ここでは、「〜に・・・させる/してもらう」などの意味で使われる「使役動詞」について解説します。この意味で特によく使われるのは「make/have/get/let」の4語なので、これらについてはニュアンスや文の型をしっかり把握して、戸惑わずに使えるようにしておきましょう。
注) O=目的語/p.p.=過去分詞
まず、上の表を見てもらうと分かりますが、それぞれ強制の度合いに強弱があり、また、使われる型も決まっています。強制の度合いは・・・ make > have/get > let このようになり、従ってhave とgetには互換性がありますが、目的語に続くのが・・・ ● have は「原形不定詞(toが付かず、動詞の原形のみで不定詞としての働きをするもの)」 ● get は「to不定詞(toの付く、通常よく使われるもの)」 である点に注意して下さい。
1.make ・・・ 強制的使役 / (意志とは無関係に無理にでも)〜させる ex1) What made you think so? (何があなたに、そう考えさせたのですか? = 何故、あなたはそう考えたのですか?) ※What made you 〜? は、Why did you 〜? と言うこともできますが、Why did you 〜? は非難や詰問のニュアンスが強くなるので、通常の問いかけではWhat made you 〜? を使います。
ex2) I made him go. (私は彼を行かせた。)
このようにmakeの後は「make + O + 原形不定詞」、つまり主語が「〜させた」相手を目的語として置き、「何をさせたか」は補語として原形不定詞で続けるわけですが、makeが受動態として用いられる時は、続くのが以下のようにto不定詞になる点に注意して下さい。 ex1) → You were made to think so (by 〜). (あなたは〜によって、そう考えさせられた。) ex2) → He was made to go (by me). (彼は、私に行かされた。)
2.have / get ・・・ 弱い使役 / 〜してもらう @)have + O + 原形不定詞 / get + O + to不定詞 ex3) I had him mow the lawn. = I got him to mow the lawn. (私は彼に、芝を刈ってもらった。) have とget は、このように「使役」として同程度の意味を持っていますが、目的語に続くのがそれぞれ「原形不定詞/to不定詞」になる点を間違えないようにしましょう。
A)have/get + O + 過去分詞 使役動詞として使われるhave とget には、不定詞だけではなく過去分詞が続くこともあります。 ex4) I had/got my watch repaired (by him). = I had him repair my watch./I got him to repair my watch. (私は、(彼によって)時計を直してもらった。= 私は彼に、時計を直してもらった。 ) 例文を見ると分かると思いますが、このように不定詞を用いて言った内容を過去分詞を用いて言い換える場合には、目的語も入れ替わる点に注意して下さい。この形でも「〜してもらう」という意味なのには違いありませんが、不定詞を用いて言った文から見ると、目的語が入れ替わることにより、後半部分に"My watch was repaired by him."と受動態的なニュアンスが出ていることになります。そのため続くのが過去分詞になるわけなので、従って"I had/got my watch repair."は誤文です。
B)「使役」と「受身」「完了」
have/getは、その用いられる型によって「使役」の他に、以下の2種類の意味が出てくることがあります。 ●「受身」・・・「[主語]の意志とは無関係に、[目的語]に〜される/〜されてしまう(被害)」 ●「完了」・・・「[主語]が[目的語]を〜してしまう」 これらは大体、文脈や周囲状況から判断のつくことだと思いますが、自分が使おうとする時には、以下のような注意が必要です。 @ have は、原形不定詞/過去分詞のどちらが続いても「受身」の意味が出る場合があるのに対し、get は過去分詞が続く時のみしか出ない A 「使役」の意味ではhave/getを強く発音するが、「受身、完了」の意味になると原形不定詞、もしくは過去分詞に強勢を置く B 原型不定詞を使うか、過去分詞を使うかは目的語で決まる。 ex5) 原形不定詞を使う場合 He had his only daughter die young. (彼は、一人娘に早死にされた。) ・・・ <受身> dieの方にアクセントを置く She had him take her picture. ・・・ <使役> hadの方にアクセントを置く ※目的語"his only daughter"、"him"は、それぞれ"die"、"take"の意味上の主語で、従って、"His only daughter die young."、"He takes her picture."が成り立つ。従って、その文の目的語が、続く動詞の主語であれば原型不定詞を使う。
ex6) 過去分詞を使う場合 She had/got her umbrella blown off by the strong wind. (彼女は、強風で傘を吹き飛ばされた。) ・・・ <受身> blownの方にアクセントを置く She had/got her picture taken by him. (彼女は彼に、写真を撮らせた/撮られた)・・・<使役>か<受身>かは文脈、状況で判断 ※目的語"her umbrella"、"her picture"は、それぞれ"blown"、"taken"に対し目的語となり、"The strong wind blew off her umbrella."、"He takes her picture."が成り立つ。従って、その文の目的語が、続く動詞の目的語であれば過去分詞を使う。 ただし、上例に見るように、文意が「使役」か「受身」(もしくは「完了」)かの判断は、文脈や状況からする必要があります。
C have/getともに、「完了」の意味が出るのは過去分詞が続く時のみ ex7) She must have/get the work done by tomorrow.. (彼女は、その仕事を明日までに終わらせてしまわなければならない。) ・・・ <完了> doneの方にアクセントを置く
3.let ・・・ 許可、放任 / (意志に任せて/したいのであれば)〜させる @)let + O + 原形不定詞 ex8) I will let him go. (私は彼を、(行きたければ)行かせよう。) 「〜させる」の意味ではあっても、make, have, get とは全く違い、「[目的語] の意志に任せる」というニュアンスが強いのが"let"です。例えば、例文は以下のように"allow"や"permit"を用いて・・・ I'll let him go. = I'll allow/permit him to go. ・・・ 行きたいなら行かせよう このように言い換えることが可能なのに対し、 I'll make him go. = I'll force/compel him to go. ・・・ 無理にでも行かせよう となり、より具体的な意味を持つ動詞で言い換えると意味の違いがはっきりすることが分かるでしょう。
A)be allowed/permitted to "let"は、原形不定詞として用いられているのが単音節動詞である場合を除いて受動態にされることはなく、受身の意味を出す必要がある時には「be allowed/permitted to」が使われます。ただし、単音節動詞であるからと言って必ず受動態になるものでもなく、元々のletが「許可」のニュアンスを含んでいる場合は、「be allowed/permitted to」にされることもあります。 ex9) I let him go.. (私は彼を行かせた。) → He was let go.(彼は、彼の(意志に任せて)行かされた = 「放任」 ) → He was allowed/permitted to go. (彼は、行くことを許された = 「許可」) ex10) I let the grass grow. (私は草を、伸びるに任せた。) → The grass was let grow. (草は、(自然に)伸びるに任された。 = 「放任」) ex11) He let me attend the meeting. (彼は私を、その会議に出席させた(させてくれた) = 「許可」) → I was allowed/permitted to attend the meeting (by him). (私は(彼に)、会議への出席を許可された。) ex9、10)は、原形不定詞として用いられているのが単音節動詞なので受動態になりえますが、ex11)は"attend(2音節)"なので「be allowed/permitted to」を用いています。なお、もうひとつ注意しておいて欲しいのは、受動態になった"let"の後に続くのも動詞の原形である点です。 このように、ニュアンスを考えながら文の型を見てゆくと覚えやすいのではないかと思いますが、これらは習慣的な言い回しなので、この通りに覚えて使えるようにしておきましょう。
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では、以上のような点に注意して、以下の日本語を英語に直してみて下さい。極力、日本語で考えず、イメージを自動的に英語にする努力をしましょう。もちろん、発音やイントネーションにも注意して下さい。すぐに言えなかった場合は正解例を見て記憶し、少し時間を置いてから言えるかどうか試してみます。これを何回か繰り返すうちに、日本語に対応した英語が難なく出てくるようになると思いますよ。
2008.10.6.+ 10.7. 研究篇1.動詞の目的語 D)「S+V+O+to不定詞」の形を取れる動詞 <<
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