EDEN SCRITTI POLITTI WEBCHAT

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PART 1

99年7月、ヴァージン・レコード・ホームページのエデン恒例ウエブ・チャットに、なーんとグリーンが来てくれちゃいました。いいですねー。

あやぼーはその頃まだインターネットしてなかったので残念ながら見逃しちゃったんですが、皆さんの中にはラッキーにも質問のお答えが頂けた方もいるとか。うーん、うらやましい。

ジェームズによると、すごい数のご質問が寄せられたとかで、グリーンは事前にどれに答えるか選ばなきゃならなかったらしいですよ。だからお答え頂けたあなた!ほーんとラッキーでしたね!!(翻訳には十分気を配ったつもりですが、意図が違ってたら教えて下さい。)

で、あやぼーもスクリプトを後から読むことができたので、知らなかった人たちのために公開しておきましょう。


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**さあ、グリーンが到着しました!いよいよ始まります!**

 

James Lawrence(SP UK website):お帰りなさい、グリーン。“キューピッド”を発表した後、ハリウッドでいくらでも仕事が出来たと思うんだけど、どうしてやらなかったの?オファーもあっただろうし、知り合いもいたんじゃない?

 

:やあ、ジェームズ。ぼくはホントにきみに感謝してるんだ。心からありがとうを言うよ。いつか会えるといいね。で、質問の答えだけど、80年代に確かに話は来てた。でも、興味が持てなかったんだ。覚えてるのはルパート・エヴァレットとボブ・ディランが出たやつくらいかな。ぼくには合わないよって断ったけど。

 

Dirk : 外見の他に自分でどんな所が変わったと思います?それにそれはどんな種類の変化なんでしょう。

 

:中身はずいぶん変わったよ!! 昔より冷静になったと思うな。それに物事を深刻に受け取り過ぎるのは良くないってことがわかるようになった。このごろネコを飼ってるんだけど、そういう事も初めてなんだ。

 

David Owens : レコードを出すのに何年もかかるけど、その間、生活はどうやってサポートしてるんですか。ロイヤリティってそんなに入るものなの?

 

:うーん、まあまあかな。そんなにすごくもないけどね。生まれたウエールズで暮らしてるから、大してお金はかからないし。贅沢したいって方でもないから、CDと本と、それにビールを買えるだけあれば十分なんだ。(車は運転しないしね)

 

Jim Ferguon : まず、始めにお帰りなさい、グリーン。みんな本当に待ってたんだよ。で、最近はどんな音楽を聞いてるの。それと、テュパマロスって誰、それとも何なんですか。

 

:テュパマロスっていうのは、ラテン・アメリカのテロリスト、かフリーダム・ファイター、そのあたりは人によって見方が違うだろうね。連中は世界で始めに金のある経済人を誘拐して身代金を要求するってことをやったんだ。それでぼくは興味があったんだけど。その後真似されるようになったよね。それから、このごろはザ・ベータ・バンド、ザ・セカンド・ボミング2コンピレーション、それにアーサー・アスキーのベストなんかを聞いてる。きみと話せて嬉しいよ。

 

ritsuko : 80年代、ビジネスの上では繊細で知的な面がかえって重荷になったんじゃないでしょうか?今はそうは見えないし、使う言葉もずいぶん変わったようですけど、でもニューアルバムでも繊細な所は変わってないように思います。洗練されていて果実のようで、今の時代にぴったり来てますよね。で、本当に自分で変わったと思いますか?私としてはただ周りの環境があなたにとって良くなっていることを祈るばかりです。と言うのはもう二度とこんなに長く姿を消して欲しくないですからね。

 

:心配してくれて、ありがとう。たしかに前は物事に敏感過ぎたかも知れないけど、知性的ってのはどうかな。(それってどう見えるものなんだろう)。内面的に神経が過敏な所は実際全く変わってないけど、でも世の中ってそんなに悪いものでもないとは思ってるよ。ところでぼくのレコードってどんな果物なの。お願いだからレモンだとは言わないでくれる?(訳注;レモンには、くだらない物とか無価値なものという意味があります。)

 

David Owens : Is the Michael Eavis look cool down your way?

: No. Down my way everybody is immaculately clean shaven, that goes for the farmers, the sheep, and the women.

(訳注;この部分、どういう意味かわかりません。わかる方がいらしたらご一報下さい。)

 

Mark Bolan : 8年も田舎で暮らしてたのに、またレコードを作ってラットレースに参加するってこと、後悔はしてない?

 

:全く何の後悔もしてないよ、まだね。今のところ全部うまくいってるし。でもそろそろ週末くらい田舎でのんびりしたいって気にはなってるね。今回はがんばるつもりだけど。

 

: Dave W:創るのにこんなに長くかかることから言って、これってスクリッティ最後のアルバム、なんてことにならないでしょうね。

 

:そうはしたくないんだけどね!まあ商業的に成功するかどうかとスタッフ次第ってとこかな。でも音楽を創るってことはぼくにとって一番面白いってわかってるし、今はまたスタジオに入りたくて仕方がない気分なんだ。アイデアもあるし、次はずっと早く仕上がると思うよ。

 

 Miss K Bee:ハワード・ジョーンズのような80年代のアーティストが、あの頃と同じようなサウンドでカムバックして来ることについて、どう思いますか。

 

:80年代の他のミュージシャンがやっている事にそんなに興味はないんだ。まあ、おんなじことをやっても意味ないと思うしね。全力でやってゆくだけだよ。

 

garax:マッドネスは久しぶりに新作を発表して、スイーテスト・ガールをカヴァーしてましたけど、彼らと対立する立場になって、どんな気分でした?

 

:マッドネスのことは高く評価してるけど、スイーテスト・ガールっていうぼくの古いガールフレンドを、彼らのヴィデオにひきずり出すような真似をされたのはちょっとね。ただ普通はすごいバンドだなって思ってるよ。でもぼくはホントに彼らと対立なんてしてたっけ?そういうのって戦争なのかな。

 

chev:ボウイ、マッカートニー、エルトン・ジョン、ジョージ・マイケル、マドンナなんかがあなたの音楽のファンだって言っていて、“ミュージシャンの中のミュージシャン”という評価がありますよね。それについてどう思います?それに彼らが新作を気に入ってくれると思いますか?

 

:ぼくはパンクのおかげで、“ノンミュージシャン中のノンミュージシャン”で始めたんだから、おかしな話だよね。もちろん他のミュージシャンがぼくの作品を気に入ってくれてると聞けばすごく嬉しいのに決まってるよ。でも今度のを彼らがどう思うかってことについてはまるっきり気にしてないんだ。ぼくは好きなようにやって、気に入ってくれる人がいることを祈るだけだね。

 

Jimmy James : スイーテスト・ガールって誰なんですか。今でもつきあいはあるの?

 

:残念ながらないんだよ。あの歌は一般的に言って、喪失についてのメタファーなんだ。それとよくある未練がましい関係の終結宣言みたいなものかな。

 

justin bindley : ハイ、グリーン。11年ぶりのアルバム・リリースにしてはどこからも絶賛されてて、驚いてるんじゃない?

 

:そりゃあもう、誉められるっていうのは最高の気分だね。それに長いこと経って帰って来てこんなに歓迎されるなんて、自分でもラッキーな奴だって思うよ。確かに全く長かったよね、きみの言う通りさ。次のアルバムが早く出来上がるようにみんなで祈っててくれるかい。

 

greg : 自分の容姿についてインタヴューなんかで言われると、否定的なことばかり言ってたでしょう。でも80年代のあなたってほんとおに、ポスター・ボーイだったよ。意識的に髪を伸ばしてるんじゃない、なんて言われても信じないからね、どう見たってキレイだったんだから。最近はヴォーグって感じじゃないけど、それって80年代の反動なのかな?

 

:もう昔みたいなことは言わないけどね。まあ、ファッションって面白いし、あの頃は楽しんでやってたけど、いい加減みんな年を取ったものな。ともかく今はファンデーションをつけたり髪を染めたりしないでいいっていうのは助かってるよ。うん、確かにきみの言う通りだ。これは80年代の反動だって言えるね。

 

gareth: さあて、もういい加減、本当の名前をバラしてもいい頃なんじゃないの!

 

Umphrevilleだよ!!!!! 、ってほんとーは、これはぼくのガールフレンドのお父さんの名前で、すごくあこがれてたやつなんだ。子供の頃学校でさ、クラスに二人もぼくと同じ名前の奴がいるんだよ。結構生意気な奴だったからね、ぼくって。それが気に入らなかったんだ。でも、本当は2音節しかない名前だってことだけは教えておいてあげようかな。

 

Burger : ネコの名前なんていうの?

 

:バス・オリバー!スケートボードのテクニックのひとつでね、ぼくがいくらやっても出来なかったやつなんだ。

 

barry page : この10年間、UKシーンで最も注目してたアーティストは誰ですか?

 

:うーん、ころころ変わるからなあ、僕の場合。今のとこカタトニアが気に入ってるけどね。

 

gregc:あなたがウエールズにこもってる間に、ブラーやオアシス、パルプといったバンドがUK音楽シーンを表面的には塗り替えたような感がありますよね。だからスクリッティなら本当のブリティッシュ・ポップってのはこれだ、というのを見せつけてやるいいチャンスを逃してたと思いませんか?つまりそのへんのバンドを蹴散らしてやれたのになってことだけど。だってソングライターとしてはあなたの方が、ノエルやデモンやジャーヴィスよりずっと上だって感じがするし。ところで最近のそういうバンドについてどう思ってます?

 

:そんなに持ち上げるんじゃないって。ぼくだってブリッツ・ポップがそんなにわかってるってわけじゃないんだから。利口ぶって見せようとするようなところがあったっていうか、でも...! ともかく何もしないでのんびり暮らすのを楽しんでたから、ポップ界のX対Yってやつと関わる気にはならなかったしね。だからってブラーが意図的であれ偶然であれ、いい曲を作ってるなって思ってないわけじゃないんだよ。

 

Mark Bingham : ギネス?それとも、レッド・ストライプ?

 

:昔はレッド・ストライプだったけど、今はギネスだね! 次はなんにしようかな、おすすめはある?

 

J・Lopez : パフィ現象について、どう思います?彼にプロデュースしてもらいたいと思いますか?

 

:パフィにやってもらわなくても、なんとかなるからね。でも彼のやり方は面白いと思うけど。ともあれ、幸運を祈ってるよ。ところで、ぼくはメイズのファーストをすごく気に入ってるんだけど。

 

Saj : ボディ・ポップ出来る?

 

:こいつ、言ったな。出来れば苦労はするもんか。教えて欲しいくらいだよ。

 

Boss Nass : お気に入りのMCは元気?

 

:うん、元気だよ。ありがとう。

 

Dirk : ラッパーに歌詞で何を表現したいか言ったんですか?それとも彼らはあなたのコーラス部分を聞いてそれぞれに作詞したんでしょうか?

 

:歌詞についてはずいぶん打合せしたよ。時々口を出すこともあったけど、大体はまかせたね。例えばモス・デフなんかはもう見事なものなんだけど、打ち合わせてからグリニッジ・ヴィレッジのあたりを何時間か歩き回って来る間に頭の中で歌詞を組み上げてしまうんだ。スタジオに戻ってくるとその前にマイクを置く。そういうのを見ることが出来るのは役得だよね。

 

garax : ニュー・アルバムを作る時、自分でラップをやろうなんて思いませんでしたか?それともまるでそんなことは思い浮かばなかった?

 

:ラップは昔やったことがある。(その結果どうなったか、どうしても知りたいなら、ラフ・トレードから出したファースト・アルバムを聞いてみるんだね)。冷や汗が出るよ。ああいうのは、得意な人に任せておくに限ると思ってるんだ。

 

Dirk : 社会・政治的な思想を同じくしないミュージシャンと仕事をしていくという上で、何か問題が起こるとか、起こりうるようなことはありませんか? それとも音楽的な成果の方が優先されるんでしょうか。シャバにはいろいろとウワサがありますよね。例えば女性差別主義だとか、ホモフォビックだとか、暴力的だとか。

 

:それはぼく自身もずいぶん考えた深刻な問題だね。シャバの場合は彼のダンス・ホールというバックグラウンドから来る文化的、歴史的背景を云々するより、彼と仕事をすることから得るものの可能性の方が大きいと判断したんだ。それに彼はぼくとの仕事が終わってしまうまで、全くナンセンスで忌むべきホモフォビックな側面はまるで出さなかったしね。ともかく、そういう問題には慎重でなくちゃならないとは気が付いてるよ。ぼくの作品は通常疑いなく政治的に「プログレッシヴ」でありたいと願っている。質問してくれてありがとう。

 

greg: あなたが社会主義者であるというのは、よく言われることですよね。80年代とその頃の成功、例えばヴァージンから得た巨額の資金とか、そういうものを振り返ってみて、どういう感じがするものなんでしょう? 90年代はどうでしたか? どちらの年代の方がアーティストとしてより充実していたと思いますか?

 

:過去は決して振り返らないことにしてるんだ。例えば運悪くポップ・ミュージックについて80年代に書かれたものを読んでしまったとしたら、サッチャーやレーガンの名前が最初の数行で言及されているのを見て気分が悪くなるしね。大体その時代の音楽が同時代において支配的な政党の政治的/経済的イデオロギーを反映しているなんて、ばかげた考えだよ。確かにぼくはレコードを作るのに巨額の資金を必要としたけど、80年代と90年代でどちらがより充実していたかと聞かれても、それは右足と左足、どちらがより気に入ってるかと聞かれてるようなものだね。

 

Tomoko : 会えてうれしいわ、グリーン! ところで、音楽から離れているときは何をしてるんですか?

 

:猫と遊んでるかな。物を投げると取って来てくれるんだよ。あと自分でも理解に苦しむような本を読むとか、スケートボードをしてる時もあるけど、よくケガしちゃうんだ。それから論文を書こうと思ってロンドンのパブ・カルチャーの探索も続けてる。

 

 

**ご心配なく。ほんのちょっと休憩してから、すぐに再会します。**

 

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