
そんなこんなで、こまかいハボがまた、我が家になだれ込んでくることになったのでしたが、ビッグサイズのハボたちを見慣れた目にはこのこまかいサイズが新鮮で、それにマグネット・ドールというから背中に磁石背負ってんのかな?
と思っていたら、中に縫いこんであるので一見すると全くのマスコット・ドール状態。しかも布の色に合わせてちゃんと縫い糸の色合わせまでしてあるし、作りもザツじゃない。手芸歴足掛け6年の私が見るに、このサイズですから作るのに手間がかかってるだろうということもよく分かります(こういうものは小さいものほど作業が細かくなるので大変)。だから9体+ポーチで5800円は決して高くないと販売されてた時から思ってて、もちろんその頃、買おうかなとさえ思ったんですけど、この時も送料がなー、ってことで悩んでそのままになってたのよね。でも、待って良かった、500円なんて...(うるうるうる、それってふつー1個のお値段よ)。今はこのくっつきハボたち、テーブルランプの支柱が主な住み家となっています。
それにしてもこの、ぬいぐるみなどに付いているMaid
in Chinaのラベルを見るたび思うんですが、こういうのを作っている所を見学してみたいですね。中国のおばさんやお姉さんたちが、ぼちぼちぬいぬいして手作りしてらっしゃるんでしょうか?
で、テーブルの上には作りかけのや、出来上がったのがずいずいずいっといっぱい並んでたりするんでしょうね。想像すると楽しそう。そんなお仕事、私もやってみたい...。
★ディの子供たち・その9
- 誘拐 -★
この話題について始めから読みたい方は、専用のSTORY
INDEXをご参照下さい。
いま、Ayapoo初の試みである短期集中連載小説の企画を進めてまして、ってゆーか、最初は例によってざっとプロットを掲載するだけのつもりで書いてたんですけど、シーンを追ってくに従ってなんか乗ってきちゃって、あーなって、こーなって、どーなって、そーなって、と、なかなかカッコいいエピソードになりそうなんで、これは本文連載方式でゆこうかなってことになったんです(なりゆきで好き勝手できるのは、個人サイトオーナーの特権)。今、2回半分くらい書けてて、それでエピソードの半分くらいまで進んでるので、3月〜4月にかけて4〜6回くらいの連載にできるんじゃないかな。どういう話かっていうと、以下は最初に書いてたプロットなんで、予告編ってことで掲載しちゃいましょう。これが果たしてどのような本文になるのか?
それはいましばらく、お待ち下さい。
**********
<予告編♪>
さて、エヴァちゃんって、この後何か話に絡んで来そうとか書いてましたけど、なかなか大変なことになりそうですね。って言っても、ディとデュアンの間に割り込むとか、そーゆー可愛い話じゃなくて、テロがらみの誘拐に巻き込まれちゃうっていう相当ヴァイオレントな展開です。もちろん本命はデュアンくんなんですけど、エヴァちゃんも一緒にいたので連れてかれちゃうんだな。
ある日、デュアンがなかなか学校から帰って来ないのでディたちが心配していると、いつも送り迎えをしているメルセデスが屋敷に向う途中で大破して乗り捨てられていると警察から連絡が。しかもいたずらに怖がらせるといけないと思ってデュアンには言ってなかったけど、運転手として付けてたのはプロのボディガードだったのに、ライフルで狙撃されたらしく、瀕死の重傷を負って車内に放置されていた!
いやー、なかなかこれはいきなりハードボイルドしちゃってますが、私の小説というのはロマンチックとヴァイオレンスが表裏一体化してるんで、たまにこーゆー展開に雪崩れ込むことがあります。ついでに、エンタテイメントと哲学も同居してるので、そのへんが売り物にも何にもならない原因だな。
ともあれ、最初は営利目的の誘拐だろうとディも思ってるんですが、1日、2日と経とうとするのに連絡がないことと、いきなり運転手を狙撃するというやり口が普通の誘拐としてはダーティすぎるのとで、これは相当厄介かも、と思い始めたところへ、まーからホットラインで連絡が入る(まーはこの頃になると殆どクランドルにいないので、ディんちとは衛星経由の特別回線を繋いでいる。だから通常回線でするとヤバい話なんかは、それ経由で連絡してくる)。ここんとこ8回連続でディと子供たちの話ばっかり書いてるんで、まーなんて殆ど懐かしい響きの存在と化してますが、本来はこっちの方が主人公なんです、この話。
で、まーとアリは「豪華クルーザーで世界旅行を楽しんでる」と前にちょっと書いてましたが、別にムダにあちこちふらふらしてるわけではなく、目的も事情もあってやってることで、それがアレクのIGDとも絡んでくることなんですけど、まーとアリ、それにマリオ・バークレイ博士のテーマというのは、そもそもの始めから「歴史の軌道を修正する」という大掛かりなゲームなわけで、このへんは説明すると長くなるからそのうち本編で読んでもらうとして、ともかくそーゆーことをやってるんで、裏に回るといろいろ仁義無き戦いみたいなものの渦中にいたりする。こういうテーマを持って動く場合、一番やっかいなのは宗教関係と成金の新興国のくせにやたらプライドの高い超大国ですが(どこの国かは想像にお任せする)、今回の場合は宗教がらみみたいで、もともと哲学と宗教は実質的に天敵関係だし、本質的に大賢者であり大哲学者であるところのマーティア・メイなんかは、この頃になると何がなんでも抹消したいと思われてる存在になってる。そもそもその「歴史の軌道修正」なんてことをやろうとするやつがいると、一番イヤがるのは現在の世界で権力張ってる連中で、だからこそ仁義無き戦いになっちゃうんですけどね。
まあ今のところは、まーたちのやってる戦争が、ディのとこにまで飛び火しちゃったんだとだけ分かってて頂ければ話が進められると思います。ディにしても、全くそれと無関係ってわけではないんですが、いきなり子供を誘拐されるほど表立って関わってるわけではないので、彼としては普通の営利誘拐にはボディガードを付けたりして注意していても、こういう種類の騒動に巻き込まれることまでは予測してなかった。
で、まーが言うには、ディのところではなく自分たちの所に犯人から連絡が入り、いろいろ厄介な注文をつけてきている。これには絶対応じられないが、現在、IGDの調査網の総力を挙げて犯人とその所在を特定する作業を進めているので、半日もあれば結果が出るだろう。相手に対しては交渉を続行する形で待たせ、その間に自分とアリシアもこれからそちらに向うから、数時間後には実質的な対策に入れると思う。何があろうと、絶対にデュアンは救い出す。その方法は選ばない。
まーたちはふだん、「世界一優雅で美しい」と賞賛される純白のクルーズ船で世界中をウロウロしてるわけですが、実はこのアークという船は実質バトルシップで、ファイター(戦闘機)まで艦載している。だから、まーたちはどこにいようとも全世界のどこにでも、数時間でぶっ飛んで行ける機動力を持ってるってことになりますね。International
Grand Distributionのオーナーはもちろんアレクなんですが、それを動かしてるメインの頭脳はまーとアリなわけで、アークという船は実は世界最小で最強の国家と言ってもいい存在だというのがコンセプトです。スケール大きいでしょー♪
もともとこれはそういう話なんですが、やたら振り幅が広いんで、ココではメイン・ストリームからははずれた話ばっかりしてるってことになるかな。でも、そっち方面にこんなとこで踏み込むと、きっとわけ分かんなくなっちゃうと思うしな。ここでしてる話は、一応「小説」と言って許される範囲のストーリー部分に限ってます。でもその背景では、こういうばかでかいスケールで「歴史」が動いているわけで、その全貌は、本編を最初から連載できるようになったら読んで頂けるようになるでしょう。
ま、それはそれとして話を元に戻しますが、ディはまーにデュアンと一緒にエヴァが連れて行かれてしまっていること、事件発生から既に36時間以上経っていること、デュアンは本命の人質ですから当面は大丈夫としても、エヴァがどうなるかが心配で、彼女の両親であるベンソン夫妻にもここに来てもらっていることなど、現在の状況を手短に説明します。ディとしても、単なる営利誘拐ならまーたちの手を借りるまでもないんですが、コトがコトだけに自分の力だけではどうにもならないことくらい、話を聞いた時点で悟ってますからね。で...、
***********
「報道管制は敷かせているけど、うちのクルマが大破して発見されたりしたもので、既に警察が動き出してるんだよ。」
「分かってる。それはこっちで引き上げさせる。どうあれこれは警察程度のレベルでカタのつく問題じゃない。SWATなんか踏み込んだが最後、皆殺しだよ。だからアレクが今、使える連中に召集をかけてくれてるばすだ。彼もすぐにそちらに行くと言ってたから、もうそろそろ着くんじゃないかな。」
「アレクが?」
「彼が偶然今クランドルにいてくれたんで、話が早くて助かった。とにかくおれたちもすぐにそっちに飛ぶから。心配するなと言っても無理だろうけど、24時間以内に良い結果を出す。だから、ベンソン夫妻にもそのままそこにいてもらって欲しい。」
***********
この頃になるとまーももう30過ぎてますからね。ディにいいように遊ばれてた子供の頃とは一味違います。なんてったって、この大掛かりな「ゲーム」を立案し、実行して来た張本人なんですから、これまでも自分自身が危ないめにもいっぱい会ってきてるし、この程度のことではビビりません。
で、まあ久しぶりに4人が一同に会することになるわけですが、IGDの調査網というのは先にも書いた通り一国のそれに匹敵するので、誘拐事件の足跡を追っかけるなんてのは朝飯前の仕事。
さて、翻って不覚にも誘拐されちゃったデュアンくんたちの方ですが、エヴァちゃんが可愛いんで、ちょっかい出そうなんて悪いオトナも犯人たちの中にはいるもので、ちょっと乱暴されかかるんですね。上からは大事な人質なんだから、コトが終わるまでは手出しするなと命令はされてるんですけど、ちょっとしたスキにそういうことになっちゃう。でも、デュアンはどう考えてもこれは自分の問題にエヴァを巻き込んでしまったとしか思えないし、何が何でも彼女だけは無事に帰さなくちゃと思ってるもんだからエヴァをかばって割って入る。こういうとこ、男の子ですよねえ、デュアンくんも。暴力ふるわれたらかなわないのは分かってるけど、黙ってるわけにはいかないってとこです。でも相手はデュアンが子供だって思ってるもんだからその態度を面白がって、じゃあそのコの代わりにおまえが自分たちの相手をするかとかからかう。それ聞いて、子供だと思ってこいつらはっ、と怒ったデュアンくんは、「言っておくけど、エヴァやぼくに手を出そうなんてしたら、今ここでぼくは舌を噛み切ってやるからね。」
本気ですからね、これ。それだけに一瞬相手の方が呑まれるくらいド迫力で、そうするうちに何かもめてると気づいた他の連中がヤメろと言ってからんできてた二人を部屋から引きずり出す。
「ごめんね、エヴァ。こんなことに巻き込んで怖い思いさせて」
「ううん。デュアンが一緒だから大丈夫、怖くない」
「何があっても絶対、きみは無事に帰らせてあげるから。ぼくに出来ることなら何でもするから。でも、もう少しの我慢だよ。必ず、お父さんたちが助けに来てくれる。」
その言葉通り、まさにその瞬間にも救出計画は進行しているわけで、まーたちを乗せた飛行機は数時間でクランドル空軍基地に着陸、そこからヘリでディの屋敷まではひとっ飛びですから、連絡が取れてから本当に八時間かからずにまーとアリはディのとこに到着する。その頃にはアレクも着いていて、犯人の所在も特定できたという知らせも入ってくる。ディは今更ながらにまーたちの現在の機動力のすごさを見た気がするわけですが、危ないから二人を連れ帰るまで待ってろというまーに、ディはどういうことになっても後悔はしたくないから一緒に行くと言い張る。
まーとしても、そんなことでモメてるヒマはないんで、じゃあ現場までなら同行してもいいが、そこでは絶対にこっちの指示に従ってくれと約束させて連れてゆくのを承諾する。
...ここまで読んで、どうなるんだ?!とか思ってもらえてたらOKなんですが如何なものでしょうか。とゆーことでっ、短期集中連載やります。みんな、来週もまた見てね!(きゃははは♪なんかデュアンとかエヴァちゃんとか、コドモ書いてたら最後がTVアニメ番組調になってしまったぞ。)
original
text : 2008.2.12.-2.14.+2.25.
revise
: 2008.2.28.
★The
ultimate kingdom * supplementary episode 1 -誘拐- その1★へ
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2008.2.20.
★Jusco閉店★
今日はなんか陽射しも明るくて、ちょっと春の近いことを感じさせるようなお天気でした。自分でも不思議だと思うんですけど、寒くて薄暗いと起き上がるのもイヤ!
みたいな気分になるのに、陽が射してるなと思うとわりと元気に動き出せる。やっぱり、太陽電池なのかなぁ、私の原動力は。
さて、前にもちょっと近所のJuscoさんが閉店するなんて話を書いてましたが、2月20日限りだったので、とうとう今日、最後の日となってしまいました。なにしろ30年以上もあったお店ですから、それが無くなるというのは私にとってわりと「大事件」で、ちょうど食料品もなくなりかけてたし、昨日は最後のお別れがてら、お買い物に行ってきました。ないと困るものや、他で同じのあるかどうか分からないもので、保存が効くものは既にまとめ買いしておいたんですけど、そういえば明日で最後なんだなあと思うと、お気に入りだったし、無くなるんだからやっぱりもう1回だけ行っとくか、みたいな気分になりましてね。
しばらく前から閉店売りつくしセールをやってましたが、さすがに残り2日ともなると実際にかなり売りつくされてて各フロアの棚もぼちぼちとガラガラ状態。それでも「ここでお買い物するのも最後なんだなあ」と思いつつ、5階+地下1階の店内を食料品とか、食器とか、布地とか、買いながら回って来ました。このへんは子供の頃からかなり長く住んでた所なんですけど、私が子供の頃にメインストリートだった商店街も既に無くなって久しく、全体にまるっきり変わってしまったという印象があるところへ持ってきて、30年以上あったJuscoさんも無くなるとは。これには、やはりある種の感慨がありますね。それでも、よく子供の頃おつかいに行った鶏肉屋さんとか、薬局とか、しぶとく残ってるとこなんかもあって、そういうのは無くならないで欲しいなあという気がします。
この辺り、昔は大きなビルと言ってはJuscoと西友しかないという、あとは商店街がひとつと、裏にさびれた昔の商店街があって、そこはちょっとだけお店が残ってて細々と営業してる、なんてよくあるひとつの地方都市、いや「都市」までゆかない、地方の小さな町そのものだったもんなんですが、最近はでかでかと大きなビルが立ち並び、車線も倍になって大きな町という印象だけはある。でも、どーゆーわけか、昔の方が活気があったように思うんですね。その薬局のご主人だの、美味しいと評判で何十年もそこで営業してる鶏肉屋さんのご夫妻なんかは、私が子供の頃からよく顔知ってるわけで、でも商店街があった頃なんて、どこのお店のおじさん、おばさんも顔見知りだったりした。それ考えると、今は何でも大量に仕入れて大量に売りさばく店が主流、そして従業員もアルバイトだったりして入れ替わりが激しい。逆にそれが、人間的で有機的なものを喪失させてってるんじゃないか、これは大局的に見て日本文化、ひいては経済の後退とも根底でつながってることなんではないのか?
みたいなことも、ま、常々思ったりしてるんですけどね。大きな街になってキレイなビルもどんどん建って人も増えたはずなのに、活気が感じられなくなるとはなあ。なんか、それって現代の日本を象徴してるのかもしれません。
ま、ともあれ、私はディと同じで「全て土に還る」ということに福音を見出しているヒトなんで、つれづれの移り変わりもそれなりに感慨を持ちつつ受け流してゆきますが、馴染んだものが無くなるというのはやはり寂しいものです。いや、ある意味、その「馴染んだもの」を最初から持てないのが90年代以降の「世代」というものなのかもしれなくて、それが「ますます殺伐としてくる世相」に反映されているのかなと思ったりもしますな。何はともあれ、Juscoさん、長いことありがとーって気分ではあります。これからは、現在のウチの近くに新しく出来てるお店を利用することになるでしょうね。ああ、でもあの古いビルが今既に懐かしい...。
★ディの子供たち・その8
- リリカルな性格 -★
この話題について始めから読みたい方は、専用のSTORY
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これだけ毎週書いてると、なんか「プロット連載」と言っていいような状態になってますね。とにかく話だけはアタマの中でどんどん進むのでちゃんと本文を書くのが間に合わず、ともかく話の流れだけでも書き止めとかなきゃという感じです。
さて、元気いっぱいに走り回っているデュアンくんのおかげで、すっかり影の薄いメリル&ファーンですが、このお兄ちゃんたちのセルフストーリーもぼちぼち見えてはきているんです。ファーンは今のとこ「おじいさまの後を継ぐ」という線でまるで問題は抱えてないけど、十代の半ば頃からいろいろあって、けっこうカッコいいとこも見せてくれそう。性格的には父親のディよかわりとアレクと合うみたいで、「経済か政治に進みたい」という希望も持っているだけあって、このころになると大実業家に転身を遂げているロウエル卿(アレク)のことはとても尊敬している。親友の息子ってことでアレクとも交流ができるから、彼の方も将来的にけっこうファーンに目をかけるようになってゆきますね。
それに、ファーンの母方のひいおじいさまというのがかつて経済界に君臨した人で、ロベールさんも若い頃とても世話になったんだとか。そのへんの系図を辿ってゆくと、ファーンはディの方だけじゃなく、母方の方でもロウエル家と縁続きだったりする(ディとアレクはもともと親戚です)。系図もこの辺りになってくると、ディにも誰がどこでどう縁続きなのか把握できてなかったりして、後からロベールさんに言われて、へえ、そうだったんだ、みたいな? さすがに入り組んでます、上流階級。でも、デュアンは本気で「伯爵さま修行」にいそしんでいるので、ディよかこういう系図に詳しくなってて、「モルガーナ家の系図のことなら任せてください」とか言っておじいさまを喜ばせてたりします。アーネストも「だんなさまがお小さかった頃より、はるかに熱心に聞いて下さるので、何をお教えするのも楽しゅうございますよ」と言うほど。
そのデュアンは、この前ちょっと出て来たエヴァちゃんと大事件に巻き込まれて、まーやアリまで出てきて大騒動になってたりするんですが、ま、そっちの話はまたそのうちということにして、今日はデュアンに「ワガママ」だの「何も考えてない」だの、散々言われっぱなしのメリルにスポットをあててみましょう。
今回の副題「リリカルな性格」というのは、実はデュアンがメリルを評して言った言葉で、彼はディにある日、「メリル兄さんってリリカルだよね。シュールっていうか」とかワケの分からないことを言う。それ聞いてディは「それって、どーゆーイミ?」とか笑って尋ねるんですけど、デュアンの説明するところによると、彼がメリルのところに文句言いに行ってからしばらくしてメリルがデュアンに会いにモルガーナ家にやってきた。その時はディは家にいなかったんですけど、デュアンは「兄さんはこの前のことできっと怒ってるんだ」と思ってて、逆ねじこみに来たんでは?
と内心ちょっとひるんでるのよね。自分も言いたい放題言ったから、後でちょっと言い過ぎたかなとも思ってたもんだから。
ところがこの「リリカルでシュールな」お兄さまは、デュアンの言ったことを真正面からマトモに受け止めていて、だからこそおじいさまにもいろいろ相談したりしてたのよね。本来、長男にあたる自分が継ぐべき家をデュアンに押し付けたような格好になったことと、自分の都合でお披露目しないでおいてもらうことになったのは、確かにデュアンの言う通りおじいさまやディが「気を使って」くれたという気もしたし、自分が何より絵を描くのが好きで、その才能があるらしいのもディから継いだ血というものなのかとか、そういうことを深く考えてみなかったけど、その「深く考えてみたこともなかった」ということそのものをデュアンが非難してたんだと分かるから、どうしたらいいんだろうとマジメに悩んじゃったわけです。でも、おじいさまは、確かにメリルはディの子供の頃を思い出させるほど熱心に絵に打ち込んでいるし才能もあると思うけれども、才能というのは原点であって、それを伸ばすのは本人の努力なんだよ、とか、メリルは十分その努力をしていると思うし、父親の血だけでいい絵が描けるわけではないんだから気にすることはないよ、とか、自分やディがメリルの将来のことを考えるのは父親や祖父として当たり前のことなんだからとか、確かにデュアンの言うことも一理はあるなと思いながらも、メリルが弟の言ったことをそんなに真面目に受け止めていることを微笑ましく思いながら宥めてくれるわけ。
で、そもそもメリルのディに対する反感は、自分が息子としてちゃんとした扱いを受けていなかったからと言うより、彼の母親であるマイラのことで怒ってるって方が強かったらしい。彼女はディとの経緯についてはちゃんとメリルに説明しているし、自分は彼に相応しいとは思えなかったとも言ってるんですけど、でもメリルから見たら「お母さんはどんな人の妻になっても恥ずかしくないくらい立派な人なのに」、そのマイラをディが軽んじて結婚しなかったという印象がぬぐいきれない。それで父親になじめない気分がつきまとってるわけね。これを母に言うと、「そうね、今ならそのくらいの自信は持てたかもしれないわね。でも、あの頃は私も若かったのよ。」
それこれありまして、しばらくよくよく考えた結論を、メリルはその日デュアンに言いに来たのでありました。デュアンにしてみると、「ぼくの言ったことに文句言う気だな」と構えてますから、案に相違してメリルが怒ってる様子もなく、なんとか自分の気持ちを伝えようと一生懸命話すのにちょっとびっくりしている。メリルは口下手というか、絵や色彩を使ってなら感じたことをどんなにでも雄弁に表現できるんですけど、思ったことを言葉で表現するのがとても苦手なんですね。このへん、その気になれば口がうまいことにかけては人後に落ちないディと正反対で面白い。ママのマイラは自身がペンネームも持ってる詩人、作家でもあるので、このメリルの「言葉がうまく使えない」のは誰に似たんだろう?
と思ってる。でも、モルガーナ家には実はいろいろ華麗な伝説があって、そのいくつかはクランドルでもよく知られてて語り継がれてたりもするんですけど、そのへん遡ってくと確かにメリルに似たようなご先祖さまもいたりするのよね。で、ディやロベールさんには先祖返り?
とかいう気もしてる。
ともあれ、そういう子なので、言いたいことがなかなか明確に言えず、それでたどたどしい口調になってしまうんですけど、それが彼の一生懸命な様子を強めていて、デュアンには兄さんて無菌室で育ったみたいに、なんかすごく度を越えて誠実だったりする?
みたいに感じられるわけです。常識はずれに誠実というか、浮世離れしているというか、それを評してデュアンは「リリカルでシュール」と表現したわけです。これ見ると、コト言葉に関しては、デュアンに限って「表現できないこと」なんてありそうもないですね。その説明を聞いてディもなるほどと思ったくらいで、実に的確に「メリル」という人物を言い当ててるんです。そしてそれは、メリルの描く絵を言葉にしたらこんな感じかなというものでもある。だからと言って彼の絵がシュールレアリスムってわけでは全然ありませんけどね。どちらかと言えば、ディの絵の方がその傾向は強いです。ま、その話はのちほど。
では、メリルはデュアンに何を説明しようと一生懸命になっていたのでしょうか。それは、
・自分がなぜお父さんを許せないのか
・お父さんのことは、画家としては凄い人だとも思うし、芸術家としてはそういう生き方もあるかなとも思える。全くの他人だったら尊敬もできるだろうが、しかし実の父だけに返って彼の生き方には受け入れ難いものが出てきてしまう
・自分の唯一つの取り柄と言っては絵を描くことしかないので、モルガーナ家のような名門貴族を継ぐような器ではない
・弟に責任を押し付けたような格好になって、きみには悪いと思うけれども、ぼくよりもきみの方がきっとモルガーナ家の当主には相応しいと思う
・自分にはお父さんの生き方や、きみと彼の関係は常識はずれにしか見えなくて、どうしても理解することができないが、それについてはこれからもっと理解しようと努力してみることにする
これだけ言うのに一時間もかかるほど、メリルってのは口下手なんです。これ見てデュアンは、もしかして兄さんてオオモノ?
とかも思うんですけど、年下の弟からあれだけぽんぽん言われて、怒るどころかそれ真面目に受け止めて、その上1ヵ月以上も経ってから、悩んだ挙句に説明に来てくれるという、そのへんがデュアンにはすごく驚きだったようです。そうなってくると、ディに「メリルにはメリルの考えがあるんだから」と言われながら、それを聞かずに文句言いに言った自分は?
とちょっと反省。ぼくだってメリル兄さんを理解しようとしたことはなかったなと思い直して、メリルが「努力してみるね」と言うのに対して、「偉そうなこと言って、ごめんなさい」と素直に謝るのもデュアンの真っすぐなとこでしょうね。
そんなこんなで、この兄弟も後々それなりにうまくまとまってゆくことになるんですが、それでは、メリルの絵ってのはどんなものなんでしょうか。
ディの絵っていうのは、これまでも書いてる通り、単に視覚的な美のみを追ったものではなく、哲学的思考を絵画で表現するという実にトリッキーなものが主流で、それゆえ画壇のみならず、多方面の芸術家にも影響するものがあります。そのへん深読みがきく者にとっては、とにかく「凄い画家」の一言につきる。表現されている哲学世界が究極まで行ってますからね、彼の場合。でも、メリルのは「リクツじゃない」って感じで、日常のほんのちょっとしたこと、例えば暮れ染める空の色彩の微妙な変化だとか、散りかける大輪の赤い花の最期の一瞬とか、テーブルの上のカップに注がれたホットミルクの暖かそうな湯気だとか、そういう何の変哲もない情景を描いてはいるんですけど、それが「タダの絵」ではなく、それを通して、後に大きな賞を受賞した時の選考委員の言葉を借りれば、「計り知れない宇宙の深遠を感じさせるような何か」を内包していて、「それが無条件に見る者を感動させる」ようなものなんです。「人間は日々、日常の瑣末なことに囚われて泣いたり笑ったりしているけれども、本当は我々はより大きな宇宙に包含されている存在であることが彼(メリル)の絵を通して感じられ、そのことの喜びと悲哀を一瞬にして悟らされる」と評され、そしてこれは奇しくも「ダニエル・バーンスタインの遺作、デュアン・モルガーナの「二人の天使(まーとアリを描いたシリーズ)」にも匹敵する」と絶賛されました。これがメリルの画家としての本格的デヴューになるんですけどね。ディやダニエルさんは先に書いたように本来トリッキーな作風で知られる画家なんですが、ここに挙げられた二人の作品は彼ら自身のそれまでの作品をも超えるものと評価されていて、彼らの代表作中の代表作でもあります。
また、メリルの絵はその色彩が見事なまでに美しいのと(このへんの感覚は、メリル自身は意識してませんけど明らかにディゆずり)、透徹していながら暖かいものが感じられるのとで、そこまで深く芸術を理解する素地のない人たちにも、「純粋だった子供の頃を思い起こさせる」とか言われて高い人気を得るようになってゆきます。メリル自身があの通り、あまりにも無菌状態なんで、その人柄から出た絵に触れる人にまでそれが影響していくような感じかな。
ってことで、影の薄かったメリルお兄さまですが、けっこうオオモノということが判明いたしました。
★ディの子供たち・その9★へ
2008.2.13.
★こんなカップ★
前の更新で書いてたピンクのマグカップってこんなのです。可愛いでしょー♪
カップの下に置いてる同柄の箱の中にこのマグが入って、1セット1700円くらいで売ってた。SONY
PLAZAでもう1年くらい前から出てるモノなので、ご存知の方もあるかもしれませんね。人気のヒット商品らしく、これが発売されてから同じようにハコとセットで売ってるマグカップって今ではいっぱい出てるんですけど、プレゼントにちょうどいい感じなこともあって売れてるんでしょう。
最初に見かけた時からいいなと思ってたんですが、その頃はモノを増やすのはヤメる!
とか思ってた時だったので買わずに済ませてたのね。でも、その後何回PLAZAに行ってもいつまでも消えずにある。やっぱりいいなーと思い、他のタイプとも比べてみたけど、やっぱり結局コレを買った。マグでこういう柄って珍しいので、最初の印象が強かったんでしょうね。
このイラストはオーストラリアのデザイナーさんのものだそうなんですが、びっくりしたことに女性じゃないんです。この感覚はどー見ても女のコのものだと思えるんですが、男の方でこういうシャレっけを持ってるっていいなあって思います。オーストラリアってなんか、アメリカとヨーロッパの文化が混ざったみたいな独特の感じがありますけど、これなんかまさにオーストラリアって言われて納得しましたよ。デザイナーさんはクリストファー・ヴァインという方なんですが、このシリーズはマグだけじゃなくてカードなんかも出ていて、私はそれも何枚か買っちゃったな。
最初は使おうと思って買ったんですけど、あんまり可愛いのでちょっともったいなくなってて、スペアを買ってから使うか、飾っとくだけにするか今少し悩んでます。
2008.2.11.
★溶けやしねえ★
降る時はまとまって降るとか前に書いてましたが、あの翌日外に出ると玄関先がこの状態。囲いみたいになってるから吹きだまっちゃったのかもしれませんけど、周囲はそれほど積もってなかったのに、うちの玄関先だけ山盛りの雪がこのよーに。それもドアのすぐ外には全然、雪のカケラすら落ちてないのが、一段下がった所だけがこんなんなってた。なんで?
このあたりだけ日陰なんで、更に翌日になっても半分くらいも溶けてない状態で、これはけっこう珍しい現象でしたね。ともあれ、降った翌日はよく晴れて、そろそろ春も近いのかなと思わせる上天気ではありましたが、まだしばらくは寒くなったり、暖かくなったりを繰り返すんだろうな。でも、そろそろ春を楽しむ準備をしませんといけませんね。3月からはまた更新も再開したいしなぁ...。
★ディの子供たち・その7
- デュアンくんの学校生活 -★
この話題について始めから読みたい方は、専用のSTORY
INDEXをご参照下さい。
ディに引き取られた当初、デュアンくんは10才〜11才くらいなんですけど、そうすると小学校の高学年くらいってことになりますね。容姿はディやアリと似てるとはいえ、このコが二人と決定的に違う点があるとすれば、「ストレートで明るい」ってとこでしょう。ディやアリも暗いってタイプではないけど、けっこう内面的に複雑なとこがあって、ストレート直球なタイプじゃないのは確か。でも、デュアンくんって、メリルに対しても「兄さんって勝手!!」とか思うと言うべきは言う!
で言っちゃうし、ディを好きになっちゃったと気づいたら、ごちゃごちゃ悩むより先に好きになっちゃいましたと告白してしまう。こういうとこ見ると性格出てんなというか、これは確かにママのカトリーヌさんの血でしょうね。それと、もしかするとおじいさまのラテン系の血筋が隔世遺伝で威力を発揮してるのかもしれません。カトリーヌさんも名前見れば分かりますけど、両親のどちらかがフランス系みたいですから。
で、まあそういう明るくて賢くて可愛いと三拍子揃ったらやっぱり学校でも人気者で、自然とリーダーシップも発揮できるコだし友達も多い。中でも特に仲良しグループみたいのが何人かいるんですけど、その中には女の子もいて、彼がディの息子だと知れ渡ってしまってから、「未来の伯爵さまだもの、そうなったらもう口もきいてくれなくなるわよね」とか言うのよね。でも、デュアンは「どこにいたってぼくはぼくだよ。それにみんな今までぼくにお父さんがいないってことをちっとも気にしないでつきあってくれたじゃない。立場が変わったからって掌を返したようになる奴らなんて信用できないよ。だから、これからもずっとみんなはぼくの友達でいてくれないとね。」
この話は設定が今から何十年か先ってことになってるし、それもあってクランドルの学校制度っていうのは今のものとは全然違ってます。元々、クランドルは啓蒙度の高い国ですから、子供の教育は基本的に親の責任。だから、小学校、中学校レベルの勉強も基本的に親が教えます。それに加えて通信を利用した講義とかも受けられるわけですが、これは「大教室(Grand
Class)」と呼ばれていて、いつでも誰でも参加できるように工夫されている。親が忙しくて子供の勉強を見てやれないというような事情があっても、大丈夫なようになってるんですね。ただ、通信を利用した教育では直接的なコミュニケーションの場が持てないことに配慮して、旧来の「学校」は主にサークル活動の中心となっている。学年も年齢で決まるわけではなく、カリキュラム習得についてだいたいの目安はあるが、能力の個人性を重視する観点から、資格制のステップアップ式で進んでゆきます。だから「落第」とかの概念はないのよね。
ただ、そういう開放的な制度だとある程度のガイドラインに沿ってゆかないと教育の均一性が保てないので、学校はそこに通っている子供たちのデータを見ながら、勉強やサークル活動のコンサルティングをしてくれます。これでスタンダードの目安からプラスマイナス1〜2年で中学レベルまで上がるというのが一般的な家庭の子供の進み方。その先は進路に応じて専門学校や、高校や、更に大学ってことになります。
そうするとディやアレクが行ってた寄宿制の学校はなんなんだってことになってくるわけですが、あれは特に中産階級から上、つまり王族、貴族は当然として、経済界や政界のオオモノの令息、令嬢の教育のためにあるもので、まあ、はっきり言ってサイバー教育よかはるかにお金のかかる学校制度なわけ。それをあえてやってるのは、社交界に出る前の段階で子供たちの親睦を深めさせておこうという目的あってのことなのね。そもそも「社交界」っつーと一般的には華やかなイメージだけしかない感じがしますけど、あれは平たく言えば、金や地位のある者同士が集まって親睦を深め、あわよくば姻戚関係なども結んで更に儲けようという、華やかな裏に回ると、本来わりと実利的な目的も持ってる世界です。だから、クランドルの寄宿制学校というのはその延長線上にあるものと考えて良いでしょう。
市街からは離れたところに広大な敷地を持ち、最高の教授を集め、クランドル中からお金持ちの子供が集まってくる、とまあそんなところです。お金持ちと言っても当然、みんなが都市域に住んでるわけではないので、地方に住んでる家庭の子供たちにとっても、社交の域を広げるという目的にかなっている。ディやアレクの場合は行ってた学校が実家からそれほど遠かったってわけでもないので、そういう子供は週末ごとに家に帰りますけど、遠くから来てる子たちなんかは、長期休暇以外は寄宿舎で過ごしたり、友人に招かれて週末を過ごしたりってことをしてる。いまどきの世の中で、なんで男女共学にしないかっつーと、寄宿制で一緒にしちゃったら、いろいろめんどーみきれんってことなんでしょう。ヘンに間違いがあったりしたら面倒な家のコばかりなわけだし。だから、女の子ばかり集めている学校ももちろんあって、年に何回か近くの学校どうしで交流会やパーティなどが催されたりもしているのでした。
さて、デュアンくんの場合は、ママが有名なイラストレーターとはいえ、カトリーヌさんはムダに上昇志向の強い女性ではないので、普通にデュアンを学校に通わせてたのよね。そうすると、立場が変わってじゃあこの後はどうしましょうってことになるんですけど、寄宿学校にやってしまうのはカトリーヌが絶対イヤがるだろうし、デュアン自身も仲のいい友達と別れたくないなという希望があり(一番の理由は「ディの側にいたい」でしょうけどね、このコの場合)、ディも手元に置いて教えておきたいこともあったりで、とりあえず中学レベルを卒業するまではこのままで進もうかってことになります。そうすると、本来デュアンが将来的にもつきあわなくちゃならない階層の子供たちとはすれ違っちゃうからどーするかってことになるんですが、これはもうレイがデュアンのことは気に入ってるので、まかせなさい状態。彼女にしてみると、これでデュアンをお茶会やパーティに引っ張り出せるいい口実になるってなもんです。逆に、そういうコトができるなら、どっちか一方に固まるんじゃなく多方面に交流を増やせるってことにもなって結局ブラスかな。デュアンくん自身も社交家ですからね、大丈夫でしょう。しかし、これがメリルだったら騒動だなあ...。まあ、だからメリル自身が思ってるとおり、こういう家を継ぐってのには彼は向かないし、弟とはいえデュアンの方がやっぱり伯爵さま向きなんでしょうね。
それにしても、こういう登場人物の性格とか、私は全然考えて作ってるわけじゃないんですよねえ。カトリーヌさんのキャラにしても、息子がこうだから、とか考えてやってるわけじゃなく、見えてるまま書くとああなってて、書いてしまってから自分でもなるほどなあ、って思う。ロベールさんもそうだったな。それにさっき書いてた学校制度のこととかも、なんか自然と辻褄あってきたし。元はあの「寄宿学校」なんてのは、リクツで出て来たもんじゃなく、そういうイメージがあって、それは作者の個人的な好みと直結したイメージだったんでしょうけど、じゃ、なんで何十年も未来の世界でサイバー教育じゃなく、寄宿制なんてレトロなことやってんだ?
って問題が出てくるが、その理由がコレでついたと。ああ、なんて行き当たりばったりな世界だ♪
話を元に戻してデュアンくんの通学のことですが、ママのところから通ってた時は学校に近かったのに、ディの屋敷は市街からちょっと離れてるので、遠くなってしまった。それで普段は近くまであまり目立たないセダンで送ってもらってるのよね。あんまり学校の近くまでリモとかで送り迎えなんてことになると、仰々しくて回りから浮き上がっちゃうだろうということで、ディんちで一番目立たないクルマ(それでもメルセデスとかですが)で送ってもらってる。それも学校から歩いて5分くらいの場所で降ろしてもらって通ってるわけです。まあ、さっきも説明した通り、毎日朝から始まる学校というのとは違って、週に3〜4日しか行かないから遠くなってもそれほど大変ってことはないんですけど。
今ちょっと見えてるシーンっていうのは、デュアンが友達とさっきみたいな話をしながらわいわい学校から出て来たところで、この時のデュアンくんは白いデニムのジャケットとおそろいのショートパンツでブーツ風のストラップシューズはいてて、かばん型の革のリュック背負ってたりします。いまどきのコドモな感じで、すっごく可愛い。髪は短めに切ってるかな。背はもう随分高いし、足も長いし♪あと数年すれば、どんな美形に成長することかって感じですね。ま、父親がアレですからね、アレ。
いつもはちょっと先のとこで運転手付きのメルセデスが待っててくれたりするんですけど、その日はディが仕事だかつきあいだかで街まで出るので、時間も合うし、帰り拾ってってあげるよってことになってた。たまには二人でちょっとお茶して、ショッピングでもして帰ろうか、みたいな、表向き微笑ましい親子の図ですが、実はデートですね、これ。で、そういうことになってたので、いつもの場所までくると丁度ディが例のマセラーティを駐めたところで、「あ、お父さんだ。じゃあ、みんなまたね!」って、嬉しそうにディのとこに走ってくのよね、デュアンくん。それを見送って、さっき「もう口もきいてくれなくなるんじゃない?」とか心配してた女の子が「良かったね、デュアン。本当は素敵なお父さんがいて」って、このコはエヴァちゃん(エヴァーレット・ベンソン)っていうんですけど、ちょっとデュアンのことが好きだったりする。だからそれまでも、お母さんは素敵な人だけど、お父さんがいないのって淋しくないのかな、とかけっこう同情してたようなとこがあって、ちゃんと両親そろったってことで良かったと思ってる反面、今までみたいに親しくしてもらえなくなったら悲しいなとかも思ってるわけ。う〜ん、このエヴァちゃん、可愛いコで、優等生でリーダー肌の女の子なんですけど、この後何か話にからんでくるかもしれないなあ。わりとはっきりイメージ見えてるし、すんなり名前も出てきたりしてるから。
こっちの世界で遊んでると、日々、こういうシーンが見え続けて楽しいもんで、なかなか現実世界に戻れなくなっちゃうんだな。でもやっぱり、断然こっちの方が面白いから仕方ないか。
★ディの子供たち・その8★へ
2008.2.10.
★ロイヤル・ミルクティ★
ミルクと生クリームが余っていたので、久しぶりにロイヤル・ミルクティを作ってみました。シナモンを効かせて、お菓子作りで余ってたチョコチップもあったのでトッピングしたら、すっごい美味しかったです。作り方はこちら。
今回はカフェ風にカフェオレボールってゆーの?
深型の小鉢っつーか、お茶碗みたいなやつ。あれっぽくしたかったので、そういうので飲んでみました。今、ちょっと食器に凝ってまして、先日はローラ・アシュレーでティ・セットとお皿類をお揃いで買った。本当はティ・ポットだけで良かったんだけど、カップ&ソーサー2客も付いてSALEになってたのよね。他にピンクでドレスのイラストが書いてあるマグ・カップとか、食器と言っても特に高級品ではないんですけど、いつもと違うのにすると気分変わって楽しいですよ。
★雪だ〜★
冬眠中のあやぼーですが、今日なんて朝から雪がしんしんと積もっている。なにしろ「関西の北海道」と異名を取ったほどのとこに住んでるので、降るとなったらけっこうまとまって降るんですよね。それでも、私がここに越して来た時ほどではない。当時は、一旦積もったらなかなか溶けないって感じだったんですけど、最近は日中陽が照ると地面が見えて来ますから。昔は二日続けて降ったりすると、バスが止まったりしたものなんですけどね。
昨年よりは寒いとはいえ、このくらいなら街中とそう変わりはないかなって感じですが、寒いのはやっぱり寒い。まだしばらく冬眠だなあ、私は...。
★春のお洋服★
寒さは今が盛りという時期ではありますが、そろそろ春もののお洋服が予約とか始まってますね。
昨年、メアリさんのスプリングコートを買い逃したので、再販になったら絶対3色買うぞと思ってたんですけど、残念ながら今年は新作が出たので昨年の分は再販してもらえませんでした。で、今年のはケープにフリルとか付いててかな〜りカワイイ系なので、どーしよっかなーと思ったんですが、まあ黒なら着れるかなと予約し、でも予約期間が終了した後も他の色がけっこう気になってた。それで珍しい色だしということでミントも販売店さんで予約、更に、やっぱり春はピンクよね、とか思って追加。要するに結局、三色予約してしまったのだった(よくあるパターン)。でも、前のやつは絶対欲しいから、再販になったらまた買うんだろうな、私のことだから...。ああ...。
それに今度発売になる花柄のJSK、これはスソにドットチュールが付いてるやつなんですけど、丈を見るとそのスプリングコートの下に着たらちょうどチュールのスソがコートから3cm出るくらいの長さなんですね。これは可愛いかも、と思い、色のマッチングも良さそうだったので、それも予約〜、と思ったんですが、...そう思った時には既に販売店さんでも予約完売してました。ううううう....。
それでも諦めない私は、しっかりメアリさんにキャンセル待ちを申請し、それでもだめならサイトで販売が始まるのを待ってゲットしてやる、と燃えています。(こーゆーコトだけ熱心なやつ。)
ま、メアリさんのお洋服に関してはそんな感じなんですが、最近なぜかAngelic
PrettyやBabyさんのポップな柄物、お菓子柄とかテディベア柄とか、そーゆーのが気になってまして、さすがにこれはもう可愛すぎる!
とは思うんですけど、一着くらいはあっても...、とか傾いてるんですよね。メアリさんとかジェーンさんの服はだいたいそろったって感じだから、違うものを求めてるのかもしれませんが、ちょっとおもちゃっぽい色とか柄とか、春!!
って雰囲気のが一着欲しいなあと思ったりしてます。おそろいのバニティとかも〜♪
ってことで、冬眠しながらも早く春になってほしいなあ、と思う、あやぼーなのでした。
2008.2.7.
★ディの子供たち・その6
- コトの真相 -★
この話題について始めから読みたい方は、専用のSTORY
INDEXをご参照下さい。
さてまず、ちょっと気が付いたので訂正っていうか、アリが物理学博士号を取ったのはいつだったか、という話なんですが、Ayapooを遡ってくと「10才で」って書いてるんですよね。あのあたり書いてた時は漠然と10才になるならずの頃って思ってたからあまり正確じゃなかったんですけど、10才の頃に一人で生活できるようになってたとこみると取ったのは8才くらいってのがホントのとこでしょう。で、その後いろいろあって後見人の監視から離れたのが10才くらいの時。そのへん、作者のカン違いってことで、お詫びして訂正させて頂きます。こういうことって、あんまりないんですけどね。(言い訳?)
ところで話は変わりますが、ディは「いーかげんでちゃらんぽらんだから、子供が3人もいるのにほったらかしてた」とロベールさんのみならず作者もずっと信じてたんですが、子供たちの処遇が決まってそれぞれ落ち着き、ファーンもデュアンもいい跡取りになってくれそうだねー、くらいに時間が経ってからも、それでもなおロベールさんが、「もっと早くに子供がいるって言っておいてくれれば、私だってあんなに跡取りのことで悩まなかったものを」とか、まあこの頃になると笑い話ではありますけど、ことあるごとに繰り返してグチるのよね。
子供たちのことがバレた当初はそれに対してどこからどう非難されようと知らん顔で何も言わずに済ましてたディなんですけど、いいかげん時間が経ってから、つまり言い訳がましく聞こえないような時期になってから、内輪の話でディがロベールさんに言うには、「だって、お父さんに言ったら会わせろの、家を継がせるのって話になってゆくでしょう?
事実、そうなったわけだし。でも、子供たちの母親がみんな、それを望まなかったんですよ。」
これ聞いて、ああ、なるほどと思いましたね、私は。やっぱりディっていい男だなあって、こういう時につくづく思うんですけど、彼としては生まれたってことを知らされた時に、自分の力が必要ならいつでも言っておいでって母親たちには言ってあるわけで、隠すつもりなんかそもそも全然ないわけ、最初から。でも、母親たちが機嫌よく子育てを楽しんでるのに、ロベールさんが知ったらこういうことになる。デュアンのママが息子を手放すのをあれほどイヤがったことでも分かると思いますが、ディにはそれがよく分かってたから、そのままにしておいてあげたってのが真相なんでしょうね。それで彼女たちが何も言ってこないので、自分でもなんとなく子供がいるってことを忘れてた、みたいな。子供たちもいずれは大きくなって母親の手から離れる時が来るだろうし、家を継ぐのどうのなんて話はその時でいいんじゃないかな、と思ってたから、あえて言ってなかったってことらしいです。
これをコトが発覚した当初に口にしてたら、すっごく言い訳めいて聞こえたかもしれないんですが、それをずーっと後になって、もう時効、みたいな時期になってから何気なく言うとこがディなのよね。で、それを横で聞いてたデュアンがまた、そうだったのか、と改めて納得する。こういうことがあるからデュアンはよけい「メリル兄さんは何も分かってない」って気になるんでしょうけど。
「迷惑はかけないから、子供が欲しいわ」って言い出したのはメリルのママのマイラが最初なんですけど、ディとしては跡取りのことでそんなに悩んでたってわけじゃないけど、考えるともなく考えないでもなかったようで、まあ、一人くらいいればいたでそのうち役に立つかもしれないし、みたいな?
そもそも自分の生き方に信念持ってる芸術家さまが、外に子供の一人や二人いたところで、よしんば、その母親が全部違っていたところで、誰はばかることなんてないわけだから隠す必要もないわけよね。オオモノってのは、そういうもんだと思うなあ。うーん、やっぱり、好きだなあ、ディ。
★ディの子供たち・その7★へ
2008.2.2.-2.4.
★2月ですね★
きゃー、きゃー、きゃー、もう2月になってしまってるじゃないか〜!!!
なんてことだ、1月は全く何もしないうちに吹き飛んでしまった。実際、本当に「吹き飛んだ」という感じで、やっぱりこの時期、私はアタマが冬眠してしまうらしいです。本人の意志とは関わりなく「寒いと固まる」ようで、「お天気が悪くても固まり」ますが、ここ2週間は寒い上に天気も悪かったのが災いした。なんか、はっと気づいたら2月になってましたもんね。
とゆーことは、私にとって今年は実質11ヵ月しかないということで、でもまだまだ寒そうだしなあ。もう少しお陽さまの力が強くなってこないことにはどうにも....。太陽電池で動いてるって前にも書いてましたけど、殆どモーター止まってますから、今。いくらか暖かくなるまで、ダメかもしんない。
★分かったぞ★
寒い寒いと言いながらも、今年2個めのいちごショートを作りました。前回のスポンジケーキは高さ4cmに焼きあがったんですけど、ふと気がついて小麦粉の加え方を変えたら今回はなんと!
5.5cmという、かなり理想的な高さに焼きあがったのです。
どうやったかというと、これまでは小麦粉をむらなく混ぜ込むために5〜6回に分けて少しずつ加えてたのを、1回に加える量を多くして3回に分けた。そもそもはうちのページでも「2〜3回に分けて加える」と書いてたんじゃないかと思いますが、それだとよく混ぜたつもりでも混ざりきらなくて原形のまま残ってたりすることがあったので、次第に小分けするようになってたんでしょう。でも、小分けすると何回も生地をまぜっかえすことになるのでこれがせっかく泡立てて入れた空気をぷしゅ〜としぼませてしまう原因になってたようで、多めに入れて3回にしたらあまり生地がしぼまず、結果として5.5cmに焼きあがったみたいです。ただ、1回に加える量が多いとどうしても粉がそのまま残ることがあるので、ちゃんと混ざっているかどうか注意深く確かめる必要はありますね。
卵は前回のものの方が新しかったし、新鮮な卵の方が泡立ちやすいというのは確認済みなので、今回はこの粉の加え方が良かったってことなんじゃないかな。もう1回これで作ってみて、同じようにふくらんだらおそらくこれがふっくら作るコツだってことでしょう。慣れてる方には常識かもしれませんけど、私はスポンジケーキって本格的に作るようになったのは昨年からのことなんで、なんでよくふくらむ時とそれほどでもない時ってあるのかなと不思議に思ってたので、これでやっとナゾが解けた?
という気分です。
あと、今回はケーキクラムの代わりに市販のプラリネアーモンドを周囲に振ってみたんですが、これがなかなか美味しい。ケーキクラムを作るのがめんどい時はプラリネで代用してもぐーですね。
★ディの子供たち・その5
- 恋する少年 -★
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前回の更新では小説原文調でお届けしましたが、ま、あんな感じでシーンごとに書いてってるわけです。私のアタマの中では、ああいう場面とか会話とかが断片的に見えていて、それを書いて繋ぐと自動的に小説になっていく。
で、あれからもいろいろなシーンが見え続けているんですけど、中でも「ディってやっぱり天性のプレイボーイだな」と感心したシーンがありまして、今日はそれをお話しましょう。
ディと親子にあるまじき関係になってしまってから、しばらくの間はシアワセしていたデュアンなんですが、ある日、夜になってもディが帰って来ない。アーネストに「お父さんはどこに行ってるの?」って聞くと「だんなさまは、今日はアリシア・バークレイ博士とお食事をご一緒されているはずですよ」というお答え。
それ聞いてデュアンは、すっかり忘れてたけどディにはアリシアという十五年も続いてる恋人がいるんだと再認識。当初からディが平気でアリシアをあちこち連れまわすので、この二人の関係は社交界にちょっと詳しければ誰でも知ってるってほどのもので、なにしろあの堅物のメリルでさえ知ってたんですからデュアンだって当然よく知ってる。それなのにここしばらくずっとディが側にいて優しくしてくれるのですっかり舞い上がって忘れてた。それを再認識させられて、デュアンくんとしてはかなりショック。考えてみるまでもなく、自分のことを恋人にしてくれたからと言って、それでディがアリシアと別れるなんてありえないし、自分がアリシア以上になれるなんてとても思えない。
なにしろデュアンにとって相手は「8才で物理学博士号を取った大天才」で、しかも「ディに劣らないくらいキレイな人」なわけで、まあこのコは知りませんからね、アリの実態を。確かに「天才でキレイ」だけど、「性格が厄介」なのはこの頃になるとディ以上になってるんですけど。
ともあれ、その日から数日ディが帰って来ないのでデュアンくんは「結局ディにとってぼくってなに?」みたいなことを悩んじゃって何も手につかない。帰って来たら文句言ってやろう、とか、でもそんなことしたら嫌われちゃうかな、とか、恋する少年の悩みなんてそんなものでしょう。で、ママの気持ちが分かるなあ、とか。確かにコレじゃ、妻になったらいたたまれないよね、とか。
さて、そんなところへ数日してディがご帰宅になるわけですが、このいぢわるなパパはデュアンがどんな反応を示すかってのを内心けっこう楽しみにしてたりするんです。そもそもデュアンに直接何も言わず、当然、言い訳する必要も全く感じないままに出かけてって数日帰って来ない。こんなのはディにとって日常のことで、それはデュアンがいようといまいと変わらない。でもデュアンとしては気分の良いわけはない。では、どう出るか?
それ考えるとわくわくなんですよね、ディは。
で、ディが帰って来たと知ってすぐにデュアンは彼の部屋に行くんですけど、「言いたいことは言う」タイプのこのコをして、怒る元気もないくらい落ち込んでる。文句を言える立場じゃないのくらいよく分かってるし、「ディってそういう人」なのも分かってるのに、でも少しくらい自分を宥めるようなことを言ってくれるかなとか思いつつ...。
***************
デュアンがディのプライヴェート・リヴィングのドアをノックすると、中から誰?
という彼の声が聞こえて来た。
「ぼくだよ。入ってもいい?」
「いいよ」
ディはつい今しがた帰ってきたばかりだったので、珍しくダークスーツのままでタイをゆるめながら机の上に届けられていた分厚い書類に目を通していたようだった。モルガーナ家の傘下にあるいくつもの企業の、月ごとの業績報告書だろう。傍目からは絵を描いていなければ遊んでいるようにしか見えないが、ディが忙しいのは本業の絵のせいばかりではなく、むしろ伯爵業とでも言うべきモルガーナ家の当主としての社交や資産管理のせいだということを、既にデュアンもよく知るようになっていた。ディが経済学や経営にも明るいということは一緒に暮らすようになってから初めて知ったことだったが、彼が「そういうこともできる」という事実はデュアンを随分驚かせたし、それまで以上に尊敬させる要因のひとつにもなった。しかし、そうであればあるほど「ディの後を継ぐ」というのは、なかなか大変なことだと思えてくるし、そればかりではなく、メリル兄さんはそんなこと全然知らないくせにディのことを誤解してるという気にもさせられるのである。
「おかえりなさい」
「ただいま」
ディは机の端に斜めにかけて、書類を机に放るとデュアンに微笑みかけた。全く意識してやっているわけではないのに、ただそれだけの仕草や表情がまるで映画のワン・シーンのように魅力的だ。四十代の半ばだなんて、言われなければ誰も考えもしないに違いないし、デュアンといても親子と言うより、少し年の離れた兄弟と言ってすら通りかねないところが未だにディにはある。やっぱりなんて素敵な人だろうと思うと、今は自分に向けられているその微笑が、ついさっきまでは彼の最愛の恋人に向けられていたのだろうという事実が、いっそう幼い少年の気持ちを曇らせた。
デュアンはディに近づいてゆくと、しばらく何か言いたそうな目で彼を見ていたが、ディが両手を広げて見せると、すんなりその腕におさまってキスを交わした。こんなふうにディは約束通りぼくを恋人扱いしてくれるけど、ぼくばかりじゃなくてぼくのママも、兄さんたちのママも、アリシア博士以外は全部ディにとって特別な意味はないんだ、そう思うととても悲しくなってくる。泣き出してしまいそうなのを一生懸命我慢しながら、デュアンはしばらく彼の腕に抱かれていた。
ディは、いつものデュアンから考えると、さて、文句のひとつも言い出すかなと思っていたのだが、しばらく待っても何も言おうとしない。案に相違して、これはけっこうマジで落ち込んでいるのかなと思うと可愛くて、ついついもっと苛めてやりたいような気分になって来た。自分が何か宥めるようなことを言い出すのをデュアンの方が待っているんだろうということは分かっているが、そうそう甘やかしてはやらないよと意地悪く思って、もうしばらく待ってからディはデュアンに声をかけた。
「ぼくの息子に戻るかい?」
ディの声は優しくて、いつもと全く変わりなかったけれども、その一言だけでデュアンをどきっとさせるには十分だった。自分が不平がましく黙ったままでいることの意味は十分ディに伝わっている。そしてこれがその答えなのだ。
デュアンは首を横に振ってディから離れると、普段の彼に戻って、着替えるんでしょ?
と言った。
「うん」
「アーネストにお茶を頼んでくるよ。ぼくも一緒していい?」
「どうぞ」
ディの答えに頷くと、デュアンは扉の方へ歩いて行った。それを閉めるまでは彼の様子はいつもとまるで変わらないように見えたが、扉を閉めたとたんに涙があふれてくる。こんなに、こんなに好きなのに、ディにとってぼくはその程度でしかないんだ。そう思うとそのままそこにうずくまって一歩も歩けなくなりそうだったが、デュアンは気丈に大きくひとつ息をつくと手で涙をぬぐってアーネストを探しに歩いて行った。
*************
この「ぼくの息子に戻る?」ってゆーひとこと。これですね、これ。言外に「ぼくが好き勝手するのを誰も止められないし、イヤならつきあうのヤメる?」って言ってるわけで、これはデュアンだけじゃ当然なくて、ディとつきあってきた女性がみんな思い知らされたディの「相手に対する執着心の無さ」を物語ってる一言なわけです。まあ、こんなのはね、それはもうそれだけの内容のあるやつだけが言って通るセリフなわけで、そもそもメリルのママ、マイラっていうんですけど、最初に彼女がディの子供を欲しがったのだって、自分の手に入る男ではないとよくよく分かってたから、せめて子供くらい欲しいわ、と、そういうことだったんでしょう。
ディの方は、自分を過大評価してるんでも傲慢なんでもなくて、後にデュアンにも「どうでもいい相手を恋人にしたことはないよ」と言ってる通り、子供たちの母親や他のつきあってた女性が、それぞれ素晴らしいところのある人たちだということはよく分かっている。ただ、問題はディ自身が「執着心を持てない」というこの一点にかかっているわけで、「自分に忠実に」というのは彼の信念でもあるからそれを曲げるようなことは絶対しないというだけのことなんですが、逆にだからかえって彼女たちにしても「無理は言えない」って気にさせられちゃうんでしょうね。そもそも、無根拠に自分を過大評価してるような傲慢なやつだったら、聡明な女性たちの方で寄りつかないでしょうから。
ま、「いくら遊んでてもそれで通る」ってそのへんが、あやぼー的には理想的なプレイボーイ像なんですけどねえ。つまらん女とただ遊び歩くだけで、挙句すったもんだするようじゃね、それはタダの「女好き」というものであって、ロマンもへったくれもないじゃないですか。
さて、アリシアにまーがいるということをまだ知らないデュアンくんは、すっかりアリシアのことで落ち込んじゃったようなんですが、後にまーたちの船の船上パーティにディとデュアンが招かれて行った時に、まーが勘付いて「あの二人、単に親子だと思う?」とかアリに言うのよね。アリは自分の知らないところに三人も子供を隠してたという事実で「ぼくというものがありながら」と既に相当ディに対してご機嫌ななめなのに(自分にまーがいることはすっかりタナに放りあげている)、え?
まさか、とか思いつつもまーのカンってバカにできないのでよくよく見てるとどうも気になる。そこでデュアンが一人の時に「ディから聞いたよ」とかかまかけてデュアンに本当のことを言わせ、挙句に「ぼくからディを取れると思ってるの?」とかいぢめる。
複雑なんですけどね、これは単にデュアンに嫉妬して言ってるというのでもなくて、アリとしてはなんとなくデュアンのことは気に入ってるのよね。だから「ちょっかい出してみよう」っていうパターン。このへん、ディと長年つきあってて影響されてるのかもしれないけど、それ聞いたデュアンは「アリシア博士ってキレイだけど意地悪っ!!」とか、いじけつつも相当かっつーんと来ちゃうんだね。しかもその後ディからアリにはまーがいるという話を聞き、「ぼくなんて100%ディだけが好きなのにっ」と憤慨。「よおし、それならいつかきっと、アリシア博士からディを取ってやる」という方向に進んでゆく。デュアンは「取ってやる」ってわりとストレートに結論してますが、実はそれまでディとつきあってた誰一人としてアリシアからディを「取れる」なんて思った女性はいなかったわけで、この「100%ディだけ」とか「取ってやる〜」とかいうのがけっこうディにはアピールするんです。まーをアレクに譲って以来、そんなふうに言ってくれる人はいなかったなあとか、まあそれは自分も悪いんですけどね、彼の場合。
ってことで、数年すれば絶世の美少年に成長することが確実なデュアンくんですが、果たして彼はアリからディを取れるのでしょうか?
つづく(そのうちね)。
★ディの子供たち・その6★へ
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