SFX Cassette Interview

SFX cassette magazine - June 1982

Interview by John DeBono

 

 

古いUKのカセット・マガジンのコピーから、この原稿を起こして下さったロビン・ハースに感謝します。

 

Plays : " The Sweetest Girl"

アナウンサー : この2年間「次の大物」とウワサされて来たスクリッティ・ポリッティだけど、どうやら成功のキッカケを掴み始めたようだね。オリジナル・メンバーのグリーンがジョン・デボノに語ってくれます。

GREEN : 現在スクリッティ・ポリッティのメンバーは7人。やっと決まったんだけどね。ミュージシャン4人とバックコーラス担当の女の子が3人なんだ。流動的ではあるんだけど、ここしばらくは、うまくいってるよ。みんなお互い気に入ってるし、7人でいいモノが作れると思うんだ。アルバム(ソングス・トゥ・リメンバー)には完成まで長いことかかったな。でも何枚か先にシングルを出すつもりでリリースは見合わせてるんだ。その方が最終的にアルバムがリリースされた時、より注目を集められるんじゃないかと思うし。出来上がってすぐリリースしてたとしたらたぶん...、たぶんインディペンデントの波に飲まれて埋もれちゃってたかもしれないからね。

SFX : 「フェイスレス」はこれから伸びる曲ですね。確か最初のシングルは「スイーテスト・ガール」だったと記憶してるんですが。

GREEN : ああ、うん、それはね...(笑い出しそうな様子で、質問をそらして)、えっと、まあ、アルバムからの3枚目のシングルは「ジャック・デリダ」になるんじゃないかな。そうだな、「フェイスレス」は、ぼくにとってちょっとした挑戦だったよ。つまりスロー・ソウル・バラッドみたいなものを作りたくてね。その型をきっちりと踏襲して、と言うのは、メロディやなんかについてラジカルに逸脱しすぎるのを避けるってことだけど。それで、結構うまくいったと思ってるんだ。出来は気にいってて...

SFX : わりとピンクフロイドっぽい曲なんじゃない?

GREEN : へえ、ピンク・フロイド? んー、それはちょっと飲めないな。あれが「ダークサイド・オブ・ザ・ムーン」みたいだね、なんて言う連中はブラック・ソウルのルーツと言うか、そのへんの音楽について十分に知らないんじゃないかと思うよ。あれはピンク・フロイドって言うよりかは、ずっとソウルに近いものだからね。

SFX : ところで、次のシングルになるはずだと言う「ジャック・デリダ」ですが、これはかなり...、何て言うか貴方の歌詞や曲が、総体にロック・グループとしてはより文学的な要素を含んでいるという事実を如実に物語る作品じゃないかと思うんです。それって意図的にやってることなんでしょうか。

GREEN : うーん、(ちょっとどもって)そうだな、確かに普通のロック・グループに比べれば興味深い内容だと思うけど...、以前よりは仰々しくなくなってると思うよ。つまりずっとシンプルになってるって言うか...。

SFX : 「ジャック・デリダ」という曲は、特に何について歌っているんですか?

GREEN : え、「ジャック・デリダ」?、ああ「ジャック・デリダ」ね、あれは(笑い出しそうになって)、そうじゃなくて、...、シンプルであることを止めるって言うか...

Other Band Member : 複雑だよね(笑)

GREEN : 「ジャック・デリダ」はね、つまり、革命的かつ反動的な政治に引き付けられることについて歌ってて、で、最後には自分自身の望みのせいで、そのどちらもが不用になる、みたいな、そんな感じだと思うよ、たぶん!

SFX : うーん、なるほど(笑)

Other Band Member : でもね、いい曲だろ,リズムもいいし。

GREEN : うん、そう、確かにそうだよ。

SFX : でも、そういう考えは...、つまりロックの知的、思索的側面にあなたがこだわっていると思うわけですよ。スクリッティって名前からして...。「スクリッティ・ポリッティ」という、あー、これはイタリア語で「政治的文書」って意味でしたよね。

GREEN : うん、そうだよ。でもね、ぼくとしてはしばらくそういうものから離れられて良かったと思ってるんだ。口幅ったいことばかり考え続けるというのはちょっと間が抜けてる気もするしね。今ではもう差ほど重要ではないと言うか。

SFX : じゃあ今ではポップを目指してるってことですね?

GREEN : そう、そうだよ! だって、買ってもらえなければ何にもならないからね。そうなって初めてポピュラーと言えるんじゃないかと思うよ。

Plays : "Jacques Derrida" 

2001.7.9.