四の五の言わずに黙って暗記 - 文法なんてカンタンだ!!

基礎確認篇★その9.完了形

1.現在完了

 

英語に関して日本人が苦手な部分は数々ありますが、「完了形」というのも前置詞や冠詞と並んで一番理解しづらいところではないでしょうか。でも、日常とてもよく使われる基本的な形ですから、ココでしっかり押さえておきましょう。

完了形の表現する内容として、「経験」「継続」「完了」「結果」の4種類があることは学校英語でも最初に教えてくれます。でも、いきなりこんなコトを言われても、どれがどれだか初心者さんは理解に苦しむだけかもしれません。以前から、「英語感覚を養う」ということをよく書いていますが、完了形を理解するには特にこの「英語感覚」がモノを言います。日常よく使われるフレーズをたくさん丸覚えしてゆくと完了形も自然と含まれてくるので、「経験」「継続」「完了」「結果」なんて漢字で教えられるより、ずっとどういうことか理解しやすくなるんですけどね。

では実際に使われるフレーズを見ながら、それぞれが意味するところを考えてゆきましょう。以下で使っている例文は日常でもよく使われるフレーズですので、丸覚えしておいて損はありません。

 

1. 完了形の型

● 現在完了形 「have (has) + 過去分詞

過去完了形 「had + 過去分詞

未来完了形 「will (shall) have + 過去分詞

 

2. 完了形の意味

完了形は、「経験」「継続」「完了」「結果」を表現することは既に書きましたが、過去完了形ではこの他に「大過去」「仮定法」という用法があります。過去完了形については次章で解説しますので、この章ではまず現在完了形の例を見ながら、基本の4表現についてしっかり把握してゆくことにしましょう。

@)経験 「今までに〜したことがある」

I've never been here. (私は今までここに来たことがなかった。)

I've been to New York before. (私は前にニューヨークに行ったことがある。)

過去に経験したこと(もしくは、経験したことがないこと)について言うことができます。この意味で使われる場合、ever(かつて)、never(決して〜ない)、before(以前に)、once(一度)、often(しばしば)、sometimes(ときどき)など、経験の度合いや時期を示す副詞が伴われることもよくあります。

★Point1★ ちなみに「行ったことがある」と言う時、「行く」という日本語につられて初心者さんは「gone」を使ってしまいがちですが、「have gone」という形は「行ってしまって、今ここにはいない」という「結果」を表現することになります。「行ったことがある」という場合は、必ず「have been」が使われるので、区別して覚えておくようにしましょう。

ex) He has gone to New York. (彼はニューヨークに行ってしまった。=結果として今ここにいない。)

★Point2★ 「have been to」という形は、「〜したことがある」という「経験」を表す他に、「〜へ行ってきたところだ」という「完了」に近い意味を表現することもあります。これは「どこに行ったのか」から、状況で判断して区別することができます。一般に「経験」を言う時は対象となる場所に行くことが珍しい場合が多くなりますが、日常的に出入りする場所については特別な経験として語ることは少ないでしょう。従って「行って来たところ」という状況を説明していると考えることができます。どちらにしても、完了形としての意味に拘るよりも、前後関係から自然と浮き上がってくる意味に着目するのが理解のコツです。

ex) I've been to the post office. (郵便局に行って来たところです。)

 

A)継続 「今までにずっと〜している」

I've heard nothing from him since then. (それ以来、彼から音沙汰がない。)

I've known him since he was a child. (私は彼が子供の頃から知っている。)

このように「継続」を表す意味に使う場合は、How long (どのくらいの期間)、since(〜以来)、always(いつも)、for 〜years, weeks, months(〜年、週、月の間)など、具体的に期間を表す言葉が伴われることがよくあります。

さて、前章で進行形のお話をした時に、動詞には「状態動詞」と「動作動詞」があると書きました。「ずっと〜している」ということは、意味的に進行状態を表現するわけですが、完了形で継続を表す場合も、単なる進行形がそうだったように「状態動詞」を進行形にする必要はありません。従って上の例のように「have (has) + 過去分詞」という基本の完了形を使えば事足りるわけですが、問題は「動作動詞」を使う場合です。

これは「動作の継続(進行)」を表しているので、完了形としてもちょっと特殊な形「完了進行形」というのを使います。現在完了形なら「have (has) + been + 〜ing」の型を用いる「現在完了進行形」になるわけですね。

He has been waiting for you for a long time. (彼は長い間ずっとあなたを待っています。)

I've been reading this book since this morning. (私は今朝からずっとこの本を読んでいます。)

★Point3★ 上例のように「継続」を表す場合は「完了進行形」になる「動作動詞」も、「完了、経験、結果」の意味で用いる時には、基本の完了形「have (has) + 過去分詞」を使いますので、区別して覚えておくようにして下さい。なぜなら、これらはどれも進行中のことを言っているのではなく、過去に起こったことについて言っているからです。しかし、これらの場合でも、完了形とは全くの過去形ではちょっとニュアンスが違ってしまう場合に用いられる表現だと理解しておいて下さい。現在完了形のニュアンスは、単に過去に起こったことを述べているのではなく、現在との関連性を伴って表現されているからです。

ex) 

I've just read this book. (ちょうどこの本を読み終わったところだ。) ... 完了

I've read this book before. (前にこの本を読んだことがある。) ... 経験

I read this book last month.. (私は先月、この本を読んだ。) ...単なる過去(過去のある時点で読んだという事実に焦点)

 

B)完了 「もう〜してしまった、今〜したところだ」

I've already finished my homework. (私はもう宿題を終わってしまった。)

I have not finished my homework yet. (私はまだ宿題をしてしまっていない。)

Mother has just cleared the table. (お母さんがちょうど食卓を片付けたところだ。)

「完了」を表す場合は、just(ちょうど)、now(いま)、already(既に)、yet(まだ)などが伴われることがよくあります。

 

C)結果 「〜したので、今は〜だ」

He has gone to New York. (彼はニューヨークに行ってしまった。=結果として今ここにいない。)

Winter has gone. (冬は去った。=結果として、今は春だ)

「結果」は「完了」と意味が近いですが、言葉で言われていることそのものよりも「その結果としての現在の状態」の方に話者が重点を置いていることに着目して下さい。例えば、Spring has come. (春が来た。)は、春が来たことそのものに話題の重点が置かれているわけですが、Winter has gone. では、「冬が去ってやっと春だ」という含みの意味の方に重点が置かれています。ニュアンス的な違いですね。

 

3.4つの意味の見分け方

以上、完了形が表現する基本的な4つの意味について解説して来ましたが、意味を理解するには文の型よりも、その表現が出てきた前後の文脈や、その文に含まれる副詞などの修飾語に着目することが大切です。会話なら、会話の流れですね。そうすれば、特に完了形と意識して聞いたり読んだりしなくても、自然と意味するところは理解できると思います。文法的な内訳は、あくまで知識として知っていれば良いことなので、あまりそれにばかり頼って理解しようとしてはいけません。

 

4.現在完了形は、明らかに過去を表す語句と一緒に使ってはいけない

an hour ago、yesterday などのように、明らかに過去のある時点を示す語を伴う時は、過去に起こったことそのものに話の重点が置かれているので、現在との関連性を持っている現在完了形を使うことはできません。但し、since yesterday のように、過去のある時点から現在にまでにおよぶ期間が示されると、現在との関連性が出てくるので完了形を使うことができます。

× I've been reading this book yesterday.

 I've been reading this book since yesterday.(私は昨日からずっとこの本を読んでいる。)

また、just now という表現は厳密に言うと a moment ago と同じ意味になり、過去を表す言葉として扱われるので、これも現在完了形と一緒に用いることはできません。「いまちょうど」という意味に用いる場合は、just だけにします。

× I've finished my homework just now..

 I've just finished my homework. (私はちょうど宿題を終わったところだ。)

 I finished my homework just now. (私は少し前に宿題を終わった。)

この他に、When や What timeで始まる疑問文は、過去のどの時点で起こったのかを尋ねる内容となるため、この場合も現在完了形は使わず、単なる過去形を用います。

× When have you seen him?

 When did you see him? (あなたはいつ彼と会いましたか?)

 

5.短縮形の使用

完了形では、よく以下のような短縮形が用いられます。

I have → I've

have not → haven't

has not → hasn't

 

では、以上のような点に注意して、以下の日本語を英語に直してみて下さい。極力、日本語で考えず、イメージを自動的に英語にする努力をしましょう。もちろん、発音やイントネーションにも注意して下さい。すぐに言えなかった場合は正解例を見て記憶し、少し時間を置いてから言えるかどうか試してみます。これを何回か繰り返すうちに、日本語に対応した英語が難なく出てくるようになると思いますよ。

1. 彼らは、親友になった。

1. They've become good friends.

2. トムは一週間以上も留守にしています。

2. Tom has been away more than a week.

3. メアリーは月曜日からずっと学校を休んでいます。

3. Mary has been absent from school since Monday.

4.  あなたはロンドンに行ったことがありますか?

4. Have you (ever) been to London?

5. どのくらい(の期間)、英語を習っているんですか?

5. How long have you been learning English?

6. 彼女が死んでから5年になります。

6. It's been five years since she was dead. 

7. もうベルは鳴りましたか?

7. Has the bell rung yet?

8. 今までどこに行っていたんですか

8. Where have you been?

9. 気でも狂ったんですか? 

9. Have you gone mad?

10. 彼女はギターを持っています。 10. She's got a guitar.

 

解答例で下線を引いた言葉は、イディオムや慣用表現としてよく使われるものです。合わせて覚えておくようにしましょう。

be away (留守にしている)、be absent from school(学校を休んでいる)

Where have you been? ... しばらく姿が見えず、戻ってきた相手に行き先を聴く時の決まり文句。

Have you gone mad? ... 信じられないようなことを言い出した相手に、本気か尋ねる時によく使われる慣用表現。

have got ... 持っている(所有している)という意味によく使われる慣用表現。

 

2007.9.19.

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