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基礎確認篇★その15.副詞

1.種類・用法と位置

 

副詞とは、主に動詞、形容詞、他の副詞に補足的な説明を加える(=修飾する)語ですが、これらの他にも名詞、代名詞、句、節、文全体にかかってくる場合もあり、要は副詞は文の骨組みとなる様々な要素に対して、より詳細な説明を加える時に用いられる語句と理解しておきましょう。形容詞も「詳細な説明を加える」という点では同じですが、こちらが名詞を修飾する語であるのに対して、副詞は文のあらゆる要素にかかって来る点が違います。

日本語を例に取ると、

「きれいな花」 → 「きれいな」は形容詞

きれいに飾る」 → 「きれいに」は副詞

 

これを英文に応用してみると、

beautiful flowers (きれいな花々) → 「beautiful」は形容詞

He decorated the cake beautifully. (彼はケーキをきれいに飾りつけた) → 「beautifully」は副詞

 

この例からも分かるように、日本語と同様に英語でも副詞は形容詞の語尾が変わっているだけのものが大変多いのは確かですが、文中でどれが副詞かを判断する時に語の形だけに頼ってはいけません。なぜなら、よく使われるveryやmuchなども副詞の仲間ですし、不定詞が副詞として用いられている場合だとか、形容詞と同型で副詞の働きをするもの、前置詞として知られているbefore やsinceの副詞用法などもあるからです。具体的には以下で解説しますが、副詞にもいろいろな形のものがあるので、まず、副詞とは「文の骨組みとなる様々な要素に対して、より詳細な説明を加える時に用いられる語句」であるという大局的な理解が大切なのです。

ex) 

She is very beautiful. (彼女はとても美しい)・・・ 形容詞を修飾

I've never seen him before. (私はこれまでに彼に会ったことはなかった・・・ 動詞を修飾

Jane came to see you yesterday. (昨日、ジェーンがあなたに会いに来ました)・・・ 動詞を修飾

上例では、「彼女は美しい」「私は彼に会った」「ジェーンが来た」が文の骨子となるわけですが、これに対して副詞として用いられている部分はどれも、補足的な説明を加えているということが理解してもらえるでしょう。

こう考えると、文はその骨子となる内容を把握し、それから副詞がどういう補足を加えているかを見るようにすれば理解しやすくなるということが分かると思います。はなはだしくは、文の骨子となる部分が理解できれば、副詞の意味を知らなくても常識から判断してその意味が推測できる場合もあり、これも長文速読即解のひとつのコツと言えます。

 

.種類

@) 単純副詞

beautifully, honestly など、形容詞や名詞から派生した語や、very, much, little, never, before, ago, since などの量、程度、時、場所、状態を表す語、つまり一般的に「副詞」と言って連想される語がこの仲間に入ります。

ex)

●時を表すもの ・・・ then, today, yesterday, ago, before など

●場所を表すもの ・・・ here, there, home, far, near, above など

●程度を表すもの ・・・ very, little, much, too, almost など

●度数・回数を表すもの ・・・ often, sometimes, usually, once, always など

●方法・様子を表すもの ・・・ so, well, slowly, fast, hard など

●否定語 ・・・ not, never, seldom, hardly, scarcely など

●その他 ・・・ yes, no など

 

A) 疑問副詞

疑問文に用いられる5W1Hのうち、時、場所、理由、程度を尋ねるwhen, where, why, howは特に「疑問副詞」と呼ばれます。これに対して、which, whatは「疑問代名詞」です。

ex) Where do you come from? (あなたはどこの出身ですか?)

 

B) 関係副詞

時、場所、理由、程度を尋ねる疑問詞であるwhen, where, why, howが関係詞として用いられて節を導き、副詞節となっていることがあります。この場合、これらは「関係副詞」と呼ばれます。

ex) She didn't know the reason why he got angry.(彼女は彼が怒った理由を知らなかった。)

 

以上3つのうち、ここでは一般的な単純副詞について解説します。疑問副詞や関係副詞は、疑問詞や関係詞の項目を参照して下さい。

 

2.用法

@) 動詞、形容詞、他の副詞を修飾

ex)

She typed the letter carefully. (彼女は注意深く手紙をタイプした) ・・・ 動詞(typed)を修飾

Her passion for music is wholly admirable.  (彼女の音楽への情熱は、全くもって感嘆に値する) ・・・ 形容詞(admirable)を修飾

He drove the car very fast. (彼はクルマをとても速く走らせた) ・・・ 他の副詞(fast)を修飾

 

A) 名詞、代名詞を修飾 (=副詞の形容詞用法)

ex) 

Only Tom could answered the question. (トムだけが、その問題に答えることができた) ・・・ 名詞(Tom)を修飾

Even you won't be able to solve the problem. (きみでさえ、その問題は解決できないだろう)・・・ 代名詞(you)を修飾

 

B) 句、節を修飾

ex) 

The traffic is heavy here, especially in the morning. (ここでは、特に朝は交通が激しい) ・・・ 句(in the mornig)を修飾

She left me only because my income was short.

  (収入が少ないというだけの理由で、彼女は私から去った) ・・・ 節(because my income was short)を修飾

 

C) 文全体を修飾

ex) 

Luckily they won the game. (幸運にも彼らは試合に勝った) ・・・ 文全体(they won the game)を修飾

 

3.位置

副詞は原則として動詞以外を修飾する場合はその語句の直前に置かれますが、動詞を修飾する場合や、特殊な用例など、慣用的に位置が決まっているものもあるので注意が必要です。副詞を使いこなそうとするなら、文法的なリクツを詳細に覚えこむよりも、例文を丸暗記することによって、副詞の位置を感覚的に掴んでしまうようにする方が楽で確実な方法と言えるでしょう。

 

@) 動詞を修飾する場合

@方法、状態を表す副詞は一般に動詞の後に置かれ、動詞に対して目的語が付いている場合は更にその後に置く

ex) 

He walked slowly. (彼はゆっくり歩いた)

He drove the car slowly. (彼はクルマをゆっくり走らせた)  ・・・ 目的語(the car)の後に置く

 

A回数や否定を表す副詞は原則として一般動詞なら直前 / be動詞なら直後に置く

ただし「助動詞+動詞」の場合は「助動詞+副詞+動詞」の形になる

ex) 

He often comes to see his grandmother.. (彼は、しばしば彼の祖母に会いに来る)

Her opinions are always right. (彼女の考えはいつも正しい)

He will never come again. (彼は二度と来ないだろう)

 

この種の副詞には、以下のようなものがあり、よく使われるものなので合わせて覚えておくと良いでしょう。

sometimes(時々)、always(いつも)、often(しばしば)、usually(ふつう)、generally(一般的に)、almost(ほとんど)、

ever(かつて)、never(決して〜ない)、seldom(めったに〜ない)、hardly(殆ど〜ない)、scarecely(殆ど〜ない)

 

B特定の時を表す副詞は文頭、または文尾に置き、場所、方法、時を表す語を並べる時には、文尾に置いて「場所+方法+時」の順にする。

ex) 

We went camping last week. = Last week we went camping. (先週、我々はキャンプに出かけた)

She will be here tomorrow. (彼女は明日、ここに来るだろう)

She goes to school by bus every morning. (彼女は毎朝、バスで通学している)

  

A) 文全体を修飾する場合

文頭に置くのが一般的だが、文中、文尾に置かれることもある。なお、文中に挿入する時は動詞の前に置かれ、話者の見解を述べるような意味の場合が多い

ex) 

Probably he comes from Osaka. = He probably comes from Osaka. (彼は、おそらく大阪出身だろう)

The man kindly showed me the way. (その人は、親切にも道を教えてくれた)

  

B) 「動詞+副詞」で他動詞となる語句で、その目的語が代名詞の場合は「動詞+代名詞+副詞」の語順になる

ex) She put it on. (彼女は、それを身につけた)

⇔ She put on her glasses. (彼女はめがねをかけた)

※この場合、She put her glasses on. という言い方はしても良いが、代名詞一語の場合は put it on の語順になることに注意。なお、このonは前置詞ではなく、副詞として使われていることにも着目して下さい。このように、英語では一語がさまざまな品詞に用いられることがよくあります。

 

C) not, never, alwaysなどがto不定詞を修飾する場合

to 不定詞を否定する場合はnotが前に来ることはよく知られているが、never やalways も同様にto不定詞の直前に置く。

ex)

He promised never to see her again. (彼は二度と彼女に会わないと約束した)

 

D) enough(十分に) と alone(ただ〜だけ)は、修飾する語の直後に置く

ex)

The weather was warm enough to go on a picnic. (ピクニックに行くのには十分なくらい、暖かかった) ・・・ 形容詞(warm)を修飾

You cannot live by love alone. (愛だけでは生きてゆけない)・・・ 名詞(love)を修飾

※一般に、名詞や形容詞を修飾する場合、副詞は修飾する語句の直前に置かれるわけですが、enough やalone は慣用的な例外と言えます。この語順で記憶しておきましょう。

 

副詞の位置については「方法、状態を表す副詞はどこどこに〜」なんて覚えるより、例文の方を丸暗記する方が絶対確実で楽です。どこかでも書きましたが、文法を法律の条文のように覚えこんでも、決して英語は話せるようになりません。以下の練習問題にも、よく使われる副詞を集めてみましたので、このまま記憶して応用できるようにして下さい。

最終的には、極力日本語で考えず、イメージを自動的に英語にできるようにしましょう。もちろん、発音やイントネーションにも注意して下さい。すぐに言えなかった場合は正解例を見て記憶し、少し時間を置いてから言えるかどうか試してみます。これを何回か繰り返すうちに、日本語に対応した英語が難なく出てくるようになります。これが定着する頃には、不自然にならない副詞の位置も身についているでしょう。

1. メアリはそっとボタンに触れた。

1. Mary touched the button gently.

2. ロイの意見は、私のものと全く違っていた。

2. Roy's opinion was totally different form mine.

3. 私は、2週間ほど前に、ここで彼を見かけた。

3. I saw him here about two weeks ago.

4. 彼は大変上手にフランス語を話す。

4. He speaks French very well.

5. ジェーンは二度と彼と一緒に出かけないと決めた。

5. Jane decided not to go out with him again. 

6. 彼は、ふつう朝早く起きる。

6. He usually gets up early in the morning.

7. 彼はめったに間違いを犯さない。

7. He seldom makes mistakes. 

8. 我々は暗闇では殆ど見えない。

8. We can scarcely see in the dark. .

9. 彼らは一昨日、飛行機でロンドンへ発った。

9. They left for London by plane the day before yesterday.

10. 彼らは一昨日、飛行機でロンドンを発った。

10. They left London by plane the day before yesterday.

※下線を引いた副詞の位置に注意して覚えて下さい。なお、910では、leave for と leaveが正反対の意味になることも合わせて覚えておきましょう。

 

2008.4.19.-4.20.

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