付帯状況は一般にwithを用いて言うことが多いですが、分詞構文がその意味を持つこともあります。形の上では、動名詞を伴って付帯状況を示すwithが省略されると、動名詞は分詞の扱いになって分詞構文の形を作ると言えるでしょう。しかし、withを用いた付帯状況には、withの後に名詞が来て、その名詞を修飾する形で分詞が形容詞的用法として用いられていることもあります。この場合のwithが省略されると、その句自体が名詞を文頭に持つ独立分詞構文の形になります。 He sat in the room with his arms (being) crossed. ・・・ crossed は過去分詞でhis arms にかかる形容詞的用法 ⇒ He sat in the room, his arms (being) crossed. ・・・ his arms crossed は独立分詞構文の形 ただし、withを用いた付帯状況は、この例文のように副詞句として文全体を修飾する場合と、下の例のように形容詞句として直前の名詞単体を修飾する場合があり、副詞句の場合はwithの省略が起こりますが、形容詞句の場合は一般にwithは省略しません。 ex) Do you know that girl with her hair (being) done up? ・・・ with以下は形容詞句として直前のthat girlを修飾 ちょっとややこしいですが、付帯状況を示す表現はwithが用いられるか用いられないかで相関関係が成り立ち、文法上の解釈においても幾つか押さえておくべき注意点があるので、体系立てて順に解説してゆきましょう。。
1. 基本的な分詞構文による付帯状況 ex) Listening to the music on the radio, he studies every day. = He studies every day, listening to the music on the radio. (彼はラジオの音楽を聴きながら、毎日勉強する) ※分詞構文は、このように文末に用いられたり、場合によっては文中に来ることもあります。
2. 「with+名詞+現在分詞/過去分詞/形容詞/『前置詞+名詞』の形容詞句」で表現される付帯状況とwithの省略 @)withを用いた付帯状況と分詞構文の相関関係 上例が分詞構文による基本的な付帯状況の表し方ですが、付帯状況と言えばwithを用いて言うことがよくあるのは前述した通りです。しかし、withは前置詞なので、これに動詞を続けるためには分詞ではなく動名詞を用いなければならず、分詞がwithに直接続いて付帯状況を表現することはありません。つまりもし、 He studies every day with listening to the music on the radio. という文があったとしても、このlistening は動名詞だということです。従って、注意点@基本的な分詞構文が付帯状況を表現しているとき、withを使って言い換えると分詞は動名詞の扱いに変わると言えます。。・・・「with+動名詞」⇒withの省略⇒分詞構文 しかし、with の後に名詞が続き、その名詞を修飾する形で分詞が用いられた場合(= 分詞の形容詞的用法)、この場合のwithが省略されることもあるので、そうするとwith が省略された形は、名詞を頭に出した独立分詞構文が付帯状況を表していると考えることができます。逆に言えば、注意点A独立分詞構文が表現する付帯状況をwithを使って言い換えても、それに含まれる分詞は名詞を修飾しているという点で「分詞である」という性質は変わりません。・・・「with+名詞+分詞」⇒withの省略⇒独立分詞構文 ex) He addressed enthusiastically with his hand (being)clenched and swung up. ・・・ 「with+名詞+過去分詞」で付帯状況を表現する副詞句となっている。この分詞clenched, swungは形容詞的用法でhis handを修飾している=「握り締められて振り上げられた手」の意味、なお、受動態なのでbeingは省略可能 = He addressed enthusiastically, his hand clenched and swung up. ・・・ with の省略=独立分詞構文(副詞句)が付帯状況を表現する形 (彼は手を握り締め、振り上げながら、熱心に演説した)
A)付帯状況の用法 @ 副詞句となる / 形容詞的用法の分詞がwithで導かれる副詞句に含まれて付帯状況を表現する場合 「with+動名詞」「with+名詞+分詞(形容詞的用法)」が副詞句となって文全体にかかるが、この場合withを省略して分詞構文の形にすることができる。 ● She went out with doing up her hair. (彼女は髪を結って出かけた) ・・・ 「with+動名詞」で付帯状況を表現、このdoingは動名詞であることに注意 ここで注意しなければならないのは先の注意点@でも書いたように、前置詞の後には名詞/名詞相等語が続くという法則から withの直後に名詞ではなく動詞が続く場合に用いられるのは分詞ではなく動名詞であるということで、つまり、この例文の場合、「doing は動名詞である」と判断され、それが含まれたwith以下が文全体にかかる副詞句として用いられているということになります。 しかし、このwithは省略することが可能で、 She went out, doing up her hair./Doing up her hair, she went out. ・・・ with の省略=分詞構文(副詞句)が付帯状況を表現する形 になると、「"doing up her hair"は分詞構文(副詞句)が付帯状況を示している」ということになり、注意点Aでも書いたように、「このdoingは分詞である」ということになります。
● He left the room with the phone ringing loudly there. (彼は、そこでうるさく鳴っている電話をそのままにして部屋を出た) ・・・ 「with+名詞+現在分詞」で付帯状況を表現、この分詞ringingは形容詞的用法でthe phoneを修飾している=「鳴っている電話」の意味 = He left the room, the phone ringing loudly there. / The phone ringing loudly there, he left the room. ・・・ with の省略=独立分詞構文(副詞句)が付帯状況を表現する形 = He left the room, while the phone was ringing loudly there. この場合のwhileは「一方で」の意味を持つ接続詞で、同時に発生するふたつの事柄(付帯的状況)を並べるのに使われる。また、この例文は「譲歩を表現する副詞句」や「叙述の継続」と見ることも出来る(Though the phone was ringing loudly there, he left the room. / The phone was ringing loudly there but he left the room.)。どれであるにしても進行形を含むのでbeingは省略される
● He sat in the room with his arms (being) crossed. ・・・ 「with+名詞+過去分詞」で付帯状況を表現、この分詞は形容詞的用法でhis armsを修飾している=「組まれた腕」の意味 = He sat in the room, his arms (being) crossed. ・・・ with の省略=独立分詞構文(副詞句)が付帯状況を表現する形 (彼は腕を組んで、その部屋に座っていた)
上の例では、受動態なのでbeingを省略することができたわけですが、beingは補語となる形容詞や形容詞句が後に来る時も省略されるので、過去分詞の位置に形容詞/形容詞句が来ていることもあります。 ● Don't sleep with your mouth (beign) open. ・・・ 「with+名詞+形容詞」で付帯状況を表現、openは補語なのでbeingを省略できる (口を開けて寝るな) ● He sat there with a pipe (being)in his mouth. ・・・ 「with+名詞+『前置詞+名詞の形容詞句』」で付帯状況を表現、in his mouthは補語なのでbeingを省略できる。なお、with a pipe in one's mouth はwithが省略されると慣用的にpipe in mouthの形で用いられる (彼は、パイプをくわえてそこに座っていた)
A 形容詞句となる / 形容詞的用法の分詞がwithで導かれる形容詞句に含まれて付帯状況を表現する場合 「with+名詞+分詞(形容詞的用法)」が形容詞句となって直前の名詞を修飾する。分詞構文は副詞句であって、形容詞としては用いられないから、この場合のwithは一般に省略しない。なお、分詞には単体で直前の名詞を修飾する機能があるので、この用法の場合は「with+動名詞」を用いる必要はなく、現在分詞を形容詞的用法として使って直前の名詞を修飾すればよい。
@の例では、with以下が文全体にかかる副詞句として用いられて付帯状況を表現していましたが、場合によっては直前の名詞を修飾する形で形容詞句として用いられることもあります。この場合は基本的にwithは省略しません。 ● Do you know that girl with her hair (being)done up? ・・・ with以下は直前の名詞girlを修飾する形容詞句 (あなたは結われた髪のあの少女を知っていますか? = あの髪を結った少女を知っていますか?) ※do up = (髪を)結う、(ものを)包む、束ねるなど、いろいろな意味があります。 この例文の場合、分詞(being)done が形容詞として用いられてher hairを修飾し、それを含むwithで始まる付帯状況を示す形容詞句が前出のgirlを修飾しています。しかし、withに名詞が続かなければ、分詞はwithの前にある名詞を修飾するためのものとして用いることができ、従って分詞が直接その名詞を修飾すれば良いことになってwithも必要なくなります。 ex) Do you know that girl doing up her hair? (あの、髪を結っている少女を知っていますか? ) ・・・ 分詞doingは形容詞的用法で、他の語 up her hairを伴って前出の名詞 girlを修飾している
● Do you know that boy with his mouth (being)open. ・・・ 「with+名詞+形容詞」は直前の名詞boyを修飾する形容詞句、openは補語なのでbeingを省略できる (あなたは口を開けているあの少年を知っていますか?)
● I know that woman with a baby in her arms. ・・・ 「with+名詞+『前置詞+名詞の形容詞句』」は直前の名詞womanを修飾する形容詞句 (私は、彼女の腕の中にいる赤ちゃんを伴ったあの女性を知っています = 私は、赤ちゃんを腕に抱いているあの女性を知っています) "with a baby in her arms"は本来、"with a baby being in her arms"なわけですが、being が省略されて、補語である形容詞句"in her arms"が名詞に直接続いています。このように、「with+名詞+『前置詞+名詞の形容詞句』」の形になる付帯状況が、形容詞句として用いられることもあります。 なお、この例文でも「with+名詞」を置かずに形容詞的用法の分詞でwomanを直接修飾する形で同様のことが言えます。 ex) Do you know that woman holding a baby in her arms? (赤ちゃんを腕に抱いているあの女性を知っていますか?) ・・・ 分詞holdingは形容詞的用法で、他の語 a baby in her armsを伴って前出の名詞 womanを修飾している 以上のことから最後の注意点は、注意点B分詞は他の修飾語を伴って前出の名詞を後置修飾する形で形容詞として用いることもできるので、これが付帯状況と同様の働きをするという点です。このような場合はwithを用いて形容詞句を作る必要がありません。(※ただし、文法的にはこの分詞は「形容詞的用法」であって、付帯状況とは呼ばれない点に留意して下さい。)
以上についてまとめると、付帯状況にはwithを用いるか用いないかで下の表のような関係が成り立つと思います。
※1 分詞はwithを伴わなくても形容詞として名詞を直接に後置修飾することが出来るので、withの後に名詞が続かない場合は分詞で直接直前の名詞を修飾すればよく、with伴う必要はない。(ex) a girl playing the piano/a woman holding a baby in her arms) ※2 withも名詞も伴わなければそれは単なる分詞で、それが形容詞(句)として用いられるのが※1の分詞の形容詞的用法であると言える。文法的にはこれは"付帯状況"とは呼ばれないが、名詞の表す存在に対する"付帯的状況"を表現していると見ることはできる。
では、以上のような点に注意して、以下の日本語を英語に直してみて下さい。極力、日本語で考えず、イメージを自動的に英語にする努力をしましょう。もちろん、発音やイントネーションにも注意して下さい。すぐに言えなかった場合は正解例を見て記憶し、少し時間を置いてから言えるかどうか試してみます。これを何回か繰り返すうちに、日本語に対応した英語が難なく出てくるようになると思いますよ。
2009.11.22.-11.30.+12.1. 中級篇★その2.準動詞3.分詞 B)分詞構文 〜形と意味〜 <<
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