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基礎確認篇★その11.名詞

1.名詞の種類

 

名詞には「固有名詞、物質名詞、抽象名詞、普通名詞、集合名詞」の5種類があります。このうち普通名詞と集合名詞は「可算名詞(数えられる名詞)」、残りの三つは「不加算名詞(数えられない名詞)」となります。

状態動詞と動作動詞について説明した時にも書きましたが、英単語は一語が沢山の意味を持つという性質上、名詞の場合もどの単語がどの種類と決まっているわけではありません。その名詞がどういう意味に使われているかで名詞の種類も決まるので、従って数えられるか数えられないかもそれによって変わってくるということに注意して下さい。ひとつ例を示してみましょう。同じ「iron」という単語ですが、前者は「鉄」、後者は「アイロン」として使われています。物質名詞には冠詞がついていません。

ex) This table is made of iron. (このテーブルは鉄で出来ている。) ・・・ 物質名詞 = 不加算名詞

  She used an iron. (彼女はアイロンを使った。) ・・・ 普通名詞 = 可算名詞

 

名詞の種類を分類すると、下の表のようになります。

   

不加算名詞が普通名詞扱いになる場合

不加算名詞 固有名詞 @ 特定の作品や、会社などの製品

A「a、an + 名前」の形で、「〜のような人」という意味で用いられる

B「a、an + 名前」の形で、「〜という(姓)名の人」、「〜家の人」の意味で用いられる

物質名詞 @その物質で作られた製品

A物質の断片を表す

抽象名詞 @その性質を持った人を表す

Aその性質を持った行為を表す

加算名詞 普通名詞

*****

集合名詞

*****

 

1.固有名詞 ・・・ 特定の人、または事物に固有の名前

ex) Paris、France、Jane、Tom

<<特徴>>

● 最初の文字を大文字で書き始める

 

● 不加算名詞

ただし、以下のような場合は固有の名前が普通名詞として用いられており、従って普通名詞扱いとなるので数えられます。

@ 特定の作者の作品や、会社などの製品

ex) She has two Cezznnes (彼女は、セザンヌの作品2枚持っている。)

A「a、an + 名前」の形で、「〜のような人」という意味で用いられる

ex) Tom wants to be a Beethoven. (トムはベートーベンのような人になりたがっている。)

B「a、an + 名前」の形で、「〜という(姓)名の人」、「〜家の人」の意味で用いられる

ex) I know two Joneses. (私はジョーンズという名の人を二人知っている。)

  He is also a Jones. (彼もまた、ジョーンズ家の人間なのだ。)

 

● 原則として冠詞は付けないが、以下のような例外がある

@河川、海洋の名前 ・・・ the Nile (ナイル川)、the Pacific Ocean (太平洋)

A乗り物の名前 ・・・ the Hikari (ひかり号)、the Kodama (こだま号)

B公共建築物の名前 (但し、公園、駅、橋、寺院、通りなど、冠詞をつけないものもある)

  ・・・ the Central Theater (セントラル劇場)、the Red Cross Hospital (赤十字病院)

C新聞、雑誌、書物の名前 ・・・ the Times (タイムズ紙)、the Bible (聖書)

D家族、山脈、群島、合衆国など、複数が集まってひとまとまりになったもの表す名詞 (複数固有名詞)

  ・・・ the Joneses (ジョーンズ家)、the Appalachians (アパラチア山脈)、the Philippines (フィリピン群島)

E「the + 国名形容詞」で国民全体を現す名詞 

この場合は複数扱いとなりますが、語尾が「an」「k」の場合は最後に「s」を付ける必要があります。

  ・・・ the English (英国民)、the Americans (アメリカ国民)、the Greeks (ギリシア国民)

  

2.物質名詞 ・・・ 自然界に存在する様々な物質を示す名前

ex) sugar、water、silver

● 不可算名詞

物質名詞は複数形にして数えることは出来ませんが、「a cup of water」のように容器や量を単位としてなら数えられます。複数にする時は物質名詞自体ではなく、「two cups of water」のように単位となる単語の方を複数にする点に注意して下さい。また、正確な数ではなく、漠然と量の多少を言う時は「much、little」用います。

ex) three sheets of paper / two pounds of beef / a glass of milk

  a piece of bread ※(パンの場合はその形状によって、a loaf of〜、a roll of〜、a slice of〜も使えます。複数を言う時はloaves、rolls、slicesです。

  much beef / little sugar

また、その物質を用いた製品は普通名詞扱いになるので通常の形で数えられます。

ex) an iron / three irons (アイロン) 

 

3.抽象名詞  ・・・ 概念、観念を示す名前

ex) freedom、truth、happiness、information、news、advice、knowledge

● 不加算名詞

物質名詞と同じく複数形にすることはできませんが、「a piece of information」のようにして数えることはできます。この場合も複数にする時は「two pieces of news」のように、単位となる単語の方を複数にする点に注意して下さい。(※news のように、常に複数形で独立した意味を持つ単語があります。これらはsが付いた形で一単語として覚えておきましょう。)

ex) a piece of advice / information / knowledge / news

  ※knowledge は「an element of〜、an item of〜 」、news は「an item of〜」を使っても数えられます。複数を言う時は「elements、items」です。

また、量の多少を言う時に「much、little」を使うのも物質名詞と同じです。

 

4.普通名詞  ・・・ 同種類の人または事物に共通の一般的な名詞。「a、an」が付くか、複数形にして用いられる。

ex) girl、apple、student

● 可算名詞

 

5.集合名詞  ・・・ 個別の要素が集まって集団となったものの名前。

● 可算名詞

集合名詞には単数扱いと複数扱いの両方に用いられるものと、どちらかにしか用いられないものとがあるので注意が必要です。

@単数扱い、複数扱いの両方に用いられるもの

ex) family、class、committee、team、audience

・集合体をひとまとめにして言う場合は単数扱い ・・・ 動詞が単数扱いになっている点に注目。

 He has a large family. (彼の一家は大家族だ。)

 The class consists of fifty students.(そのクラスは50人の学生から成る。)

 The committee meets every Wednesday.(委員会は毎水曜日に召集される。)

 A project team was organized.(プロジェクトチームが結成された。)

 

・集合体の構成員それぞれを指している場合は複数扱い ・・・ 動詞が複数扱いになっている点に注目。

 His family are all healthy.(彼の家族は皆健康だ。) 

 All the class agree with their teacher. (クラス全員、先生に賛成だ。)

 All the committee were present that day. (あの日は、全ての委員が出席していた。)

 The project team were mostly women.(そのプロジェクトチームは殆どが女性だ。)

この用法の集合名詞は 「= the members of the 集合名詞」の形に置き換えて考えると分かりやすいと思います。例えば「committee」なら、「the members of the commitee」の意味で用いられているわけですね。これはニュアンス的なもので、話者が家族やクラス全体について言いたいのか、その構成員について言いたいのかで扱いが変わってくるということです。この場合の集合名詞は複数形にせず、単数形のまま複数扱いになっている点にも注意して下さい

これに反して、同種の集合体がいくつかあると言いたい場合は集合名詞自体が複数形にされます。

 There are twenty classes in this school. (この学校には20クラスある。)

 

A常に複数扱いのもの

ex) police、people、cattle (牛の群れ)

 The police have a clue. (警察は手がかりを掴んでいる。)

police = policemen であって、一人の警官を言うには 「one policeman」「a policeman」となります。「one police」とは言わないことを覚えておきましょう。

また、people も通常は単数形のまま複数扱いになる集合名詞ですが、意味が「民族、国民」になると複数形にされます。

 The Americans are one of the English-speaking peoples. (アメリカ人は英語を話す国民のひとつだ。)

 

B 常に単数扱いのもの

ex) clothing(衣類)、scenery(景色)、baggage、luggage(手荷物)、furniture(家具)、machinery(機械)

これは非常に特殊な集合名詞です。例に挙げたものが代表的なので覚えておくと良いでしょう。これらは

・「a、an」を伴ったり、複数形にされることが全くない

・量の多少を言う時には「much、little」を用いる

・数える時には「a piece of」「an article of」を使う。

以上の点で、不可算名詞的であると言えますね。

 She has three pieces of furniture. (彼女は家具を三点持っている。)

 The factory has much new machinery. (その工場には新しい機械が沢山ある。)

 

こうして品詞を体系立てて分析してゆくと、文法って多様な口語表現を一生懸命システマティックに組み上げようとしているなあと思いますが、それだけに文法にはどうやってもきっちり線を引ききれない曖昧な部分が出てきてしまいます。「単数扱いにしかしない集合名詞」なんてのは、それって単に不可算名詞なんでは? って感じですよね。こういうことが多いので、英語は文法中心で理解しようとしても難しくなっちゃうってことでしょう。「one police」とは言わないんだなんてのも、日常で習慣的に英語を使ってる人たちにとってはリクツじゃなくて慣例みたいなもので、こういう種類のことは毎日沢山の英語に触れて英語感覚を養うことでしかクリアできないことだと思います。逆に、そういうのも生活の中で習慣として感覚的に覚えてしまうと、文法でどーだこーだと言わなくても自然と使えてくるものでしょう。文法はあくまで補助的に用い、日常で沢山の英語に触れることこそ最良の道だという理由がお分かり頂けるでしょうか。

では、以上のような点に注意して、以下の日本語を英語に直してみて下さい。極力、日本語で考えず、イメージを自動的に英語にする努力をしましょう。もちろん、発音やイントネーションにも注意して下さい。すぐに言えなかった場合は正解例を見て記憶し、少し時間を置いてから言えるかどうか試してみます。これを何回か繰り返すうちに、日本語に対応した英語が難なく出てくるようになると思いますよ。

1. メアリは今、裕子と一緒に日本にいます。

1.  Mary is now in Japan with Yuko.

2. 彼は毎朝、砂糖とクリーム入りのコーヒーを飲みます。

2. He drinks coffee with sugar and cream every morning.

3. 彼女はペンとインクを取り出しました。

3. She took out a pen and ink.

4. トムは沢山お金を持っている。

4. Tom has much money.

5. ジェーンは牛肉を2ポンド買った。 5. Jane bought two pounds of beef.
6. ロイはウイスキーまるごと1本を軽く飲む。 6. Roy drinks the whole bottle of whisky easily.
7. 人生は短く、時は過ぎやすい。 7. Life is short and time is swift.
8. あなたはこの報告書に、どのくらい時間をかけましたか? 8. How much time did you spend on this report?
9. あなたは昨夜、テッドに何回電話をかけましたか?  9. How many times did you call Ted last night?
10. 時代は変わりつつある。 10. Times are changing.

解答例8〜10は、「time」という単語が様々な意味に用いられる例です。それぞれ意味によって扱いが変わっている点に注意しましょう。8では「時間」という抽象名詞なので不可算名詞扱いとなるため「much」が、9では「回数」という普通名詞なので可算名詞扱いとなって「many」が付いています。また10では「時代」という意味に用いられていますが、この意味では複数形になるのが通例です。このように英単語はいろいろな意味に用いられたり、習慣的に使い方が決まっていたりするものが多いので、その点を考慮して扱いを決める必要があります。

 

2007.10.25.-10.30.

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