1. 関係代名詞の格 ● 関係代名詞 ・・・ that, who(whose, whom), which, what / whoever, whatever, whichever, as, but, than
関係代名詞は通常、その語の直前にそれに続く節が修飾するべき名詞/代名詞を「先行詞」として持ちますが、先行詞が人であるか、物や動物であるかによって使われる語が違ってきます。またこれらは各語の代名詞用法ですので、他の代名詞同様に「主格、所有格、目的格」の区別があります。下の表のように使い分けて下さい。
※1 動物/物について所有格の関係代名詞を用いる場合、「whose+無冠詞の名詞」=「of which the+名詞」=「the+名詞+of which」と書き換えることができます。これは動物/物について通常の所有格を用いるとき、「the 名詞 + of + 動物/物」の形になることが多いためで、特に無生物に関してはof whichを用いるのが普通のようです。例文はこちら。 ※2 先行詞が関係代名詞の導く節の中で前置詞の目的語になっているときは、「前置詞+目的格関係代名詞+S+V」「目的格関係代名詞+S+V+前置詞」の2種類の語順があります。ただし、thatは前置詞を後置する形「that+S+V+前置詞」でしか使いません。詳しくはこちら。
関係代名詞の中でもwhatは、直前にあるべき先行詞が関係代名詞そのものに含まれて一体化してしまっているわけですが、他にもwhoever, whichever, whateverなどがあり、これらは「複合関係代名詞」と呼ばれます。一般に複合関係代名詞とは ever が付いた3語を指す場合が多いですけど、"what"も通常先行詞なしで用いられる点で複合関係代名詞であり、また "who", "which"も文脈等から分かるような先行詞は省かれて、単体で複合関係代名詞的に使われることもあります。 なお、これらの他に、as, but, than も関係代名詞として使われますが、これらは比較的特殊な例で格の変化もありません。
ではまず、前のページで例文として挙げた"I know the man who wrote this book."について見てみましょう。 この例文では、"I know the man." と"The man wrote this book."が関係代名詞"who"でまとめられているわけですが、先行詞"the man"は、"who"の導く節において主語になっています。そこで、このふたつの文を関係代名詞を用いてまとめようとすると、"who/that"の主格を用いて"I know the man who/that wrote this book."とすることになります。つまり、どの関係代名詞を使うかは、先行詞が人であるか、物であるかと同時に、続く関係代名詞節で主格、所有格、目的格のどれとして使われているかにもよってくるということです。 @) 先行詞「人」 ● I know the man + The man's book is very popular. → I know the man whose book is very popular. (私は、その[男の]著作が大変人気のある男を知っている)・・・ 所有格/人 ● I know the man + Tom respects the man very much. → I know the man whom/that Tom respects very much. (私はトムが大変尊敬している男を知っている)・・・ 目的格/人
● I keep a dog. + The dog is tame. → I keep a dog which/that is tame. (私はおとなしい犬を飼っている) ・・・ 主格/生物 ● I keep a dog. + The ears of the dog are long. → I keep a dog whose ears are long. = I keep a dog of which the ears are long. = I keep a dog the ears of which are long. = 口語) I keep a dog with long ears. (私は耳の長い犬を飼っている)・・・ 所有格/生物 ● I have a dog. + I keep the dog for three years. → I have a dog which/that I keep for three years. (私には三年間飼っている犬がいる)・・・ 目的格/生物
B) 先行詞「物(無生物)」 ● My father has an old car. + The car is very beautiful. → My father has an old car which/that is very beautiful. (私の父は、とても美しい古いクルマを持っている) ・・・ 主格/無生物 ● My father has an old car. + The windows of the car are broken. → My father has an old car of which the windows are broken. = My father has an old car the windows of which are broken. = 口語) My father has an old car with broken windows. (私の父は、窓の壊れた古いクルマを持っている) ・・・ 所有格/無生物 ※My father has an old car whose windows are broken.とも言えるが、一般にあまり使われない。 ※口語では前置詞"with"を用いて言うのが普通。 ● My father has an old car. + He bought the car ten years ago. → My father has an old car which/that he bought ten years ago. (私の父は、10年前に買った古いクルマを持っている) ・・・ 目的格/無生物
C) 先行詞が関係代名詞の導く節の中で前置詞の目的語になっているとき ● This is the house. + My friend lives in the house. → This is the house in which my friend lives. = This is the house which/that my friend lives in. ・・・口語でよく用いられる形 (これが、私の友達が住んでいる家です) ここで注意しなければならないのはthatの前に前置詞を置いてはいけない点で、thatを使う時は前置詞は必ず後置されることになります。また、前置詞が後置される場合に限り、which/thatともに関係代名詞を省略しても構いません。
3. 関係代名詞の省略 @)目的格の省略 限定用法の目的格関係代名詞は省略されることがよくあります。従って例えば2-@)の例文は・・・ I know the man Tom respects very much. と言うこともできます。ただし、関係代名詞の前後で主語が同じ場合は、語呂的に省略しない方が良いようです。また、2-C)でも書きましたが、先行詞が関係代名詞の導く節の中で前置詞の目的語になっている時も、前置詞が後置される場合に限り省略が可能です。
A)主格の省略 関係代名詞がThere is (are)に続く場合や、節中にthere is (are) がある場合は主格の関係代名詞を省略することができます。 ex) There is a man (who) wants to see you.
基本的には以上のように使い分ければ良いのですが、実際はそれぞれの関係代名詞について更に細かい使い分けの傾向があります。その詳細とwhatなどの複合関係代名詞については次章以降で解説してゆきますが、まずは基本の使い分けを以下の問題で叩き込んでしまいましょう。 極力、日本語で考えず、イメージを自動的に英語にする努力をして下さい。もちろん、発音やイントネーションにも注意して、すぐに言えなかった場合は正解例を見て記憶し、少し時間を置いてから言えるかどうか試してみます。これを何回か繰り返すうちに、日本語に対応した英語が難なく出てくるようになると思いますよ。
2008.9.26.+10.14-10.15.
>>中級篇★その1.関係詞2.関係代名詞 A)who, which, that
|