英文を効率よく理解するには、語彙を広げる他に英文の基本的な構造を知る必要があります。単語は単体で並んでいるようでいて、実はいくつかひとかたまりになってひとつのまとまった意味を示しているものなので、どんなに長いセンテンスでも単語のタバごとに区切って考えることが出来るようになると、全体の意味も把握し安くなるんですね。そこで、どこで区切れば良いのかを知るために、まず英文の基本構造と8品詞について理解しましょう。
1. 句と節 いくつかの単語がひとかたまりになると、2種類の形が発生します。それが「句」と「節」と呼ばれるものです。 ●句 ・・・ その連語の中に「主語+述語」が含まれないもの ex) He worked hard to buy a yacht. (彼はヨットを買うために一生懸命働いた)・・・<副詞句 / workedを修飾> ●節 ・・・ その連語の中に「主語+述語」が含まれ、それぞれがその文の一部となっているもの ex) He worked hard and he could buy a yacht. (彼は一生懸命働いた。それでヨットを買うことが出来た)・・・<等位節+等位節> He worked hard because he want to buy a yacht. (彼はヨットを買いたかったので、一生懸命働いた)・・・<主節+従属節> このように、to / buy / a / yacht など別々の単語の意味をひとつひとつ個別に考えるのではなく、ひとかたまりにまとめて意味を考えると理解しやすくなるわけです。また、上の例のように同じことでも、「句」「節」どちらを使っても言える場合があります。なお、ひとつの文の中に「主語+述語」が二つ以上ある時、等位接続詞によって結ばれていればそのそれぞれを等位節、従位接続詞によって結ばれていれば主文を主節、それを補う部分を従属節と呼びます。 このように句になったり、従位接続詞によって結ばれている節の連語は、そのひとかたまりでそれを含むセンテンスの構成要素となっています。構成要素とは、主語、補語、目的語、修飾語など、文法的に定義される各部分のことですが、例えば単純な文の場合・・・ I know him well. (私は彼をよく知っている。) この文では、I = 主語/名詞、know = 述語/動詞、him = 目的語/代名詞、well = 修飾語/副詞、という具合に、どの構成要素も1単語から成っています。しかし、もっと複雑な文も連語で区切って考えると・・・ I hope that it will be fine tomorrow. (明日、晴れればいいのにな) この文では、I = 主語/名詞、hope = 述語/動詞、that it will be fine tomorrow = 目的語/名詞節、となって、連語でひとつの要素と考えられるわけです。 このように考えてゆくと、ひとかたまりになった連語が単語同様に、それぞれまとまって文中の位置に応じた品詞としての機能を持っていることが分かります。上の例では、"that it will be fine tomorrow"がひとかたまりで名詞としての役割を果たしているから"名詞節"と呼ばれるわけですが、連語で8品詞の中でも特に、名詞、形容詞、副詞の役割を果たす場合は非常に多く、それぞれ「名詞句/名詞節」、「形容詞句/形容詞節」、「副詞句/副詞節」と呼ばれています。つまり、8品詞の区別は単語だけにあるものではなく、句や節にもあるということですね 。 ⇒句と節については詳しくは、Column2.句・節と品詞を参照して下さい。
2. 単文、重文、複文 ●単文 ・・・ ひとつのセンテンスの中に、「主語+述語」が1つだけの文。 ex) He worked hard to buy a yacht.. (彼はヨットを買うために一生懸命働いた) ●重文 ・・・ ひとつのセンテンスの中に「主語+述語」が2つ以上あって、かつそれが等位接続詞(主にand, but, or, for, so)によって結ばれているもの。それぞれの節は等位節と呼ばれる。なお、この形は単文+単文であると考えることもできます。 ex) He worked hard and he could buy a yacht. (彼は一生懸命働いた。それでヨットを買うことが出来た) ●複文 ・・・ ひとつのセンテンスの中に「主語+述語」が2つ以上あるのは「重文」と同じだが、それが従位接続詞によって結ばれているもの。主文となる主節に対して、それを補う従属節を伴う。 ex) He worked hard because he want to buy a yacht. (彼はヨットを買いたかったので、一生懸命働いた) ⇒ 接続詞について詳しくは、基礎確認篇★その17.接続詞 を参照して下さい。
3. 8品詞 ・・・ 「英単語は同じ形で様々な品詞として用いられ、それぞれに意味が違う場合が多い」 名詞、代名詞、動詞(助動詞はこの仲間)、形容詞(冠詞、数詞はこの仲間)、副詞、前置詞、接続詞、間投詞、この8つを8品詞と言うわけですが、それぞれについては<<あやぼーの文法教室>>で個別に解説していますから、そちらを参考にして下さい。 この「品詞」とは文中での単語の役割によって決まってくることなのですが、英文の構造を把握する上で特に覚えておかなければならないのは、標準的な日本語と違って、英単語の場合はひとつの単語が文中で別の品詞として使われる場合が多々あり、そのそれぞれで意味が違ってくることもよくあるということです。 例えば、"open"、これは「開く」という動詞として一般によく使われますが、これがこの形のまま、 <<形容詞として>> "an open door(開いた扉)"、"leave the windows open(窓を開けたままにしておく)"、このように使われることもあり、また、同様に形容詞ではあっても"an open texture(目の粗い織物)"となって、意味そのものが動詞の一般的な意味と違ってきたりもします。 <<名詞として>> "have a good day in the open(戸外で楽しい一日を過ごす)"というように名詞として用いられることもあります。 以上のように、単語が文中でどの品詞として使われているかをその構造から把握することは、意味を理解する上でも大変重要なことと言えるでしょう。 ついでに言えば、動詞として使われている場合でも"open"には「開く」という意味の他に「始める、打ち明ける、暴露する」など、たった1語で「開く」から連想されるもの、されないもの含めて様々な日本語に対応する用い方があり、これは形容詞や名詞として使われる場合も同様です。もちろんopenばかりではなく、こういったことは多くの単語に共通にあることで、従って英文を即読即解するためには、単語に対応した日本語をいちいち覚えるというようなやり方は、最早まるっきり間に合わないナンセンスな方法と言わなければなりません。即読即解するためには、どこかでも書きましたが、単語の基本的な意味と文脈から推測して、その文に合った単語の意味を連想して把握することが出来るようになることも大切です。このためにはやはり、沢山の英文に日常的に触れて、英語感覚を養うことが必要でしょう。 しかし、とりあえずここでは知識として、「英単語は同じ形で様々な品詞として用いられ、それぞれに意味が違う場合が多い」ということを覚えておきましょう。
では、以上のような点に注意して、以下の日本語を英語に直してみて下さい。極力、日本語で考えず、イメージを自動的に英語にする努力をしましょう。もちろん、発音やイントネーションにも注意して下さい。すぐに言えなかった場合は正解例を見て記憶し、少し時間を置いてから言えるかどうか試してみます。これを何回か繰り返すうちに、日本語に対応した英語が難なく出てくるようになると思いますよ。
解答例9.〜11.judgeには動詞、名詞の用法があるのに対し、judgmentは名詞のみです。従って、judge、judgmentともに名詞として使えるわけですが、それぞれ意味が違ってくるので注意して下さい。一般にjudgeは審判や判決を下す「人」を指すのに対し、judgmentは下された判断や判決そのものを指します。なお、judgmentには他に、意見、見解、評価、判断力などの意味もあります。このように、単語は同じ形でいくつもの品詞に用いられるばかりでなく、同じように名詞でありながら形によって意味が異なることもよくあるので、合わせて覚えておきましょう。
2008.9..18.
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