これまでTEA! のコーナーではお茶に関するお話をして来ましたけれど、加えてこのTEA TALKは、お茶を飲みながら楽しめるお話をあれこれしてゆこうと思って作りました。やはりそういう時の話題というのは、くつろいで楽しめる美しいものに限りますよね。そこで今回は19世紀アール・ヌーヴォーの巨匠、アルフォンス・ミュシャを特集してみましょう。 ミュシャは日本でも大変ファンの多い画家の一人かと思いますが、私が初めて彼の絵を目にする機会に恵まれたのは1983年、およそ23年前のことになります。それまでもミュシャの作品展は日本でもたびたび開催されていたようですが、この時はリトグラフの他に油彩のコレクションも含んで200点を越える作品が一堂に集められ、全国を縦断するという初めての大掛かりな展覧会となっていたようです。 ミュシャと言えば、やはりその華やかな画風のリトグラフがよく知られているものの、それを上回る画家の技量を示す数々の素晴らしい油彩も残されており、それらの夥しい作品群は、当時一世を風靡した人気画家としての忙しい日常の中でも、一切手を抜くことのなかった彼の画業に対する情熱を今に至るも強く感じさせてくれるのに十分なものでした。 アルフォンス・ミュシャ作品集では膨大な数の作品の中から62点を選んでご覧頂けるようになっていますが、他にこちらのサイトでも多くの作品が取り上げられていますので、まだまだ見たいという方は、そちらもご訪問になられては如何でしょうか。ただ、やはり特に油彩などは画像では本物の迫力に及ぶものではなく、もし機会に恵まれることがありましたら、ぜひ美術館や展覧会に足を運んでみて頂きたいものだと思います。 一般に絵画鑑賞とは、絵という平面上の視覚要素を観賞するに留まる場合が多いかと思いますが、綺麗な絵を単に綺麗な絵としてだけ楽しむのは少し勿体無いことかもしれません。本物の芸術作品には必ず作者の心が反映されているもので、作品を通してそれが感じられるようであれば、一枚の絵が多くのことを語っていることに気づかれるでしょう。ここでもその手掛かりとしていくつかの関連記事をご紹介していますが、 これらの記事からは画家の生涯を知ることが出来ますし、作家でもある彼のご子息、イージー・ムハ氏による これらは、そのひととなりや意外な写真との関わりを知る手掛かりになります。 また、ミュシャのチェコ芸術史における位置については 体系立てた彼の年譜や各年代における作品傾向については、 これらから多くを学ぶことが出来るでしょう。他に、 ★Local Boy Makes Good これは1994年、ニューズウィーク誌に掲載されたもので、当時チェコで開催された大掛かりなミュシャ展を取り上げた興味深い内容になっています。ミュシャの祖国であるチェコでは、近代美術や社会主義の影響もあって一時その作品が過小評価されていた時代があったのですが、1991年にミュシャ財団が発足すると改めてその芸術作品としての価値が見直され、その3年後にこのような大きな展覧会によって再評価されるに至ったようです。やはり本当に素晴らしい作品は、不遇の時代があっても必ずその真価が認められる時がくるということでしょうか。 こうした記事を読まれた後で改めて作品をご覧頂きますと、おそらくそれらが単に綺麗なだけの絵ではないことがお分かり頂けるのではないかと思います。華麗な作品の世界と同時に、画家の心を感じて頂けるようであれば嬉しいのですが...。
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