第3回 冷蔵庫のお話
前回 CLIP BOARD 4 で予告した通り、今回の「ヨモ」は冷蔵庫のお話をしたいと思う。実は衝撃の告白なのだが、あやぼーはかつて3年間、冷蔵庫のない生活というのをしたことがある。あやぼーの名誉のために付け加えておくが、冷蔵庫も買えないほどビンボーだったワケではない。実家から独立した当初、朝の7時から夜の11時まで忙しいという日常のせいで必要がなかったというのもあるが、何よりも「どの冷蔵庫を買うか」という問題で悩んでいたからだ。ことほど左様に、あやぼーはホントに気に入るもの以外買わないヤツである。しかし、この時はさすがに3年間迷うだけの理由はあった。当時、大きな電器店に行くと流行のアメリカ製大型冷蔵庫というのが聳え立つように並んでいたものだが、GEやワールプールなど、こんな大きな冷蔵庫どうするんだ、というくらいバカでかいのにデザインも素材も日本製とは段違いに良い。今でも日本製冷蔵庫の扉というのは安っぽくて好きくないが、この米製大型冷蔵庫を見てしまうと、とてもそういったデザインや素材について何も考えていないような日本製の、しかも一人暮らし用の小さい冷蔵庫を買う気になれなかったのである。それで延々悩んで3年間を過ごしてしまったというのが真相だ。まあ殆ど外食で済ませるという生活をしていたから切迫した必要性を感じなかったのかもしれないが、それにしても冷蔵庫なしの生活、しかも3年というのは今考えると驚異的かもしれない。 けれども「デザインがいいから」で買うには、GEの大型冷蔵庫というのはかなりマニアックな存在である。そもそも一人暮らしでそんなに入れとくものもないのに、それこそ「何に使うの?!?!」みたいなバカでかさで、しかも日本製なら普通の大きさのやつでも10万そこそこ、小さいやつなら更に安いのに、38万円という価格も悩んだ理由だった。それから、もうひとつ。当時はわりと広い所に住んでいたからこういうモノを置いてもつり合ったが、コレがもし後にもっとビンボーになって狭い所に越さなければならなくなったら??? というのも「どうしよう、どうしよう」の要因のひとつだったと思う。理性的に考えれば小さいので十分、もったいないし引越しする時困るかも、そう結論し、「じゃあ小さいのを買おう」と思って電器店に行っても、結局「やっぱりこっちがいいよ〜」を、3年間繰り返す所が、あやぼーなんである。ともかく自分で納得しない限り、絶対に妥協というコトが出来ない性格なのだ。 そうして3年間、悩みぬいた末めでたく写真のすっきりスリムな冷蔵庫が我が家にやって来たというワケである。扉の右上に張り付いている黄色いシールは、アメリカ国内で使った場合の年間の電気代を示すモノなんだけど、アメリカでは電気の一キロワットあたりの価格も地域によってかなり違うらしく、92という数字は標準的なキロワットあたりの電気代で換算した一年分のコストということだそうだ。普通購入後は剥がすものらしいが、なんかアメリカっぽいというか、カッコいいステッカーって感じなので、そのままにしてある。 さてその後の話だが、当時心配したような「都落ち」状態にだけは陥らずに済んだので、あやぼーは新居にこの冷蔵庫(命名 : マニアック、通称 : マニ)を担いで引っ越して来た。もちろん自分で担ぐわけにはゆかないから引越し業者さんにお願いしたが、とても2人で運べるようなシロモノではないので、この冷蔵庫のためだけに4人来てもらったほどだ。しかし結論から言えば、やはりコイツを買っておいて正解だったと思う。現在のLDKに置いた時からそう思っているが、これこそデザイン性のなせる業というか、見飽きない上に部屋全体が安っぽくならずに済む。コレはポイントが高いよね。しかも使いやすさが違う。これはCLIP BOARD 4 でも書いたことだが、扉が両開きになっている冷蔵庫というのは、冷凍室、冷蔵室どちらも屈まずにモノが取り出せるというのがミソ。よく使うものを程よく取り出しやすいトコロに置いておけぱ楽ちんなんだな。でも、このマニを心底有難いと思ったのは、1年間くらいウチにこもって暮らした時のこと。あやぼーんちはすごい田舎にあるので、一番近くのマーケットまでクルマでも10分くらいかかる。ましてやそのへんのマーケットなんて小さいから大したモノが無くて、大抵は大きな町まで行かなくてはならず、当然ヤマほど食料品を買い込むことになるのだ。それこそホントにクルマがないと生活出来ないという点でアメリカの田舎町といい勝負をしているようなライフ・スタイルなので、マニちゃんも活躍することしきり。1週間〜10日分の食料をぶちこんでおける大きさというのは本当に有難い。マニを買った時には全く考えもしなかったが、コトここに至って、3年間悩んだ甲斐があったと実感したような次第である。 ところでGE社というのは1878(明治11)年にエジソンが設立した会社だったって知ってた? 私はそんなの全然知らなくて、今回このページを作るのに89年当時のカタログを持ち出してきて見て初めて知った。多分その頃このカタログで読んでいるはずなんだが、まるっきり忘れてるってコトだな、これは。で、そのGEが家庭用の電気冷蔵庫を初めて発表したのが1927年だそうで、今ではドコにでもある冷蔵庫とはいえ、当時は大変な贅沢品だったんだろうね。 ともあれ、そろそろウチに来て十数年になるマニちゃんだが、これまでもちろん全くトラブルはなし。デカい、デカいと言っているが、しかしマニちゃんを買った当時のGEのラインナップの中ではこれでも小さい方だった。ウチのは555リットルタイプだが、その頃のカタログを見ると755リットルというのが最大で、コレは858,000円もしている。さすがに豪華版でアイス&ウォーターディスペンサー(ワンタッチで氷が、ドコッて出て来るヤツ。冷水も出せる)や、グラスなどに飲み物を注ぐ時にちょっと置けるミニ・カウンターなんかもついてて、早くもマイコンによる庫内温度調整までするという最先端の冷蔵庫。これはもう相当ゴージャスなキチンじゃなきゃ釣り合わないだろうというようなシロモノだったのね。ビルトイン出来るようにキチンのデザインに合わせてドアの色が変えられるキットなんかもあったみたいだけど、現在のラインナップでは、少なくとも一般向けのカタログにこのタイプは入っていない。まあ、時代の差ってヤツですかね。あやぼーもホントはこのタイプが欲しかったんだけど、このお値段じゃあんまりなんで諦めました。でも、しゃーるたちの家を建ててやることが出来たら、2階はペントハウスっぽくしたいと思っているので、その時はきっとこーゆーのを買うぞ、と性懲りもなく決意していたりする。生きてるうちに実現すれば上等ってコトか?! 1989年当時のフラックシップモデル。755リットルタイプで858,000円もした。
ところで、そうは言ってもさすがにGEの大型なんてな〜、と思われる方も多いと思う。一人暮らしとか家族が少ない場合は当然そう思うよね。で、ここでもうひとつデザインのいい冷蔵庫をご紹介しておきましょう。多分ご覧になったことがある方も多いでしょうけど、Will Fridge(ウィル・フリッジ)がそれ。これは一人暮らしのワン・ルームなどに置いてあると結構カッコいいかもしれない。蛇足だけど、冷蔵庫は英語でrefrigerator(大体の読みは「リフリージャレイター」だか、このままカタカナ読みするとみっともないかも...)、長くて言いにくい単語なので日常では縮めてフリッジと呼ばれることが多いみたい。ウィルのヤツは、もしワン・ルームとかに住んでたら、あやぼーも欲しいって感じだね。写真左の女のコと一緒に写ってるのが今年の追加モデル(162リットルタイプ)で、部屋の写真の方は昨年からのモデル(260リットルタイプ)。取っ手のデザインが、今年のは楕円になって高さも少し高くなったのかな? でも容量は昨年からのものの方が大きいようです。
それはそうと昨今、古い電化製品を廃棄するにも費用がかかるが環境問題の観点から言っても、もういい加減使い捨ての感覚は捨てなければならない時期だと思う。性能のみならずデザインの良いものというのは結構値段が張るが、それだけに愛着を持って長いこと使える、飽きがこないという面も確かにあるのだ。結局のところクルマにしても電化製品にしても、その他のものにしても、本当に気に入ったものと暮らすのが一番幸せなのかもしれないな。少し話がそれるが、最近、固定式の充電池がダメになった小さなクリーナーを修理に出した。修理費用は税込み9450円。新しいのが買える金額である。けれども、あやぼーは修理すれば使えるのに捨てるなんてことは出来ない。よくファビのコーナーで「モノにも心がある」というようなことを書いているが、それはファビのみならず、あらゆるものに言えることだと思う。私はもうずっと前から人間だけを特別なものだとは思っていなくて(どちらかと言えば、私にとって「人間」は一番、優先順位が低い存在である)、身の回りの全てのものに「生命」を見出しているが、それだけに現代の生活環境の悪化は使い捨てを当然として来た愚かな人間に対する、彼ら捨てられたモノたちの復讐じゃないかとすら思ったりする。まあ人類が滅びようが地球がなくなろうが、宇宙的な視野から見れば大したことじゃないんだから、滅びたければ、いつまでも同じコトを続けていればいいケドね。 ま、イヤでも毎日おつきあいする冷蔵庫だから、新生活を始める皆さまも新しい冷蔵庫を買おうかなと思っておられる皆さまも、そこんとこも考慮して是非使いやすくて長くつきあえるステキなデザインのフリッジを選んで下さいね。 2002.3.19.- 4.8. TOP PAGE <<
|