「文法教室・基礎編」では、基本的な文の型や構造、8品詞の役割りや使い方などを勉強しましたが、中級篇ではこれらを基本にして、更に複雑な事柄を言う方法を学んでゆきましょう。まずは基礎編でもよく出て来たと思いますが、「関係詞」から解説します。関係詞は口語、文章を問わず、英語では頻繁に用いられるものですので、これを理解すると英文の大意が非常に掴みやすくなります。 「関係詞」として用いられる語は、「関係代名詞」と「関係副詞」に分類されますが、どちらも語数的には数語しかありません。 ● 関係代名詞 ・・・ that, who(whose, whom), which, what / whoever, whatever, whichever, as, but, than ● 関係副詞 ・・・ when, where, why, how / whenever, wherever, however
例えば、I know the man who wrote this book. (私はこの本を書いた男を知っている) この文では、"I know the man." と"The man wrote this book."が"that"という「関係代名詞」でまとめられています。つまり、"wrote this book(この本を書いた)が"the man(男)"を修飾しているのですが、この場合の"the man"のように、関係詞に先んじて、関係詞以降に修飾される対象となる語は「先行詞」と呼ばれます。 また、使い方にも「限定用法」、「継続用法」の2種類があって、 ex1) ・ I know the man who wrote this book. (私はこの本を書いた男を知っている)・・・ 限定用法 ・ I know the man, who wrote this book. = I know the man and he wrote this book. (私はその男を知っているが、彼がこの本を書いたんだ)・・・ 継続用法 このように、関係代名詞の前に「,」を置くと「継続用法」になります。この例文では本質的な意味はそれほど変わりませんが、ニュアンス的に以下のような違いがあります。 ・限定用法 ・・・ 先行詞を直接修飾する ・継続用法 ・・・ 先行詞を含む部分で一旦区切り、補足説明を加える形になる この例文の場合、限定用法では「その男が書いた本」の方に話題の焦点があるのに対し、継続用法では「男そのもの」に焦点があって、更にそれに「彼が書いた本がある」ということを補足しているニュアンスになるということです。限定用法を使うか、継続用法を使うかは、文脈や話の成り行きで変わってくるということですね。 これに加えて注意しなければならないのは、ex1) では本質的な意味はさほど変わりませんでしたが、内容によっては根本的に意味が変わる時があることです。 ex2) ・ She has a daughter who is a designer.(彼女にはデザイナーをしている娘がいる)・・・ 限定用法 ・ She has a daughter, who is a designer. = She has a daughter and she is a designer. (彼女には娘が一人いて、デザイナーをしている)・・・ 継続用法 この例では、限定用法だと「デザイナーをしている娘」に話の焦点があるのに対し、継続用法だと「娘が一人いる」ことに焦点があって、更に「その娘がデザイナーである」という補足をしています。つまり、前者だと「他にも娘がいる可能性はあるが、少なくとも一人はデザイナーである」と考えられるのに対し、後者は「娘は一人で、その子はデザイナーをしている」ということになります。 ちょっと強引な解説になるかもしれないんですけど、これは限定用法だと "who is a designer"が"a daughter"を後置修飾している形になるので"a daughter who is a designer"は日本語的に"a designer daughter"と言い換えることができるということです。もちろん、"a designer daughter"という言い方は英語では成立しませんが、ニュアンスとしては"a beautiful daughter"と同じようにまとめて考えなければならないということで、従って、こちらは接続詞で分割してはいけません。逆に、継続用法は補足された内容が続くことになるので、接続詞で分割できることになります。 では、「限定用法」と「継続用法」の違いを以下の表にまとめておきましょう。
以上のように、関係詞は文を結びつけてひとつにする働きを持っていますが、ここでひとつ覚えておいてもらいたいことは、これらの単語は基本的にそれぞれ「代名詞/副詞」であるという点です。代名詞が節を導いて先行詞を修飾するから「関係代名詞」、副詞が節を導いて先行詞を修飾するから「関係副詞」と呼ばれるわけです。しかし、これらが導く節は先行詞となっている名詞、代名詞を修飾するという点で原則として「形容詞節」として機能しているということになります。ただし、関係代名詞の中でもwhatや他の複合関係代名詞(whoever, whatever, whichever)は一語で先行詞を含むため、その導く節は文中で名詞節として機能します。 (※注) : 一般に「関係副詞」とされる"when, where, why, how"は基本的に副詞なのですが、関係詞として使われる場合の用法は"where, when"は代名詞用法に、"why, how"は接続詞用法のひとつ(この場合は従位接続詞ではなく関係詞)に分類されることがあります。つまり、元々は副詞であるものが、役割として代名詞になったり、接続詞になったりしているわけですが、用法についての厳密な線引きは難しいようです。 これとは別に、that, when, where, why, howにはどれも「接続詞用法(従位接続詞)」があり、これは先行詞を持ちません。このため、これらの接続詞によって導かれる節は文中で「名詞節/副詞節」として機能することになります。 ⇒ 接続詞について詳しくは、基礎篇★その17.接続詞 を参照して下さい。
「〜詞」という名称はいろいろなものに付いているので注意が必要ですが、基本的に品詞としての分類は「名詞、代名詞、動詞(助動詞はこの仲間)、形容詞(冠詞、数詞はこの仲間)、副詞、前置詞、接続詞、間投詞」の8種類であって、「関係詞」とか「疑問詞」とか「先行詞」とかの「〜詞」という名称は、この8品詞の下に来るものであると覚えておいて下さい。 これを踏まえて「関係詞」を定義すると、「先行詞を修飾する節を導く語で、それぞれ8品詞上の分類は基本的に代名詞/副詞に属する。ただし、それによって導かれる節は先行詞である名詞/代名詞を修飾する役割を持つので原則として形容詞節となる」という言い方が出来るわけです。 では、次章から関係詞の使い方について詳しく解説してゆきましょう。
2008.9.26.+10.14.-10.15.
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