be動詞や代動詞を用いた簡単な疑問文の作り方は「基礎編その2.疑問文と答え」で書きましたが、疑問詞を用いることにより、更に複雑な内容について尋ねることが出来るようになります。基本的に疑問詞は、何らかの不知の事柄の代用として文頭に置いて用いられますが、ここではそれについて体系立てて解説してみましょう。 まず、疑問詞には疑問代名詞(who, which, what)と、疑問副詞(when, where. why, how)があります。これらは関係代名詞/関係副詞としても用いられるものですが、関係代名詞/関係副詞が先行詞として明示されている事柄に対して後続の文を接続する働きをするのに対し、疑問代名詞/疑問副詞は疑問の対象となる明示されていない事柄の代用として用いられるところに相違点があります。 この章では疑問代名詞について解説していますので、疑問副詞については次章を参照して下さい。
1.疑問代名詞の格 疑問代名詞にはwho、which、what の三つがあり、whoだけは下表のように格によって変化します。また、これらは文中において、主語、動詞や前置詞の目的語、補語として用いられます。
2.疑問代名詞の用法 @)who(主格) ・・・ 不知の人物について「誰」であるのかを問う ex) Who bought the flowers on the desk? (机の上にある花を買ったのは誰ですか?) ― Mary bought them. (メアリが買いました) / It was Mary. (メアリです) 主格whoが、不知である本来の主語の代用として文頭に置かれている点に注目して下さい。そのため、後には動詞以下の文がそのまま続きます。
A)whose(所有格) ・・・ 不知の人物や、所有者が不知の物品について「誰に関係する人物であるか/誰の所有物か」を問う ex1) Whose book was stolen? (誰の本が盗まれたんですか?) ― My book (was stolen)./ (It was) mine. (私のです) ・・・所有者が不知の物品について誰の所有物かを問う/bookは主格なので後には動詞以下の文がそのまま続く ex2) Whose wife will take care of our children tomorrow afternoon? (明日の午後、誰の奥さんが私たちの子供の面倒を見てくれるんですか?) ― Sam's wife (will take care of our children tomorrow afternoon). (サムの奥さんです) ・・・不知の人物について誰に関係があるかを問う/wifeは主格なので後には動詞以下の文がそのまま続く ex3) Whose wife does he love? (彼は誰の奥さんが好きなんですって?) ― (He loves) Sam's wife.(サムの奥さんです) ・・・不知の人物について誰に関係があるかを問う/wifeは目的格なので後にはdoesを用いた疑問文が続く
基本的に whoseが文中の不知の部分の代用として文頭に置かれていることに着目して下さい。このような使い方をする時は、所有格whoseとセットになった名詞を切り離さないで文頭に持って来ます。なお、所有格の疑問詞に後続する文は、所有の対象となる名詞が主語の場合は動詞以下をそのまま続けますが、名詞が目的語ならば主述を倒置するか、代動詞を用いた疑問文の形になることにも注意して下さい。 ただし、Whose is this book? (この本は誰のものですか?)のような使い方もあり、この場合のwhose は「所有代名詞的な用法」であると言われます。これはmine やyours などと同様に、その語そのものに名詞としてのニュアンスが含まれているので、後に名詞を続ける必要がない用法ですが、後続の文の方に名詞が残ることに注意して下さい。なお、これはもちろん Whose book is this? とも言うことが出来ます。
B)whom(目的格) ・・・ 不知の人物が動詞、もしくは前置詞の目的語となる場合に用いられる 基本的に目的格の疑問詞も文中で不知の事柄の代用として文頭に置かれますが、主格と違って後続の文は主述を倒置するか、代動詞を用いた疑問文の形になります。 ただし、特に口語ではwhoで代用される場合が多く、また、前置詞の目的語として用いられる場合は文法的には前置詞を文頭に出すのが正しい形ですが、口語では一般に後置されます。 @ 動詞の目的語となる ex) Whom does he love? (彼は誰を愛していますか) ・・・基本の形 = Who does he love? ・・・whomの代わりにwhoを用いた形 ― He loves Mary. (彼はメアリを愛しています) A 前置詞の目的語となる ex) With whom did you go there? (あなたは誰とそこに行ったんですか) ・・・基本の形 = Whom did you go there with? ・・・ 前置詞が後置された形 = Who did you go there with? ・・・ whomの代わりにwhoを用いて前置詞を後置した最も一般的な形 ― I went there with Mr. Williams. (ウィリアムズ氏とです)
C) which ・・・回答の範囲が限られている場合に「どちらの/どの」の意味で使う @ 主格として用いる ex) Which is faster, this car or a bullet train? (この車と新幹線、どちらが早いですか) ― This car is (faster than a bullet train.) (この車です) A 目的格として用いる (動詞だけでなく前置詞の目的語にもなりうるが、用例はあまり多くないと思われる) ex1) Which colour do you take, red or blue? (赤と青、どちらの色を取りますか) ・・・二者からの選択 ex2) Which one do you like best among them? (それらのうち、どれが一番気に入りましたか)・・・示された三者以上からの選択 この例文のようなwhichの用法を特に「疑問形容詞」と呼ぶこともあります。なお、ex2) のようにwhichは選択肢が三者以上の場合にも「どの」の意味で使うことができます。 以上のようにwhichもwhoと同じく疑問詞は文頭に置かれ、主格の場合は述語動詞以下の文がそのまま続きますが、目的格の場合は主述を倒置するか、代動詞を用いた疑問文の形が続くことを忘れないで下さい。これは下で解説するwhatについても同じです。
D) what ・・・ 回答の範囲が限られず、漠然と「何」の意味で用いられる @ 主格として用いる ex) What makes you think so? (何があなたにそう考えさせるのですか? = どうしてそう考えるのですか?) What made you think so? (何があなたにそう考えさせたのですか? = どうしてそう考えたのですか?) ※「what makes 〜」は"why"の意味でよく使われる表現です。
A 目的格として用いる = 動詞、もしくは前置詞の目的語となる ex1) What do you want? (あなたは何を望んでいるのですか) ・・・動詞の目的語 ex2) What are you waiting for? (あなたは何を待っているのですか) ・・・前置詞forの目的語 ex2) は本来 For what are you waiting? ですが、whatもwhom同様に前置詞の目的語になっている場合は前置詞を後置する形が一般的です。
B 疑問形容詞 として用いる ・・・ whichと同様に後に名詞を続けて形容詞的に用いることができる ex) What colour do you like best? (どんな色が一番好きですか)
C Who is he? と What is he? What is he? (彼はどういう人ですか?) ― He's a lawyer. (彼は法律家です) 人物について訪ねる時には who/whatどちらも用いられますが、 ・「who」は主に「誰」のニュアンスで、名前や続柄などその人固有の部分に興味の対象がある場合に用いる ・「what」は主に「どういう人/何をしている人」のニュアンスで、職業や身分などその人に付随する事柄について興味の対象がある場合に用いる 以上のような違いがありますので、こちらが質問する場合は特に注意して使い分けましょう。ただし、回答の内容によっては、whoで尋ねられても答えが職業や身分になったり、whatで尋ねられても名前や続柄になることがあります。これは、その場の状況と話者の意図、ニュアンスなどによるものなので臨機応変な対応が必要です。
D what を用いた慣用表現 ● What is 〜 like? ・・・「〜は、どのようなものか」 ex) What is an animal called moose like? (ムースと呼ばれる動物は、どのようなものですか) ● What becomes of 〜 ? ・・・ 「〜はどうなるのか」 ex) What will become of our plan? (我々の計画は、どうなるのだろうか) ● What about 〜ing ? ・・・ 「〜してはどうか」 ex) What about calling it a day for now? (とりあえず今日はこのくらいで終わりにしてはどうですか?) ● What do you say to 〜ing? ・・・ 「〜してはどうか」 ex) What do you say to calling it a day for now? (とりあえず今日はこのくらいで終わりにしてはどうですか?) ● What is the matter with 〜? ・・・ 「〜はどうしたのか」 ex) What is the matter with him? (彼はどうかしたんですか?)
3.疑問詞の強調 「in the end」、「on earth」を疑問詞の直後に用いて、意味を強めることができます。 ex) What on earth are you doing here? (一体全体、あなたはこんなところで何をしてるんですか? ) What in the end happened to him? (一体全体、彼に何が起こったというんだ?)
では、以上のような点に注意して、以下の日本語を英語に直してみて下さい。極力、日本語で考えず、イメージを自動的に英語にする努力をしましょう。もちろん、発音やイントネーションにも注意して下さい。すぐに言えなかった場合は正解例を見て記憶し、少し時間を置いてから言えるかどうか試してみます。これを何回か繰り返すうちに、日本語に対応した英語が難なく出てくるようになると思いますよ。
解答9.〜10. What about 〜ing / What do you say to 〜ing に使われる「〜ing」は前置詞 about/toの目的語となる動名詞です。特にtoの後に不定詞と混同して原形を持って来てしまわないように注意してください。
2010.5.19.+12.11.+2011.1.7.+1.9.-1.10.
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