お金をかけずに英会話 - 1890円で家族そろって始めましょう

<<初心者さんは、まずココから>>

その2. だからコレを推薦します

 

★だから、コレを推薦します★

さて、実用性のある語学力を身につけるためには、「聴く、話す、読む、書く」をバランスよくカリキュラムに加えるべしというお話をしました。また、正しい発音を意識すること、実用性のあるフレーズ単位で英語を記憶することが、第一歩であるとも書きました。

そこで、これらの条件を満たす教材として、私が是非ともオススメしたいのは早稲田大学教授の東後勝明先生による「英会話110番・日常生活篇」という本+CDです。これは、高校生まで英語の成績がサイテーだった私が、後にTOEIC900を超える語学力を身につけるキッカケともなった本なので、絶大な自信を持ってオススメすることができます。皆さんの中にも、「コレにお世話になった」という上級者の方も多いかもしれません。なにしろ初版が1978年なのです。以前はカセットでしたが、2005年にリニューアルされてCD版になりました。

英会話に興味を持って本屋さんに行くと、あまりに沢山の英会話本が出ているので、何を買ったらいいのか分からなくなったという方も多いのではないでしょうか。けれども、このロングセラーぶりと、著者が13年に渡ってNHKラジオ英会話の講師として人気を博し、早稲田大学教授でもある方だとなれば、まず間違いなく役に立ちそうでしょう?

東後先生は、子供の頃から英語がとてもお好きで、当時は今のようにどこにでも英会話教室があり、どこにでも外国人が歩いているという状況ではありませんでしたから、自分で一生懸命勉強した英語が通じるのかどうか知りたくて、外国人とみたら追いかけて行って試してみた、などという逸話も残っているほど熱心な、筋金入りの英語人でもあります。それだけに、英語を学習しようとする人に対して、「ココを分かって欲しい」というツボを押さえた内容の教材を沢山作られています。その中でもこの本は、まさに初心者が入るに易く、楽しみながら英語の構造を習得できるように工夫されている大変優れた教材だと思います。

一応、英検準2級〜3級レベルとなっていますが、これは単に使われている単語が比較的易しい(頻度の高い)ものであるというだけのことで、実際には「TOEIC730レベルの基礎」と位置づけるのが正確かと思われます。

なにはともあれ、例えあなたが英検1級を持っていても、"I just can't place him." "Let's go Dutch." "I haven't seen you for ages.""We seem to be running into each other a lot lately."などの表現の意味が即座に分からなかったり、正しい発音とイントネーションで一気に発声できなかったりするなら、まずこの本から始める必要があると思います。

この本には、その表題通り、110の日常表現が集められていますが、それぞれの項目にその表現を含んだ簡単な応用会話が実例として添えられており、その会話に用いられているフレーズも全て覚えるとすると、一冊で約600の表現を習得することができます。それに、発音のコツや使われる場面の解説など、いたれりつくせりな内容が盛りだくさんに含まれているのも嬉しいところ。

また、各項目で取り上げられているメインのフレーズには、イントネーションやアクセントの位置が一目で分かる図解も付けられていて、応用会話を収録したCDも付いているんですから、もう完璧です。

 

実は、この110番は「日本紹介篇」「ビジネス篇」「海外旅行篇」「発音篇」と、合計5冊がシリーズになっており、どれも600程度の表現を盛り込んであるので、全部やれば約3000の表現を習得できることになり、これを全て覚えるころには、相当なデータが脳内に蓄積されているために、だいぶ英語の構造にも詳しくなっていることと思います。始めはぼちぼちという感じかもしれませんが、続けるうちに英語の構造に慣れるので覚えるのが早くなってゆくはずです。

実際に私がこれを使ってやった方法なのですが、

@ 110の主題を覚えながら応用会話のCDを聞き流します。

A 主題がアタマに入ったら、CDと一緒に発声しながら応用会話も覚えてゆきます。

B この本には、最後の方に応用会話に用いられた全ての英語表現に対応する日本語が索引になっていますので、ある程度覚えたら、この索引に並んでいる日本語を見て即座に英語を言うという訓練を繰り返して下さい。日本語を覚える必要は全くありません。索引に並んでいる日本語の意味は、日本人なら当然即読即解で理解できるわけですから、それに対応する英語を即座に思い浮かべるという訓練をすることが大切なのです。これにより、英語を理解する時に日本語に直すとか、英語を話す時にまず日本語で意味を組み立てるという悪習慣を取り除き、イメージをそのまま英語にしたり、英語を聴いた時に話されている内容をイメージとして理解することができるようになってゆくと思います。

C 最後に、索引を見ながら口頭で発声していた表現を、文字で書くという訓練をします。もちろんこれはスペルに慣れるためもありますが、これによって文字の連なりと発音とを意識的に結びつけることができるようになり、従ってこれを続けてゆくと知らない単語を見た時でも、その発音の見当がつくようになってゆきます。

ま、このへんが基礎力をつける第一歩と考えてもらえれば、まず間違いないでしょう。文法だの単語だのは、こういう基礎力がついてからのことです。そのへんからは、このコーナーでどんどんお教えしてゆきますが、発音だのイントネーションだのというのは、こういう教材をテープから作るってわけにもいきません。それよりもいいものがちゃんとあるんですから、それで始めてもらうに越したことはないと思います。私は実際、この本は全国的に学校の教材として用いられるべきだとすら思うほど信頼を置いています。

何はともあれ、この本+CDで、たったの1890円(2007年3月現在)。どこの誰が書いたんだか分かんないようなぼったくり英語教材の多い中で、早稲田の教授に教わって1890円というのは、めちゃオトクだと思います。それにCD付いてますから、MDに落として家族みんなで始めても、やっぱりたったの1890円。こうすれば、ご家族同士で応用会話の練習とかも出来たりしちゃいます。一人で黙々とやってると疲れて来るかもしれませんが、家族みんなでやれば共通の話題も出来て楽しいんじゃないでしょうか。

 

★英会話教室は利用するもの。カモになってはいけません★

私自身が、かつては欠陥だらけの「学校英語」の犠牲者でした。教科書のスミからスミまで一生懸命に単語を調べている痕跡が残っていることからも、当時かなりマジメに学習していたことは明らかなのに、実用的な語学力どころか、成績でさえサイテーだったんです。で、当時から、「こんなことをやっていても、絶対、英語は喋れるようにならない」、このことだけはハッキリ分かっていたんですが、その頃はとにもかくにも試験のために勉強しなければならず、言うなれば実用性絶無の「学校英語」に語学の習得をジャマされていたようなものです。

それから解放されてから、まず東後先生の著書を中心的なテキストとして、「こうやれば実用性のある語学力がつくはずだ」と、かねてから思っていた方法で学習を始めました。結局それから僅か3年で、ペーパーバッグを流し読みすることが出来るようになってしまい、高校生の時にあれほど難解に見えた教科書が、即読即解できるようにもなってしまったのでした。中学高校と6年間も毎日あんなに勉強していたのにぜーんぜんつかなかった語学力が、たった3年でここまでなるんですから、要は「正しい方法で学習すること」が大切だと言えると思います。

確かに学問に王道はありませんが、要領のいいやり方はあります。飛行機に乗って行けるのに、歩いてゆかなければいけないと考えるのはナンセンスでしょう。この喩えをあてはめるなら、それでも目的地には着けるということが前提となりますが、「学校英語」は「海の向こうの国に行くのに、歩いてゆくのが正しい方法である」と考えるのと同じようなもので、つまり「決して目的地に着くことはできない」方法だと言えます。特に、80年代以降、社会的には実用的なコミュニケーション能力が求められているのですから、我々にとっての目的地とは「聴く、話すを含んだ実用性のある語学力」であって、「知識としての英語」ではない。このことを踏まえて、目的を達成できる方法論を確立してゆかなくてはなりません。

さて、そのためのひとつの解答として、一般には「英会話教室」が注目されるところなのですが、では果たして「英会話教室」はそのノウハウを持っているのでしょうか。もちろん、それを持っている教室や先生もないとは思いません。しかし、多くの英会話教室が提供できるのは、つまるところ「外国人と話す機会」だけであって、国でさえ未だ確立していない学習方法論を独自に研究開発して持っているというわけではないようです。もし国がそれを既に確立していれば、まず間違いなく中学、高校の6年間でマジメに学習する生徒の大半はバイリンガルになっているでしょう。その事実がないということは確立されていないということですし、これだけ英会話教室が乱立しているにも関わらず、80年代以降、日本人の英語コンプレックスが快方に向かっているとも実感できません。

それに現在、英語に関する資格で最も注目されているのはTOEICですが、もし英会話教室がコミュニケーション能力をつけさせるノウハウを持っているとすれば、まず生徒にTOEICの受験をすすめ、生徒のうち何人が、どのくらいの期間でTOEIC何点を実現しました、というような内容の広告を打つのではないでしょうか。予備校では、生徒のうち何人が有名大学に合格したというような実績がよく宣伝されていますし、これほど効果的な広告もないはずです。しかし、英会話教室の広告でそんなものを見たことのある方、ありますか? 彼らの広告は、日本人の英語コンプレックスを刺激し、外国人と自由に話せたらいいなという憧れを抱かせるようなものが殆どです。その広告には決まって「語学の習得には、日常のたゆみない努力が必要です」というような但し書きが付けられているんですが、それでは、彼らは「日常どのような努力をすれば良いのか」を教えてくれるでしょうか。語学の習得には、その但し書きの通り、教室にいる週に数時間よりも、それ以外の時にどのような勉強を積み重ねてゆくかの方が、むしろ重要な点です。

ある程度、語学力のある人間が見れば、そのテキストが実用性のあるコミュニケーション能力をつけるのに有効であるかどうかは一目瞭然ですが、これから勉強しようという人たちにはまず見分けがつきません。

ともあれ、ひとつ言えることは、「結局、毎日コツコツ勉強する必要がある」ということで、それなら、英会話教室の受講料も高いことですし、ある程度の基礎力を蓄積してから(例えばTOEIC730点くらいに到達してから)、半年か一年、会話に慣れるために通えば済むのではないでしょうか。もしその教室がマジメに学習する初心者に、3年でTOEIC730レベルの実力をつけさせる能力がないなら、学習ノウハウを持っているとは言えないと思いますが、3年、もしくはそれ以上も英会話教室にムダ金をかけるくらいなら、基礎力がついたところでそのお金を使って海外に出てみる方がよほど実力がつくのではないかという気もします。どっちにしても、正しい方法でマジメにコツコツ実力を育てていれば、そんなにお金をかけなくても英会話は習得できるということですね。それでもどうしても英会話教室に行きたければ、「英会話スクール研究所 英会話学校の評判情報」などというお役立ちなサイトがありますので、実際に通ってみられた方の体験談などを参考に、改めて考えてみられてからでも遅くはないと思います。

さて、英会話教室同様、やたら高い英会話教材にも注意して下さい。思うにあれはダイエット食品と同じで、「これを買えば自動的に英語が出来るようになる」という幻想にひたりがちな、他依存が激しくて努力する気のないヒトほどひっかかる商品です。世の中には、先ほどご紹介した英会話110番シリーズのように、一冊たった1890円で沢山のことを教えてくれる本がちゃんとあります。ダイエット食品は「高いから効くだろう」という、それがまるでやせ薬ででもあるかのような錯覚を与えますが、実際にはカロリーが低い食品にサプリ同様、特定の栄養素が加えてあるだけのことが殆どで、カロリーの低い食事で良いなら、日常いくらでもずっと安上がりの「ダイエット食」が作れますし、それに不足しがちなサプリを加えて飲めば効果は同じです。これと同じで、高い英会話教材は「高いから効くだろう」という錯覚を与えますが、ずっと安上がりで同様の、もしくはそれ以上の効果を得られる本はいくらでもあるということです。

ま、発音やイントネーションは東後先生の本で勉強して頂くとして、文法だの単語だの熟語だの、TOEICで高得点を取るコツだのは私がみんなタダで教えてあげます。いい加減な英会話教室や教材のカモにならず、本当に実用性のある語学力を身につけるため、毎日コツコツぼちぼち一緒に頑張ってゆこうではありませんか。

2007.3.15.+3.27.-3.29.

 

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