分詞構文とは分詞が文頭に出て、接続詞と動詞を兼ねた意味を持つ副詞句として用いられるものをいい、従って、「接続詞+主語+動詞」という副詞節の形で言い換えることができます。逆に言えば、基本的には副詞節から接続詞と主語を省き、動詞を分詞の形にすれば分詞構文になるわけですが、副詞節と主節の主語が一致しない場合は、副詞節の主語が残って分詞の前に置かれ「独立分詞構文」となります。意味は、主に副詞節が示す「時、原因・理由、条件、譲歩」の他に、「叙述の継続」、「付帯状況」を表現することもあり、特に付帯状況や叙述の継続などでは、文の内容によって文頭ではなく文末や文中に来ることもあります。 一般に、分詞構文は文語的な表現とされますが、Frankly speaking(率直に言えば)、Generally speaking(一般的に言えば、概して)などのように独立分詞構文が口語でも慣用的に用いられる例が見受けられ、これらは「非人称独立分詞構文」と呼ばれて、主語はone, youなど世間一般を示すものなので、省略された状態で用いられます。以下で、それぞれ詳しく解説してゆきましょう。
1. 分詞構文の形 @)基本的な分詞構文 基本的な分詞構文では副詞節と主節の主語は一致しており、そのため、主語を省いて動詞の形を変えても意味が成り立つようになっています。時制は、一致する場合は動詞が分詞になったものが文頭に出ますが、副詞節の時制が主節より前の場合は、主節と従属節の時間的な関係により、having が文頭に出る完了形が用いられることもあります。 また、文頭には現在分詞が来るのが基本ですが、句の中に受動態や補語が含まれる場合にはbeingやhaving beenが省略されて過去分詞が文頭に出たり、補語である形容詞や名詞が文頭に出たりすることもあります。 ⇒ being/having beenの省略については、こちらを参照して下さい。 ex) ● As I live far from her house, I don't often meet her. ⇒ <<接続詞as、主語I を省き、動詞 liveを現在分詞にする>> Living far from her house, I don't often meet her.・・・原因・理由を表す分詞構文 (彼女の家から遠くに住んでいるので、私はあまり彼女に会わない) ● Though I live far from her house, I often visit her. ⇒ <<接続詞though、主語I を省き、動詞 liveを現在分詞にする>> Living far from her house, I often visit her. ・・・譲歩を表す分詞構文 (彼女の家から遠くに住んでいるが、私はよく彼女を訪ねる) ※例文からも分かるように、分詞構文は副詞句の部分だけではその意味が特定できないものもあるので、その場合は文脈から判断する必要が生じます。
● As she (had) walked all the way, she got quite tired. ⇒ <<接続詞as、主語sheを省き、had walkedを完了形のまま用いる>> Having walked all the way, she got quite tired. (ずっと歩いたので、彼女は大変疲れた) ・・・ 原因・理由を表す分詞構文、「歩いた」のは「疲れた」より前に起こったことで時制が一致していないから完了形が用いられる
上例は、基本的な形ですが、これに対し副詞節と主節で主語が異なる場合は、副詞節の主語が残って分詞の前に置かれる「独立分詞構文」になります。 ex) ● Because there was no bus service, we had to walk all the way. ⇒ <<接続詞becauseを省き、thereを主語として残して動詞was を現在分詞beingにする>> There being no bus service, we had to walk all the way. (バス路線が無かったので、我々はずっと歩かなければならなかった) ・・・原因・理由を表す独立分詞構文、thereは形式主語であるが、分詞構文を作る時は主語として文頭に用いることができる ● If the weather permits, I'll join you tomorrow. ⇒ <<接続詞ifを省き、主語weatherを残して動詞permitを現在分詞にする>> Weather permitting, I'll join you tomorrow. (天候が許せば、明日ご一緒しましょう) ・・・原因・理由を表す独立分詞構文、本来は文頭はthe weatherだが慣用的にこの形で用いられる "Weather permitting"は慣用的によく使われる表現ですが、このように慣用表現になっているもの以外は、無理に独立分詞構文を使おうとすると英語として可笑しな言い回しになってしまうこともあります。この点をふまえて、特に口語ではよく見かけるもの以外、通常の副詞節で言う方が賢明だと思います。しかし、分詞構文自体は折りに触れて出てくるものなので、こういう表現もあるという理解だけは深めておきましょう。
B)非人称独立分詞構文 主語が主節と一致しないという点では独立分詞構文の仲間ですが、副詞節の主語がone、you、weなど世間一般を指す場合には文頭に残らず、分詞から始まる形になります。Frankly speaking(率直に言えば = If we speak frankly)、Generally speaking(一般的に言えば、概して = If we speak generally)などは、意味を明確にするために副詞が分詞の前に出ていますがこれに属し、慣用句としてよく用いられるものです。他にも、以下のような類例があります。 類例) Strictly speaking, (厳密に言えば) ⇔ Broadly speaking, (大雑把に言えば) Taking everything into consideration, / Taking all the things into consideration, (全ての点を考慮して) Judging from 〜(〜から判断すると) Talking of 〜/Speaking of 〜(〜と言えば) Assuming that 〜(〜であるとしたら) Given that 〜(〜であるとすると、〜があれば) ・・・ ※演説などにも使われる、どちらかと言えば堅い表現 Considering 〜(〜のことを考えれば、〜のわりには) ・・・ ※「〜のわりには」という意味では、forで代用できる Granting that 〜/ Granted that 〜(〜であることを認めるにしても、〜であるにしても、仮に〜でも = even if ) Seeing that 〜(〜の点から見て、〜から見て = since) Provided (that) 〜 / Providing (that) (もし〜なら = if) ※ providedは接続詞化しており、if より仮定のニュアンスが強くなる。 ※一般にはif を使っていうことが普通で、使われるとすればProviding よりもProvidedの方が好まれる
一般に、以下のような場合は省略されますが、しなかったからと言って間違いではありません。 @分詞句に補語が含まれる場合 ・・・ 補語が名詞でも形容詞でもbeing/having beenは省略されます。 ex) ● (Being)A splendid model, she's always busy with her hard schedule. ・・・ a splendid model が補語なので、beingは省略される = As she is a splendid model, she's always busy with her hard schedule. (彼女は素晴らしいモデルなので、ぎっしり詰まった予定でいつも忙しい)
● (Beign)Anxious to pass the examination, he works hard all night long. ・・・ 形容詞 anxiousが補語なので、beingは省略される = As he is anxious to pass the examination, he works hard all night long. (試験に合格することを切望しているので、彼は一晩中勉強する)
A分詞句に受動態が含まれる場合 ・・・ being/having beenを省力して過去分詞から始めることができます。 ex) ● (Being) Born and raised in a good family, she behaves elegantly. ・・・ 受動態が含まれるので、beingは省略される = As she was born and raised in a good family, she behaves elegantly. (良い家庭に生まれて育ったので、彼女は上品に振舞う) ● (Having been) Ill-treated for long, she divorced her husband at last. = As she had been ill-treated for long, she divorced her husband at last. (長い間、不当に扱われてきたので、とうとう彼女は夫を離縁した [= 夫と離婚した]) ・・・ 完了形の分詞構文も、受動態であればhaving been が省略される。 ※この例文は、分詞句が主節の述語動詞より前の時制(「離婚する」前時点のこと)であるため、完了形を用いている。
B分詞句に進行形が含まれる場合・・・ 〜ingが二つ続くのは語感が悪いので、進行形の場合はまず省略されると考えてよい ex) Walking along the street, she found some goods that she want to buy. = While she was walking along the street, 〜 (通りを歩いている間に、彼女はいくつか買いたい商品を見つけた)
D)接続詞の明記 通常は省略される接続詞ですが、分詞構文の意味を明確にするために残ることもあります。 ex) After receiving the telegram, he went out in a hurry. = After he received the telegram, he went out in a hurry. (電報を受け取った後で、彼は急いで出かけた) ・・・ 時を表す分詞構文だが、時を明確にするために接続詞after が文頭に残っている。 ※afterは前置詞として用いられることが多いですが、接続詞としても使われます。 ※afterを用いた節の中では、現在完了、過去完了を用いても構いませんが、after自体が主節との時間関係を明らかにしているため、現在形、過去形が使われることが多いようです。
2. 分詞構文の意味 以上のように分詞構文にはその形から大別して2種類あるわけですが、どちらも文脈に応じて以下のような意味を示します。 @)時を表す 時を表現する場合、副詞節に置き換えると基本的にはwhen(〜する時)の意味になりますが、文脈によってはwhile(〜する間に)、as soon as (〜するとすぐに)の意味が出ることもあります。どの意味かは文脈や状況から判断する他ありません。 ex) Arriving at the airport, I phoned my uncle. = When I arrived at the airport, 〜 / As soon as I arrived at the airport, 〜 (空港に到着した時、私は叔父に電話した / 空港に到着してすぐに、私は叔父に電話した) Traveling by boat, I met a lot of interesting people. = While I was traveling by boat, 〜 (船旅をしている間に、私は沢山の面白い人々と出会った)
A)原因・理由 原因や理由を表現する場合、副詞節に置き換えるとbecauseやas(〜なので)の意味になります。 ex) Being in haste, I didn't notice what was happened. = Because/As I was in haste, 〜 (急いでいたので、私は何が起こったのか気づかなかった)
B)条件 条件を表現する場合は、if節(もし、〜ならば)で置き換えられる意味になります。 ex) Going down this street, you will get to the park. = If you go down this street, 〜 (この通りを行けば、公園に辿りつきます)
C)譲歩 譲歩を表現する場合は、though(〜だけれども)で置き換えられる意味になります。 ex) Admitting he misunderstood what I said, he didn't change his opinion. = Though he admitted (that) he misunderstood 〜 (私の言ったことを誤解していたと認めながらも、彼は意見を変えなかった) ※厳密に言うと、この例文では「認めている(状態)」と「意見を変えない」ということが同時に起こっている状況と考えることができます。これとは別に、Having admitted 〜 とした場合は、「認めた」ということが先に起こり、その後に「意見を変えなかった」ということが起こったということになります(認めはしたが、変えなかった)。日常で実際に使う場合は、どちらでも言いたいことは同じだと思いますが、微妙なニュアンスの違いがあることを意識しておきましょう。
D)叙述の継続 先に述べられた事柄に対して、それに続く事柄を述べます。これは上例のように従位接続詞で置き換えられるものではなく、等位接続詞 (and, but など)で叙述を継続するのと同じ意味になり、文脈の前後関係から、このような分詞構文は文頭ではなく文末に置かれることも多いようです。一般に分詞構文は従位接続詞の代用となる場合が多いですが、このように等位接続詞の代用になる例も見受けられるので、合わせて覚えておいて下さい。 ex) The light suddenly went out, leaving us in darkness. = The light suddenly went out and it left us in darkness. (突然明かりが消えて、我々は暗闇に取り残された)
E)付帯状況(〜しながら、〜して、・・・そして〜した) 付帯状況は一般にwithを用いて示されることが多いのですが、withが脱落したり、「with+名詞+分詞」の形で用いられたりすることもあります。withを用いる付帯状況と分詞構文が示す付帯状況の間には相関関係があり、これについては次章でまとめて解説しますので、準動詞3.分詞 C)付帯状況を参照して下さい。
では、以上のような点に注意して、以下の日本語を英語に直してみて下さい。極力、日本語で考えず、イメージを自動的に英語にする努力をしましょう。もちろん、発音やイントネーションにも注意して下さい。すぐに言えなかった場合は正解例を見て記憶し、少し時間を置いてから言えるかどうか試してみます。これを何回か繰り返すうちに、日本語に対応した英語が難なく出てくるようになると思いますよ。
2009.11.21.-11.24.+11.29.
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