冠詞の種類とそれぞれの特性については前章で解説しました。ここでは、定冠詞と不定冠詞の代表的な用法についてお話しましょう。 1.定冠詞の用法 @) 「特定」のものにつく @ 前出の名詞を指す I met a girl the other day and I found out that the girl was your niece after that. (先日私はある少女と出会ったが、後になってそれがきみの姪だったと知った。)
A 習慣的に指している対象が明らかな場合 I need to see the doctor. (医者に行かなければならない。)
B 「of + 名詞」や関係詞によって限定されている場合 London is the capital of England. (ロンドンは英国の首都だ。)
C 世界でただ1つしかないものを表す場合 ex) the sun、the earth、the sky
D 形容詞の最上級や序数が付いている場合 Jane is the tallest girl in our class. (ジェーンは我々のクラスで一番背が高い。)
A) 「〜というもの」の意味で、その種類全体を代表的に指す ex) The dog is a faithful animal (犬というものは忠実な動物である。) = A dog is a faithful animal. = Dogs are faithful animals. 上例のように、不定冠詞、冠詞なしの複数形も同じ働きをします。
B) 「the + 形容詞」で「〜な人(単数)」「〜な人々(複数)」を表す ex) The accused was acquitted. (被告は無罪となった。) The rich, the well-known and the able are gathered at the party. (そのパーティには、金持ち、有名人、有力者たちが集まっていた。)
C) 「the + 形容詞」で「〜なもの、こと」を表す ・・・ 抽象名詞的な扱い ex) He has an eye for the beautiful. (彼には審美眼がある。)
E) 「the + 単数普通名詞」が抽象名詞的な意味を表す ex) The pen is mightier than the sword. (ペンは剣よりも強し。= 文は武より強し。) この他にも、the father(父性愛)、 the mother(母性愛)、 the man(男らしさ)、 the woman(女らしさ)、 the fox(ずるがしこさ)のように、多数の例があります。
F) 「by the + 単位」で「〜単位で」の意味を表す ex) The shop sells beads by the dozen. (その店ではビーズをダース単位で売っている。)
G) 慣用句 ex) in the afternoon(午後に)、by the way(ところで、ついでながら)、in the distance(遠くに)、in the dark(暗がりで)、 catch a person by the hand (arm、collar)(人の手[腕、えり]をつかむ)
2.不定冠詞の用法 @) 単数可算名詞に付けて、不特定のひとつのものを表す ex) He bought a house. (彼は家を買った。) この場合の不定冠詞には「ひとつ」という数量的な限定は希薄です。従って、特に訳文に反映させる必要はありません。
A) @)の場合と違い、「ひとつの」という数量的な意味をはっきりと示す ex) In a word, he is a fool. (一言で言えば、彼はバカだ。)
B) 定冠詞の用法A)同様に、「〜というもの」という意味でその種類全体を代表する ex) A whale is a mammal. (クジラは哺乳動物だ。)
C) 「〜につき = per」の意味を表す ex) We usually eat three times a day. (我々はふつう一日に三回食事をとる。)
D) 「ある〜 = a certain、some」の意味を表す ex) In a sense, he was right. (ある意味では、彼は正しかったのだ。)
E) 「a(an) + 有名人の名前」で「〜のような人」、「a(an) + ふつうの名前」で「〜という人」を表す ex) I met a Mr. Robertson at the convention and I thought that he was a Kennedy. (その会議でロバートソンという人に会ったが、私は彼をケネディのような人だと思った。)
F) 慣用的な用法 @ 「同一の= the same」の意味を表す ex) Birds of a feather flock together. (類は友を呼ぶ。) このような使い方は、of an age(同年で)、of a trade(同業で)、much of a size(ほぼ同じ大きさで)、all of a kind(みな同種類で)などで、あまり多くはありません。
A 慣用句は定冠詞の場合同様、たくさんあります。 ex) all of a sudden(突然に)、in a hurry (急いで)、at a loss (途方にくれて)、 come to an end(終わりになる)、as a rule (概して)
では、以上のような点に注意して、以下の日本語を英語に直してみて下さい。極力、日本語で考えず、イメージを自動的に英語にする努力をしましょう。もちろん、発音やイントネーションにも注意して下さい。すぐに言えなかった場合は正解例を見て記憶し、少し時間を置いてから言えるかどうか試してみます。これを何回か繰り返すうちに、日本語に対応した英語が難なく出てくるようになると思いますよ。
正解例では、下線を付けた部分の用法に注意して覚えて下さい。
2007.12.3.
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