第1回 掃除機のお話 〜人類は何故、今なお掃除機を引きずり続けるのか?!〜 今回から始まった、この「よもやまばなし」のコーナーでは、他のコーナーに入りきらないヨタ話をいろいろ書いていこうと思っているのだが、第1回は掃除機についてである。 あやぼーは掃除が大キライだ。いや、掃除ばかりではなく、およそこの世にありとあらゆる「めんどくさいこと」が何よりキライなのである。しかし、そのくせキレイ好きなもんだから、掃除をしないで済ませるというわけにはいかない。末期的なホコリ恐怖症でもあるのだ。そこで掃除は出来る限りシンプルに済ませたいわけだが、やはりそうなってくるとどんな掃除機を使うかが問題になってくる。そこで「21世紀の掃除機とは」、という課題で研究を進めてみたいと思う。このページが次回の掃除機選びの参考になれば幸いである。
研究その1★究極の形を探る 掃除機の何がウザいと言って、古来から用いられて来た伝統的なスタイル、あの引きずりまわすタイプのヤツほどウザいもんはない。あれが掃除のめんどくささに拍車をかけているとは誰もが思っていることに違いない。スティック・タイプの掃除機が一般的になった今、何故あの古色蒼然としたスタイルの掃除機が絶滅しないのか、私はそれが不思議で仕方ない。 しかしスティック・タイプの掃除機にも問題はある。2〜3年前、ナショナルの充電式掃除機というのを買ったのだが、こいつがめちゃくちゃ使いにくい。実は私はそれまでスティック・タイプのハシリとも言える日立Poco(ポコ)というタイプの掃除機を愛用していたのだが、もう15年近く前に作られたというのにポコちゃんの使いやすさは最新のナショナル・テキパの比ではなかった。(商品名出まくり、大丈夫か?!) まずこのポコちゃん、写真のようにモーター部分が普通のスティック・タイプと違って持ち手の近くにある。一般的なスティック・タイプの場合、縦置きが出来るように重心を下に持ってくる関係からモーター部は吸い口の近く、つまり床面に近いところにあるわけだが、ナショナル・テキパを使って切実に感じたことは、モーター部が床面に近ければ、当然モーターから吐き出される排気が床のホコリを舞い上げてしまうということだった。これでは掃除しているのか、ホコリを拡散しているのか分からない。床は確かにホコリを飛ばされて一時的にキレイにはなるかもしれないが、吸い込む前に細かいホコリの大部分は空中に逃げていることになるのだ。しかも厚みのあるモーター部が下にあると、キャビネットや机の下など、狭い所に掃除機の吸い口を滑り込ませて奥まで掃除するというコトが出来ない。ポコちゃんの場合はモーター部が上にあるために、この拡散現象はきわめて起こりにくいし奥まで差し込んでの掃除もちゃんと出来る。まあホコリを拡散してしまうということからゆけば、旧来の引きずりタイプの掃除機も同じような欠点を持っていると言っていいだろうが、これに対する対策については研究その2で書くことにしよう。 ともあれウチのポコちゃんであるが、床面のホコリ拡散が押さえられるというばかりではなく、軽量で引きずらないから持ち運びがカンタン、部屋から廊下へ、廊下から部屋へスイスイスイと移動出来るという手軽さはやはりスティック・タイプならではだ。しかし何分にもお生まれになったのが1987年という、電化製品としてはご老体なので、そろそろ最新式のをと思って買ったテキパちゃんが大ハズレ。結局その後ポコちゃんはコンセントがだめになってコードリールごと交換しなければならないという出費を迫られながらも、ちゃんと甦って現在活躍中である。(六千円も掛かった。掃除機一台の修理費としてはあまりに莫大なので、修理を依頼したお店は何回も見積額の確認をして来た。そりゃ、ほんの数千円も足せば新型を買える値段なんだから、わざわざ修理しよ〜って方が狂気のサタよね。) 翻って、スティック・タイプの欠点と言うよりもテキパ自体の何がいかんかというと、まあまずさっきも言ったように床面に吐き出される排気に全く配慮していない点は当然だが、充電式の吸引力の弱さをカバーするためか何か知らんが、吸い口に巨大な回転羽根がついていることなのである。この回転羽根、髪の毛は引っ掛けて巻き込むは、フロリングはともかく、ちょっと弱い素材の木で作られている階段なんかを掃除したら、めちゃくちゃキズをつけまくってくれるわで、大体こんなもの絨毯掃除にしか役に立たんじゃないか、というオソマツ極まりないシカケ。しかもこの回転バネのおかげで肉厚になった吸い口部分を転がすためのコロが5コもついているのである。これでは柔らかい木にキズがつかない方がおかしい。だいたい、古いタイプの掃除機でも吸い口は「絨毯/たたみ」の切り替えが出来るってのにだな、なんでテキパは絨毯掃除にしか役に立たないような回転バネをつけた吸い口が一つしかついてないんだよっ?! おまけに吸引力が弱いからか、ポコちゃんなら特に細口の吸い口に変えなくても取れるようなスミのホコリがまるっきり吸い残される。要するにテキパちゃんの唯一のトリエは「充電式である」という、単にこの一点だけにしかないのである。さすがの私も「も、こいつはダメ」、とメインの掃除機からハズし「ちょっと吸い」程度の仕事をさせるだけで、定期的な掃除には先にも書いたように大枚をハタいてポコちゃんを復活させたという次第なのだ。まあ確かにコンセントを抜き差ししなくても良いという手軽さは「ちょい吸い」にはいいかもしれないが...。(あやぼーんちのは98年後期生産分なので、その後改良されている可能性もありますが、もしされてなければナショナルさんの品質改善に期待します。ともあれこれから購入を考えておられる方は、お店でその使い勝手を試してからにされるコトをオススメしちゃうな。)
そういうわけで改めて気がついたのは、ポコちゃんの優秀性である。 以前から使いやすいな〜、と大満足していたポコちゃんであるが、テキパのどーしよーもない役立たずぶりを見せつけられた後であるから、さらに愛着が増した。おそらく今後も私はポコを修理して使い続けるであろう。やはり究極の形とは重心を上に上げたスティック・タイプということになるのだろうか。収納時に立てておけないという問題は残るが、しかしテキパだって収納時に立てておくためには充電器を兼ねたお立ち台が必要になる。重心を下に持って来ている意味も、これでは全くないわけで、逆に言えばポコちゃん型でも上から吊り下げるタイプの「お立ち台」をつければ収納時にも立てておけるようになるだろう。
研究その2★排気対策について考える 排気によるホコリの拡散に対する対策としては、モーター部を上に持って来る以外ではダイソンがやったように空気を内部循環させる方式が極めて画期的だろう。これは空気を汚すことそのものがないので、究極的な対策と言っていい。このデュアル・サイクロン方式の掃除機がライセンス契約という形で日本に初上陸したのは1985年にまで遡る時期だそうだが、特によく知られるようになったのはダイソンが正式に日本で発売を開始した99年以来だと思う。この時発売されたアブソリュート03は、そのデザインの美しさからも注目を集めたものだが、いかんせん価格的には「掃除機」と一言で片づけられるシロモノではなかった。なにしろ79,000円もしたのだから、掃除機というよりは殆ど「ブランド品」の世界である。これではちょっと庶民は手が出しにくいな、と思っていたら、最近になってSHARPから同様のサイクロン方式を用いた廉価版が登場したらしい。こちらは29,800円という比較的お手ごろ価格で、しかも注目してもらいたいのは重心を上に置いたスティック・タイプになっていることだ。この形はサイクロン方式ではないながらドイツ製ミーレ社の製品にも採用されており、やはり掃除機を開発するメーカーもこの結論に辿りついたというコトなのだろう。 しかし日立がポコを発売したのは80年代半ばであり、当時はスティック・タイプの掃除機はまだ少なかったと記憶している。この設計コンセプトは重心を下に置いた形が一般的になる一方でついぞ見かけなくなってしまっていたのだが、使いやすさという点では、こちらの方がはるかに優れており、その設計の先進性が伺われる。日立は時々このように地味ながら優秀なコンセプトを持つ製品を作ることがあるが、しかしその日立でさえ、その後それを捨ててしまっていたのは残念なことだ。 そして今、この形にサイクロン方式を搭載した掃除機が発売されたということは、少なくとも現時的で最強の組み合わせが現れたということであろう。SHARPの製品についてはあやぼーもまだ使ってみてはいないので、その実力について何とも言いかねるが、かなり有望であることは確かだ。
研究その3★スティック・タイプはファミリー・サイズに向かないか? さて、一般に「お引きずりタイプ」の掃除機がファミリー用であるのに対して、スティック・タイプは「パーソナル用」という認識があるように思うのだが、しかし少なくともあやぼーは十数年来「パーソナル掃除機」と銘打たれたポコちゃんを使ってきて、不便を感じたことは一度もない。当然ゴミ・パックは多少小さくなるが、それほど頻繁に交換しなければならないわけでもない。私がこのポコを使ってきた生活環境は、狭い時でも2LDKタイプのマンションだったし、現在では更に広いから一般的な生活環境の基準から行っても決して「パーソナル」以外での使用に耐えないとは思えないのだが、未だに旧来の「お引きずりタイプ」が絶滅しないことを考えれば、消費者は特に疑問を持たずに日夜、掃除機を引きずりまわし続けているということなのだろう。やはりこういうコトはテレビかなんかで特集の一つも組まれなければ変わらないということなのだろうか.....。 研究その4★究極の掃除機・「お掃除ロボット」の発想 めんどくさがりに取って、やはり究極の掃除機とは自分で走り回って勝手にお掃除してくれるロボット・タイプである。 もう古い話になるが、佐藤史生さんの「ワン・ゼロ」という作品の中でこの「お掃除ロボ」が出て来ていて、「こんなのあったらなあ」と思ったものだが、ダイソンから2001年に発売されるというウワサを昨年聞いた。もうそろそろ発売されているのかもしれない。そいつはやはり「ワン・ゼロ」に出てきていたようなアルマジロ・タイプで写真のようなヤツ。3台のコンピュータが搭載され、1秒間に16回の判断を下しながらコードレスで走り回って掃除するのだそうだ。まあダイソンだけにどうせ10万とか20万とかするのに決まっているが、デザインもキレイだし、なにしろ珍しいからそこそこ売れるだろう。しかしサイクロン方式の掃除機が99年のダイソン上陸以来僅か2年で廉価版化したことから考えても、この「お掃除ロボット」、一般的になるのは時間の問題かもしれない。 ただ、キャビネットの下などロボット本体の入り込めないような高さしかない部分も掃除出来るようにならないと、それだけに任せておくというわけにはいかないが、そのためには本体から吸い口が象の鼻みたいに伸びたりするような機能が搭載されたりするのだろうか? 何はともあれ、人類を掃除という面倒からパーフェクトに解き放ってくれる「お掃除ロボット」の出現が待たれてならない、めんどくさがりのあやぼーなのである。 2001.9.17.-9.18.、9.24. TOP PAGE <<
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