形容詞的用法のto不定詞が補語の役割をすることがあります。以下の表現でもto不定詞は一般に「補語」と考えられることが多いですが、諸説あるらしく完全な線引きは難しいようです。ただ、この用法で使われるのは頻出する表現なので、こういう使い方があるとして覚えておくと良いでしょう。
1. 「be + to不定詞」 予定、運命、義務・当然、可能、意図の意味を表現します。同じ「be + to 不定詞」の形でも、「〜すること」の意味で用いられるのは名詞的用法の不定詞なので、注意して下さい。
<<予定>> 〜することになっている、〜するはずである = be due to (ただし、be due toで言い換えることが出来るのは、一般に時間的な予定を表現する場合に限られる) ex) The airplane is to land at Honolulu in an hour. (この飛行機は、一時間でホノルルに着くことになっています) = The airplane is due to land at Honolulu in an hour.
<<運命>> 〜する運命である = be destined to 〜 ex) Mary was never to see her husband again. (メアリは彼女の夫に、二度と会えない運命だった) = Mary was destined never to see her husband again.
<<義務・当然>> 〜すべきだ = must、should、ought to ex) You are to apologize to her for it. (きみはそのことについて、彼女に謝るべきだ) = You must apologize to her for it. You are to report to the police at once. (きみは、すぐに警察に届けるべきだ) = You must report to the police at once.
<<可能>> 〜できる = can ex) No stars are to be seen tonight. (今夜は星が見えない) = No stars cannot be seen tonight. ※ この表現は、例文のように受動態の不定詞とともに用いられることが多い
<<意図>> (多くはif 節の中に用いられて) 〜するつもりである、〜したい = wish to、intend to ex) If you are to get well soon, you must stay in bed. (早く良くなりたいなら、安静にしていなさい) = If you wish to get well soon, you must stay in bed.
*** 参考 *** 以下のような例では、「〜すること」という名詞的用法の不定詞が補語として用いられています。上の5つの意味の場合と区別して覚えておきましょう。 ex) His wish is to give his children good education. (彼の望みは、子供たちに良い教育を与えることである)
2.「seemなど + to不定詞」 よく使われる慣用表現においても、不定詞が補語として機能しているものがあります。以下に代表的なものを挙げておきますので、合わせて覚えておきましょう。これらの他にも類例は多いと思います。 <<seem to /appear to>> 〜のようだ ex) Everybody seemed/appeared to know her name. (みな、彼女の名前を知っているようだった) = It seemed/appeared that everybody knew his name. ・・・ 仮主語 Itを文頭に出して言換えると、that節内の動詞がseemの時制に影響される点に注意 また、seem/appearは文頭にthereを用いて、以下のような表現もよくします。なお、これに続く to beは省略することもできます。 ex) There seems/appears (to be) much doubt about it. (それには疑わしい点が多いようだ)
<<happen to>> 偶然〜する ex) She happened to meet him again at the party. (彼女は、そのパーティで偶然彼と再会した) ※meetは"会う"という意味では初対面の時に使われ、一般に二度目以降は"see"になりますが、"出くわす"という意味では二度目以降でも使います。従って、happen to と共に用いられる場合は"meet"を使うのが適当と思われます。 = It happened that she met him again at the party. ・・・ 仮主語 Itを文頭に出して言換えると、that節内の動詞がhappenの時制に影響される点に注意
<<come to / get to>> 〜するようになる ex) He came/got to know her well after the meeting. (彼はその会合の後、彼女をよく知るようになった)
<<prove to / turn out to>> 〜であることが分かる ex) The evidence proved/turned out to be false. (その証拠は、偽であることが分かった)
3.「believe + 目的語 + to不定詞」 <目的語>が〜である/〜することを信じる ・・・SVOC/SVOO型 believe は、目的語を間に挟んでto不定詞を続けることができます。 ex) We believe the testimony to be true.(我々は、その証言が真実であると信じる) = We believe that the testimony is true.
では、以上のような点に注意して、以下の日本語を英語に直してみて下さい。極力、日本語で考えず、イメージを自動的に英語にする努力をしましょう。もちろん、発音やイントネーションにも注意して下さい。すぐに言えなかった場合は正解例を見て記憶し、少し時間を置いてから言えるかどうか試してみます。これを何回か繰り返すうちに、日本語に対応した英語が難なく出てくるようになると思いますよ。
解答例1.予定を表すbe toはbe due toに置き換えられると解説している文法本もありましたが、一般に be due toは「時間、時期における予定」を言う時に使います。従って、この解答例を"be due to"を用いて言い換えるのは不適当で、言い換えるとすればそのニュアンスは"intend to"や"be going to"(意図)の方が正しいでしょう。しかし、この問題の場合"be to"を使って言っても差し支えありません。これは、例えば日本語で「過ごすことになっている(予定)」と言っても、「過ごすつもりである(意図)」と言っても、通常は話者の意味するところに違いはないのと同様です。にもかかわらず、文法的な線引きではこれが「予定」なのか「意図」なのかは別のものとして扱われます。これは理論上の線引きなので、実際に使う時にそこまで細かく拘る必要はないでしょう。 口語の観点から見れば問題なく使われる表現でも、文法的に厳密に線を引くと上の定義にもあるように"「be to」で「意図」を言う場合は if節に導かれる"と限定的に明記されていることもあり、それではこの問題のような文では"be to"を使っちゃいかんのかという疑問が出てきてしまうわけです。また、「予定」を"be due toで置き換えられる"と説明されてしまったら、これが「時間、時期における予定を表現する」と知らない場合、不適当なところで使ってしまうことも起こりうるでしょう。しかし、口語ではニュアンスや慣用と合致すれば使われ、合致しなければ使われないわけで、このへんが「実際に使われている英語、俗にいう"生きた英語"に多く接することなく文法だけで使いこなそうとするのは無理である」と私が考える理由です。 文法書には説明不足もよくありますから「文法は補助的なもの」と考えて、あくまで実際に使われている英語に多く接し、感覚的な観点から知識を増やしてゆくよう心がけましょう。
解答例5.この例文で if節に続くyou must study one or two foreign languagesは、「義務・当然」のbe toを用いてyou are to study one or two foreign languagesと言うこともできます。
2009.10.27.+10.29.+11.5.
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